(写真: Siesta Beach) 

今、実はフロリダにいる。義父母がここで家を買ったからちゃっかり居候をしている。

思ったほど暑くはなく、風が強く、涼しいのがフロリダの冬らしい。本当は海に入れるかと思っていたのだが、2回入って、もう入る勇気がない。やっぱり冬は冬なのだ。


映画やドラマに出てくるアメリカの都市といえば、ニューヨークとか、ロサンゼルスとか、そういう、きらびやかなところが多い気がする。まあ脚本を書いている人たちがそもそもそういうところに住んでいることが多いのだろう。しょうがないといえばそれまでだが、フロリダを舞台にしているいい映画、ドラマも意外とある。


最近、久しぶりに観たのは、ムーンライト(2016)。

初めて観たのはきっと、A24映画にハマり出したばかりの大学時代にみた気がするが、記憶には「よかった」以外の印象はあまりなかった。ストーリーさえ思い出せなかったからきっと悪癖の「ながら観」だったのだろう。今回はそれを反省し、電気を消してうちの新しく買った85インチもある巨大テレビ(TCLだからまあ値段も予算内)で観た。85インチもあるとやはり臨場感が違うから、こういう、絵になっている映画みるようにしている。


マイアミが舞台で、主人公の男の子の幼少期から大人になるまでの、所謂coming of age映画だ。台詞は少ないが、だからこそ一つ一つのシーンが際立つし、役者の演技力も引き立つ。始終、メランコリックなシーンが多いが、最初の方に、主人公と父親代わりのフアンが海に行って、泳ぎ方を教えるシーンで涙が止まらなかった。碧い海で、信頼する人に身も心も委ねる主人公の姿がとても美しく、幸せで、満たされていた。


同じ映画を観ても、人によって涙がでる部分が違うのは特に驚きはしないが、主人公が自分の中のマスキュリニティや性向について悩んでいるから、やっぱり、どうしても男性の方が色々思うところや共感するところが多いのだろう。と、号泣した夫が言っていた。


予告編をみるとかえって映画の楽しみが減ってしまうことが心配するから、全く関係ないけど、同じく月が出てくる曲をはっておく。