史劇好き~と公言しつつ、なぜか記事は現代ものばかり書いています(汗)
もちろん史劇もしっかり観ています!
観ていると、書きたいな~と思って
近頃は視聴後にスマホに簡単な感想を入れていて、それが結構たまってるのですが…
いざ記事にするとなると、時間と気合が足りません。
 
『キング Two Hearts』 全20話 KNTV 番組HP→
ハ・ジウォンさんが大好きで、彼女が出ているってだけで観たくなる私です。
加えて『九家の書』で好感度大だったイ・スンギ君との共演、ってことでかる~い気持ちで
視聴開始しましたが…しっかり嵌りました(笑)お気に入り度は!
 
 
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韓国に王室が存続していたら…というと『宮』『マイプリンセス』と被るテーマ。
でも3作の中で、背景・ストーリー展開にいちばん現実味を感じられる作品でした。
とてもよくできたお話だと思います。
 
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画像はKNTVさんからお借りしました
作品紹介
■KIMJONGHAK PRODUCTION 制作 2012年3月~5月 全20話
 
■演出:イ・ジェギュ、チョン・テユン
■脚本:ホン・ジナ

■ 出演
イ・スンギ 『九家の書』『華麗なる遺産』
ハ・ジウォン 『シークレット・ガーデン』『ファン・ジニ』
チョ・ジョンソク 『最高だ、イ・スンシン』映画『建築学概論』
イ・ユンジ 『ドリームハイ』

■あらすじ(KNTV HPより抜粋)
韓国の国王の弟、イ・ジェハ(イ・スンギ)。国や王座には無関心、自由気ままに暮らすジェハだったが、国王である兄ジェガンに騙され、南北が合同チームを結成する世界将校大会(WOC)に嫌々出 場することに。一方、北では特殊部隊の教官キム・ハンア(ハ・ジウォン)がWOCのメンバーに選ばれる。嫌がるハンアだったが、党の幹部が結婚相手を探すという条件を出し…。 ちゃらちゃらして無神経なジェハと、北でジェハの暗殺方法を教えていたハンアは当然最悪の出会いを果たす。しかし、 トレーニングの期間、なぜか同じ部屋を使うことになった2人。とある下心を持って優しく接するジェハを意識するハンアだったが、ジェハはハンアの恋愛ベタという悩みを仲間たちに言いふらしたあげく、ハンアに「君は女じゃない」と言い放つ…! 時を同じくして、韓国の王室と北の幹部であるハンアの父親の間で2人の縁談が持ち上がっていてーー!!
感想 ネタバレ少々あります。(一部画像はお借りしました)
序盤はとっても笑わせてもらえます。
超軟派なお気楽王子ジェハの自他ともに認めるダメダメぶりにまずは爆笑~。
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兵役でも私生活でも、王族の身分にどっかりあぐらをかいて好き放題のトラブルメーカーです。
 
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 一方のハンア、暗殺まで教える特殊部隊級のすご腕軍官だけど、早く結婚したいと見合いを重ねるうぶなキュートさも持ち合わせ
幹部の娘だから生活環境にも恵まれていて、ちゃっかり韓国芸能通だったりします(笑)
初めてのソウルでも、広告スクリーンに大きく映し出される俳優さんに大はしゃぎ。
チョ・インソンだ~、ヒョンビンだ~、って←ジウォンさんの共演俳優なのが憎い演出(笑)
 
2人が出会うことになるのが、WOC世界将校大会、ってもちろん架空の大会だと思うけど、それに南北合同チームで出場することになる。
現国王(ジェハの兄)の南北統一にむけた悲願のイベント、なんですが、王がそれを決意したのが若い頃に父王と一緒にベルリンの壁の崩壊をテレビで観て…ってのも現実的。
 
この王様、演じているのがなんとイ・ソンミン氏~。
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イメージ 7まさかこの方がこんなに気品のある王様を演じられるとは
意外な発見でした(失礼~笑)
お肌もきれいでびっくり。うっすら化粧も似合ってて、何とも上品な王様ぶり。
今まで観てきたあんな役、こんな役のイメージとは大違いにひひ 
(最近書いた記事『私の心が聞こえる?』でも♪)
ほんっと、芸達者なソンミン氏です。
 
 
 
さて、前半は主役二人が南北関係を超えてロイヤルカップルへと発展するまでが、劇的かつダイナミックに展開。
軟派なジェハだけど、自分が情けないヤツだってことを実はちゃんと自覚してるし、次男として出しゃばらないように自分を抑えてきた心の痛みも持っていて、やり始めたことはやり遂げる意思の強さも人並み以上に持っている。
そんなジェハに初めはうんざりしながら段々と魅了されていく、ハンアはじめ南北チームの面々。
メンバーそれぞれ面白いんだけど、特に光っていたのが、やがてジェハの右腕となる、国王秘書室長の息子、ウン・シギョン。
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演じるチョ・ジョンソクssiがこれまたぴったり~。イメージ 9
超!堅物、原則主義の鑑のようにまっすぐの軍人で、なのにギター片手に歌うのがめちゃくちゃ上手だったりする、
そのギャップが素敵(笑)
ジョンソクssi、ミュージカル界のトップスターというだけあって、演技も歌もさすがの実力でした。
 
