季節里親をやり終えたあと、またしばらく普通の日常が続きました。
里親達の集まりには、妻が積極的に参加を希望していたので、私も毎回一緒に参加していました。
その際、他の里親さんが、赤ちゃんを抱いていました。
数日前、児童相談所の方から、緊急で預かって頂きたいとお願いされて預かっていると言っていました。
赤ちゃんを預かる場合もあることに驚きました。
同時に、自分達の所にはいつ、どんな子が来るのか。そもそも来るのかな?と、期待と不安を感じていました。
ふと横を見ると、私達と同じ時期に里親研修を受け、まだ子供が委托されていない女性がいました。
集まりに顔を出した際、毎回必ず来ている方でした。
赤ちゃんを見る目が、可愛いと感じている笑顔を見せていましたが、どこか寂しそうな印象も受け、たぶん自分達と同じことを考えているんじゃないかなって思いました。
そんな日々を過ごしていたら、コロナが流行り出しました。
その影響で、里親が集まる機会が全て中止なりました。
もう、何もない状況になりました。
この時期まで、私達はアパート暮らしでした。
時間に余裕があり、妻の強い希望もあったので、マイホームを購入することにしました。
時間を見つけてはハウスメーカーに通う日々が続きます。
いつ、どんな子が来てくれるのか、そんなことも考えつつ、夫婦で話し合いながら家のことを考えました。
数ヶ月が過ぎ、家が完成しました。
家には、私達夫婦の他、妻の母が同居することになりました。
妻の母が高齢であり、1人にしておくのは心配であると、妻からの強い希望があり、そうなりました。
児童相談所に報告すると、家の状況を確認させて欲しいとのことで、乳児院の職員さんと共に来ました。
その際、委托に関して質問をしてみましたが、「こればっかりは、タイミングですからねぇ」と困ったように言われ、それはそうだ、仕方ないと思いつつも、がっかりはしていました。
引っ越し作業がある程度落ち着いた頃、妻の病気の悪化が判明しました。
医師によると、子宮を摘出する手術が必要な状況であるとのことでした。
しばらく妻が入院することになります。
義母も毎日不安そうな表情を見せていました。
とにかく無事に手術を終え、元気に帰って来て欲しいと願っていました。
それから願いは叶い、妻は無事に退院し、帰ってきました。
妻が帰って来ると、リビングの内装を見て表情が険しくなりました。
自分が帰って来てから作業をするつもりでいた所があり、義母にも説明していたはずだけど、義母が良かれと思って作業していたとのこと。
腹が立ったのか、義母に激しく怒りました。
それから義母はすぐ、自室に篭りました。
泣いており、「娘が元気に帰ってきて嬉しいんだか、怒られて悲しいんだかよくわからない」と話し、メソメソしていました。
なんか面白く感じてしまって、私は笑っちゃいました(笑)
しばらく、そんな3人の生活が続きます。
生活が落ち着いた頃、ふと考えたことがありました。
妻と義母は、昔から犬を飼う生活を楽しんでいたそうです。
現在、私達に子供の委托の話しは特にない。
コロナも流行ってきたし、しばらく何も無さそう。
せっかく家も手に入ったし、妻達に楽しく生活して欲しいと思い、犬を購入しようと思いました。
ペットショップを見て周り、柴犬の女の子に一目惚れしました。
さっそく購入し、自宅に連れて帰ると、妻も義母も大喜びだったので、買って良かったと思いました。
自分達の子供のように感じながら、3人と1匹で楽しく過ごしていました。
それから少しして、児童相談所から突然電話連絡がありました。
「特別養子縁組」として、預けたい子がいるという内容でした。