人生を最高に旅せよ
知らない土地で漫然と行程を消化することだけが旅行だと考える人がいる。
買い物だけをして帰ってくるのが旅行だと思っている人もいる。
旅行先のエキゾチックさを眺めるのをおもしろがる旅行者もいる。
旅行先での出会いや体験を楽しみにする旅行者もいる。
一方、旅行先での観察や体験をそのままにせず、これからの自分の仕事や生活の中に生かして豊かになっていく人もいる。
人生という旅においてもそれは同じだ。
そのつどの体験や見聞きをその時限りの記念品にしてしまえば、実人生は決まりきった事柄のくり返しになってしまう。
そうではなく、何事も明日からの毎日に活用し、自分を常に切り開いていく姿勢を持つことが、この人生を最高に旅することになるのだ。
ニーチェの漂白者とその影から。
私にとって大切な人が亡くなった。
大切な人と 表現するのが一番しっくりくる。
ちゃんと叱ってくれる、数少ない大人の一人であった。
母方の祖父の従兄弟であり、父方の祖父の親友で戦友であり、職場の同僚であり、一番の飲み友達であった。
父方の祖父の耳が遠くなり、認知症が少し進んではきているが、足繁く病院に通い見舞った祖父。
亡くなった故人は最後まで癌であることを頑なに隠してきたが、今、祖父がそれを知っているのかどうかは疑問だ。
母方の祖父の説法も耳が遠くて聞こえず、静かに見つめるように過ごしていた。
帰りに「仲間がまた減ったなぁ」とつぶやいていた。
去年の今頃、私は見舞いに行き 早く退院してよ。退院したら皆で飲みに行こうねと交わした約束が果たされることはなかった。
すぐには行けないけれど、そっちへいつか行ったら、そのときは飲もうね。
普段顔を合わせることはなくても、又会えるという心持ちとでは別物で、やっぱり寂しい。
私でも寂しい。
故人が日にひに弱って行ったように、祖父の気持ちも萎んでいった。
また、しばらくしないうちに随分と痩せた祖父。
寂しいとおもう。共に過ごした時間と密度を考えれば心中は複雑ではかりしれない。
気持ちに負けないでほしい。
負けたらいけんよじっちゃん。