 
このシギョンの父、王室秘書室長を名優イ・スンジェ氏が演じてらっしゃいます。
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この役回りはなんだかほとんど『マイプリンセス』と同じ設定で。なんとなくもったいないような気もしましたが、マイプリよりもさらに屈折した部分も実は持っている物語の重要なキーパーソン。やはりスンジェ氏だからこその重みのある役どころでした。
 
韓国王室の豪華絢爛なセットも見ものです。『宮』の上をいってます。
 
日本の天皇家の慎ましい上品さとはかなり趣が違っていて、西洋風のど派手さ満載。どうせやるならとことん豪華にしましょうって感じで、力入ってます。
おでかけのたびに黒塗り車が連なりSPが取り囲む図は、大統領ものでも有りだけど、さすがに肩章ふさふさがついた制服制帽の近衛兵は、王室ものならではの演出ですね。バッキンガム宮殿の衛兵を彷彿させて笑えちゃうけど、体を鍛えた韓国俳優さんたちが着ると似合ってしまうんですね~。まあ、ちとKPOP歌手の衣装?って感じがしなくもないけど(笑)
 
笑いどころはキャラだけでなく、南北それぞれの描き方にもたっぷり。
もっとも、こっちはかなりブラックなおもしろさです。
 
基本は南北統一という夢、悲願、だから真面目に描いたらとても重いテーマ。
でもお堅いシリアスものではないので、笑って流しながら楽しめちゃいます。
 
今現在の、南北の有り方、それぞれの持つ誤解と理解が、セリフや設定に随所に盛り込まれています。街の様子や着るものの違いなど視覚的な部分だけでなく、考え方の違い、言葉の違い、時代感覚の違いなどなど、現実感があるのがより笑いを誘う。
お互いに「分裂が趣味な民族だ」なんてののしっちゃう自虐ギャクも入ってたり。
加えて、両国をとりまくアメリカ、中国、ロシア各国の力関係や思惑なども混ぜ込まれていて
国際社会の中での韓国の立場、その理想と現実が、コメディラインの中で半分自嘲気味?に皮肉交じりな目線も加えつつ、しっかり語られているのが高得点でした。
い~ろんな意味でお勉強になります。
 
WOCをきっかけに、 南北幹部が何度も国境線を行ったり来たり。両国軍が守るゲートが物々しく開閉される様子にも分断のリアリティがたっぷり。
 
板門店ツアーに20代のころに参加した私、JSAの有名な水色の建物を見ると心がざわざわします。あのとき身をもって感じた緊張感は未だに忘れられません。
板門店の様子はかなり本格的だったけれど、まさか本当にあの建物で撮影したとは考えにくいので、あれはやっぱりセットなのかなぁ。
空港でも韓国側と北朝鮮側に分かれるシーンがあって、この線を超えると向こう側、ってさりげなく描いているなかに、分断の現実をあらためて教えられた気持ちになって、胸が痛みました。

軍事訓練の様子は、さすが本物っぽくて迫力あります。WOC、最強チームが米国ってのも笑えるけどリアルだし、その米国と対戦することになってしまい国益をとるか勝負をとるかで内部紛糾ってのもなるほどね~と納得。軍役がない日本だから、こういう軍絡みの展開にはご縁がなくて興味津々でした。
 
さて、物語にはお決まりの悪役が登場しますが、これが常軌を逸した、世界100以上の企業を傘下に持つ化け物のような極悪人。
劣等感の塊から王家に逆恨みして、金で世界を手に入れ、自分こそが王だとのたまう狂人です。各国政府や要人に裏金をばらまき武器は売るはテロはおこすは。やりたい放題です。
同じ韓国人でありながら、とにかく王室一家を貶めることに生きがいを感じ、商売に不利益をもたらす両国和平をとことん妨害、この悪人の設定にもブラックな含みが感じられます。
演じているユン・ジェムン氏がまた、適役~。
ジョン・マイヤーってまったく似合わない名前なんだけど(笑)韓国名はキム・ボング。 
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なんかこういう、ちょっと変人タイプ?の悪人がものすごくお似合いですね。『根の深い木』でも『マイダス』でも。
 
このボング率いるクラブMが、なんと現国王夫妻を暗殺してしまう辺りから、中盤~終盤とコメディ路線から一転、どんどんシリアス度がアップしていきます。
 
兄の死で突然王位に就くことになるジェハ。未熟で力のないクズだった彼が、ハンアや側近たちとクラブMに立ち向かっていくことになる。
利害関係のずれから、南北の関係は改善したり悪化したり。そのたびに翻弄されつつ、却って互いへの想いを募らせていく国王ジェハとハンア。
 
