この書庫、ちょっと手直し中です。つぶやきページとミックスしてなんだかごちゃごちゃしているので、分けられたらいいなあと思ってますが…記事を読み直すとそう簡単にできそうにもない…
それに、古い記事を修正しようとするとフォントが大きくなったりしてページが乱れるのですごく面倒くさいんです。。ぶつぶつ…

ま、ちょこちょこと変更していきますので、ご覧になるたびに変わっていることもあるかもですが、どうぞご容赦くださいませ。。
さてまとめて感想の史劇編、ほかにも書きたいものはありますが、下書きが残っていたのでこちら3作を。
『武神』『大風水』は以前、「史劇で歴史のお勉強」の記事で時代背景をまとめた辺りを実際に映像で観られたのがありがたかったです。
記事です → ☆高麗王朝ってどんな王朝?

MBC制作
■出演:キム・ジュヒョク キム・ギュリ チョン・ボソク パク・サンミン他
■演出:キム・ジンミン『ロードナンバーワン』『犬とオオカミの時間』他 /キム・フンドン
■脚本:イ・ファンギョン『淵蓋蘇文』『太祖王建』『帝国の朝』他
『インス大妃』と並び、昨年観た史劇のなかでは超お気に入りで、嵌りました~
骨太&男臭~い本格史劇、『広開土大王』リタイア以来久々の挑戦でしたが、こっちは全然OK~。序盤のキョック大会はハリウッドものを意識しただけあってかなり力入ってました。こういう武闘シーンは本当は苦手なんですが、このドラマはなぜだか熱心に見入ってしまいました。迫力に圧倒されちゃったかな。高麗の武人政権には前からすごく興味があったので、チェ・チュンホンやチェ・ウというカリスマ支配者の統治の様子、江華島遷都、三別抄(サムビョルチョ)など、気になっていた史実の詳細もじっくりと観られて満足

世界遺産の八万大蔵経をめぐる逸話も丁寧に語られていて、木彫原版の制作の様子など興味深く観ました。あんな過酷な状況でも作り上げてしまった高麗の仏教精神に脱帽です。まあ、その仏教への傾倒が高麗を弱体化させてしまったのも事実なんですけど。
鎌倉幕府が1192年に開かれ、チェ・チュンホンが政権を握ったのが1196年。日本はその後700年ほど武士の時代が続いたのに対し、朝鮮半島では100年で終焉する。結局、蒙古への徹底抗戦で相当消耗しちゃって、チェ氏のような統治能力の高い武人が育つ余地などなかったのでしょう。チェ氏自体、後継者に悩まされ最後は無残でした。チェ・ウを継いだ娘婿のヤクソンがとても哀れでした。
その後の後継者をチェ・ウの息子のどちらにするかで迷ったキム・ジュン、選択を誤って悲劇につながっていきますね~。暴君のせいで次々に勇将らが失われていくのが悲しかったです。
主演のキム・ジュヒョク氏がはまり役で、その他の役者陣も素晴らしい~~。個人的に気に入っている俳優さんがたくさん出ていたのも高得点
ヤクソンのイ・ジュヒョン氏や高宗のイ・スンヒョ氏=@善徳女王のアルチョ~ン
、パク・サンミン氏もこの役にぴったりでした。チェ・ウのチョン・ボソク氏も、『私の心が聞こえる?』とのギャップにもう驚嘆~。。今観ている亀巖ホ・ジュンでも主演ジュヒョク氏はもちろん、かぶっている役者さんが出てくるたびに1人でにんまりしています(笑)


あ、書き忘れそうでしたが、主人公キム・ジュンとチェ・ウ娘ソンイ、幼馴染ウォラの三角関係は、う~ん、どうでもいい感じだっかなぁ
ソンイがあまりにも利己的で、さすがに最期は哀れに感じたけど自業自得というか…どーにもついていけなかった私でした
ヤクソン=ジュヒョン氏好きの私には特にね~(笑)


とにかく本格史劇の見応えをたっぷりと堪能できる作品です。
続く2作はどちらも史実を踏まえたフュージョン史劇。
そしてどちらも、国の終焉時を描いてます。
『大風水』は高麗の終焉、『剣と花』は高句麗の終焉。
☆の評価は同じにしましたが、私の好みとしては『大風水』>『剣と花』かな。
『大風水』★★★☆
全35話 衛星劇場 →番組HP

■出演:チソン ソン・チャンウィ チ・ジニ キム・ソヨン イ・ユンジ チョ・ミンギ他
■演出:イ・ヨンソク
■脚本:パク・サンヒ ナム・ソンニョン
『大風水』は『武神』視聴後だったのがタイムリーでした。キム・ジュンが最終的に政権を王に返すことで武人政権は終わりますが、それは蒙古への無駄な抵抗をやめて恭順しようとする国王派が主導となることを意味します。蒙古の要求のまま日本侵攻(元寇です)に駆り出されて弱体化、その後も属国の状態で衰退の一途をたどる。が隆盛を誇った元も実はこの頃、内紛続きで、結局新たに興った明に追われることになる。ちょうどそのあたりの時期が今視聴中の『奇皇后』で描かれています。
その奇氏一族を誅殺して元の支配から脱しようとしたのが高麗末期の改革君主・恭愍王コンミンワン、彼に仕えた名将がイ・ソンゲ、チェ・ヨンらで、親元派イ・イニムと対立、これを排除し、イ・ソンゲの威化島回軍~高麗滅亡へとつながっていくわけですが、まさにその時代を『大風水』は描いてます。ただし主人公は当時随一の実力を持つ大風水師という設定。架空の人物が、キングメーカーとしてイ・ソンゲをバックアップ、一方敵であるイ・イニムにも国巫が付いて知恵を授ける、ファンタジーカラーの濃い作品です。
とはいえ恭愍王やシンドン、パニャといった実在の人物たちの展開はほぼ史実を追っていて、さらっとこの時代の背景を知るにはちょうどいい感じです。
特にチ・ジニ氏演じるイ・ソンゲが良いのです~。『龍の涙』では見られなかった、若かりし頃のイ・ソンゲ。初登場シーンは、牙付きの
動物の毛皮を頭に被り、アフリカ原住民みたいな化粧をしてチニ氏だなんて全く分からない。高麗に愛想を尽かしたのか?元の百戸長になって部族抗争をしているという設定。豪快で直情的、でも弓の腕は超一流、部下思いで情に厚いが政治には疎い、根っからの武人として描かれてます。

その10年後には高麗王室に将軍として取りたてられるまでになっています。倭寇討伐などでも活躍して名を挙げたのですね、そのころ、紅巾族が王都・開城を占領し、高麗王室は王宮を捨てて避難している。この紅巾族討伐でも活躍するイ・ソンゲですが、将軍たちのうち誰が一番先に開城を奪還するか、ってところで、イ・イニムが駆けつけるとすでにイ・ソンゲが入場&解放を果たしていたんですよね。これはもちろん史実。ところが論功行賞時、名門出のイ・イニムに手柄を横取りされてしまう。両者の対立がここから始まる。あくまで恭愍王に忠節を誓うイ・ソンゲ、一方、元と結託して王の暗殺をもくろみ政権掌握を狙うイ・イニム。
政治に関心を持たず辺境に追いやられても王への忠義を優先していたイ・ソンゲが、主人公の風水師に王になる運勢だと知らされ、葛藤を繰り返しながらも、少しずつ気持ちを変えて決意を固めていく。恭愍王暗殺後のイ・イニムの横暴、明の介入、チェ・ヨン将軍とのすれ違い…。新しい王朝を開くということは前の王朝を斃すわけですから、反逆者になるということで、うがった見方をすればそれを正当化するための口実に風水を使っていると言えなくもないですが、そういう印象を受けそうになるところを上手にカバーして、イ・ソンゲという英雄を人間臭く描いているのがいいなぁと思いました。
それと、父の名誉のために明国に人質となる5男バンウォン(3代太宗)、イ・ソンゲの第二夫人となるカン氏、当初は仲良くイ・ソンゲをバックアップしているのが意外な二人でした。カン氏というのがかなりな野心家で肝の座った女性で。こういう性格だからのちの後継者争いの火種を作っていくのね、と納得でした。
『剣と花』★★★☆
全20話 KNTV →番組HP

KBS制作
■出演:オム・テウン キム・オクピン チェ・ミンス オン・ジュワン他
■演出:キム・ヨンス『ホワイトクリスマス』『赤道の男』
■脚本:クォン・ミンス
私は『ヨンゲソムン』を観ていないので、高句麗滅亡の詳細は初めて。ドラマは対立したヨンゲソムン将軍と英留王、それぞれの息子(オム・テウン氏)と娘=王女(キム・オクピンさん)の悲恋にスポットが充てられてます。
またもロミ&ジュリって…
『王女の男』はちゃんと元になる逸話があったけれど、こっちは完全な作り話みたいで。だからそこには全く関心なしで観ていた私、かなり冷めてました(笑)

とはいえ、演出のキム・ヨンス氏、前2作観て実感しましたが、ものすご~く映像美にこだわって撮る方なので、今まで観たフュージョン史劇の中では断トツに美しい映像!それだけでも十分に見応えがあります。正直、ストーリー展開はどっちでもいい感じでとにかく映像美に感動しながら観ていました。ま、たまに凝りすぎ(やりすぎ)じゃない?ってくらいスローすぎる場面もあって、眠っちゃうこともありましたが(笑)
セリフのないシーン、背景と人物の映像だけが静かに流れる場面が多く、無言劇でも見ているように、セリフなしの俳優さんの演技を楽しめます。やはりその点で重厚なオーラを発散していたのは、栄留王のキム・ヨンチョル氏、ヨンゲソムンのチェ・ミンス氏。カリスマって言葉がぴったりのお二方でした。
私的に評価高かったのは、叔父の栄留王を裏切ってヨンゲソムンと取引し、王の座を得るものの傀儡王の悲運を背負う、ジャンを演じたオン・ジュワン氏。彼が心にさまざまな思いを秘めたまま誰もいない広間でたたずむ姿、うつむき加減の影が障子に映る、影だけなのにそこに伝わる悲痛さが息を呑むようで…とても印象に残ってます。
時代背景としては、隋を撃退した栄留王が、晩年は新興の唐に対して恭順姿勢をとり、それに反発して抗戦を唱えたヨンゲソムンらに王が暗殺されることで高句麗は衰退の道をたどることになる。王は花を咲かせるために敢えて剣をおさめ、一方ヨンゲソムンらは剣をとることで花を失うことになる、という図式がタイトルに隠されています。
朝鮮半島での国の興亡にはどうしても大陸の勢力構図が影響していて、高句麗にしろ高麗にしろ、今まで仕えた国に忠誠をささげるか、それとも新興国に乗り換えるか、またはあくまで抗戦の構えをとるか親交策でいくか、国論が分かれて揉める宿命にある、という事実を二つの作品で改めて思いました。日本が外交感覚に乏しい理由や他国との温度差を知るのにも、こういう歴史ドラマはいい学習材料になりますね。
で、高句麗滅亡の辺りは視聴中止している『大王の夢』を観ると分かるんだろうなぁ、と思ってますが、いつになるやら…。
というわけで。一つの記事にびっしり詰め込んでしまいました~

いつもながらのなが~~~い記事、最後までお読みくださりありがとうございました