イ・スンギくん、『九家の書』でも魅せてくれたけど、クズからまっとうに立ち直り、さらには王としての威厳を身に着けていく成長過程がとても上手で、今回の王様役にも魅了されました。
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そしてやっぱり、ハ・ジウォンさんが素晴らしい~~
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ますます大好きになりました。安定したアクションシーンのダイナミックさ、かっこよさ、
韓国女優さんのなかで彼女の右に出る方はいないのでは~。
彼女を初めて見たのは『茶母タモ』。見事なアクションと殺陣に圧倒され、続く『ファン・ジニ』では優雅で凛とした伝説の妓生を熱演。『バリでの出来事』『シークレットガーデン』で愉しませてくれたキュートさはこちらの作品でも健在で、目下視聴中の『奇皇后』ではもう、アクション、剣術、たおやかな美しさと、魅力全開。豪華な衣装も優雅に着こなし、ほんとすごい女優さんだわ~とほれぼれしてます。
 
さてさて、クラブMとの対決が苛烈化していく終盤はかなり深刻な状況設定で、膝を正すまではいかなくても、こちらも笑ってはいられない真面目な心境になって観ました。
 
アメリカが北を攻撃すると宣告、それなら北はソウルを攻撃するというところまで事態は切迫。対する韓国はデフコン2(アメリカ国防省の戦争準備体制。5から1まで。1が最高。キューバ危機時で2だったとか。Wikipediaより)を発令するまでに。ひょっとしたら起こり得るかもしれない危機を映画並みのリアルさで描いていて、も~どうなるんだと釘づけ。
その戦争危機を回避するために決死の覚悟で作戦を決行するジェハと側近たち。
右腕シギョンがね~、もう…涙…。クラブMにはもと英軍出身の女性テロリストがいて、これがまた狂人でシギョンにひどいことを~~。
 
そうそう、このシギョンと、イ・ユンジさん演じるジェハ妹の王女とのロマンスもすごくよかった~。韓国でも絶賛のお二人だったようで。
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イ・ユンジさんといえば、『宮』でも皇女役。『大王世宗』の昭憲王后の熱演は印象的で、一方『19歳の純情』ではハチャメチャお嬢様。『大風水』では有名な高麗ウ王を産むパニャ、と演技幅広い女優さんです。今回の王女さまも登場シーンではまさかのロックシンガーで登場!ハデキラ衣装でマイクを抱えて熱唱する姿にびっくりでした~。
このハデ好みの高慢な王女さまが、兄王の暗殺の過程で無残な犠牲をこうむることになり。。
自分とは正反対の堅物軍人シギョンとの心の触れ合いと、彼の支えで悲惨な境遇を乗り越えて自信を取り戻していく姿に笑いと涙をもらいました。

中盤、王となったジェハが、兄の敵と知ったボングに挑戦状を送り付けるのですが、この演出がよかった。
私(ジェハ)に有ってお前に無い物はなにか教えてやろうと。まんまとジェハの心理作戦にはまってしまうボング、我慢できずにビデオレター開封に挑戦してやっとの思いでパスワードを見つけて開封するんですが、この答えに、う~むなるほどとうなってしまった私でした。
答えを明かしちゃうと未視聴の方には面白くないですから伏せますが~。。
これってこのドラマのテーマに通じているのよねぇとやっぱり感心してしまいます。
 
ネタバレすれすれで語っちゃいますが。。ジェハ曰く
自分には力はなくても、無条件に受け入れて支えてくれる家族や恋人や友人、仲間がいる。
それこそが自分の力であり武器だ、と。
どれだけお金や武力暴力をもってしても、人の絆には勝てない、人の絆こそが最高の力なんだよね、ということでしょう。深いです。
 
そうそう、大妃さまにユン・ヨジョンさん。この方も『私の心が聞こえる?』
から一転、高貴な役柄をビシッと決めてらっしゃってさすがでした~。
 
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最終話は、感動的にしめくくられて涙しました。
ドラマを創った制作陣の思い、支持した韓国視聴者のかたたちの気持ちが伝わってきて。
世界で唯一、分断されたままの国である自分たち民族の悲劇、統一の悲願、韓国には王室はないが、現実にこういうことがおこったらどんなにいいだろうか、って願いが透けて見えてきて、泣けました。
 
またまたなが~い記事になってしまいました。
最後までお読みくださりありがとうございました。
 
王室ラブロマンスかぁ、って軽い気持ちでスルーするにはもったいない、笑いや胸キュン以上に色々と真に迫った現実感を、とても上手に伝えてくれる作品でした。
おすすめです♪