毎週2話ずつ欠かさず観ていた『九家の書』観終わりました。とても気に入っていたので終わってしまって寂しいです
お気に入り度はキラキラ
『九家(クガ)の書』全24話 KNTV:番組HPKNTV『九家の書』
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番組紹介
■MBC 2013 全24話 韓国放送2013年4月8日~2013年6月25日
■出演:
イ・スンギ(『キング~Two Hearts』)
ぺ・スジ(miss A)(『ビッグ~愛は奇跡<ミラクル>~』)
イ・ソンジェ(『妻の資格』)
ユ・ヨンソク(『深夜病院』) ほか
 
■企画:イ・チャンソプ
■制作:アン・ジェヒョン、シン・サンユン
■製作総括:パク・テヨン
■脚本:カン・ウンギョン
KBS『栄光のジェイン』『製パン王キム・タック』『強敵たち』『タルジャの春』
MBC『ナイスガイ』『ホテリアー』
SBS 『ガラスの靴』『白夜3.98』
■演出:シン・ウチョル
SBS『紳士の品格』『シークレット・ガーデン』『シティーホール』『オンエアー』『プラハの恋人』『パリの恋人』
■演出:キム・ジョンヒョン
企画意図 (KNTV・HPより引用)
『人は何のために生きるのか。さらにまた、人間らしく生きるとは如何なることか。我々を人と規定する条件とは果たして何か。 このドラマはまさにこの問い掛けから始まる。人間になりたい半人半獣の主人公が、人間になるための試練と苦難、愛と情熱、背信と傷痕などを体験し、喜怒哀楽を味わいながら、真の人間愛と自我を発見していく過程を通じて、果たして人間の条件とは何か、何が我々を人間として存在させているのかを、この主人公の視点を通して、語ってみようと思う』
↑これを読んでも分る通り、このお話は単なる九尾狐ファンタジーではありません。
主人公は神獣(父)と人間(母)の間に生まれた半人半獣
この事実に直面した主人公と、家族、仲間、恋人、師匠、そして親の代からの敵など周りの人々が、彼をどう捉えどう受け入れていくかを、様々な事件を絡めながら描いています。
 
人をひと足らしめるものってなんだろう
人の姿をしていても人として認められない行いや考え方とはどういうものだろう
なんて深~いことも考えさせてくれます。
 
人間世界では、どこでもどの時代でも、必ず起こる問題=自分たちとは異質のもの、相容れないものへの差別や排除。これらは驚愕、恐怖、不信感、といった否定的な考え方からくるもので、現代社会のいじめ問題や外交問題にもつながっています。
一方で、愛や友情、信頼や尊敬といった肯定的な、異質なものでも認めようとする考え方も、人間世界にはちゃんとあるのも事実。そういうものこそが大切であることは、相手が人だろうと神獣だろうと変わらないんだということが描かれていて、安心や希望を感じられるいいドラマだったなぁと思います。
 
ところでこの物語での九尾狐クミホ、一般に言われる狐の化け物とはちょっと違う。九尾狐ってのは人間が勝手につけた名前で、別にしっぽが9個もあるわけじゃない。
九家とは太古から森を守る神霊の一族。禍々しい魔物ではなくてむしろ聖なる存在、という設定です。
 
ストーリーと感想(ネタバレあります。ご注意ください)
1話~2話では、千年もの間、智異山の森を守ってきた神獣ウォルリョンが、初めて人の娘を愛し、その愛のために滅ぼされてしまう悲話が描かれます。
この2話がもぉ~とってもよかった~キラキラもっと観ていたかったかもにひひ
ク・ウォルリョン=チェ・ジニョクssiイメージ 2
神獣の彼は人間の持つ世俗の垢とは無縁。無垢で純粋でキュートなところもあって。
そんな彼が千年生きてきてはじめて心惹かれる女性に出会う。耐え忍ぶ娘の気高くも痛々しい姿を見守るうちに、驚きと憐れみが深い愛情に変わっていき…
人間と関係を結ぶべきではないと必死に心にブレーキをかけるも
どんどんソファに魅入られていく様子、細やかな心の変遷がとてもお上手でした。彼は後半からも悪鬼となって登場するのですが、暗闇を歩く姿や、後ろ手にすっくと立つ姿に哀しみがひしひしと伝わってきて。ジニョクssi名演でした~チョキ
 
ウォルリョンが魅せられる両班の娘ソファ=イ・ヨニちゃん
イメージ 3『ファントム』ではかっこいい警察官ですが、こちらではか弱い少女のはかなさも漂わせ。自然で透明感のある美しさがにじみ出るようで。ソファの持つ娘としての美徳をそのまま体現してます。いいですね~こういう女優さん、好きです
父が謀反の罪を着せられ目の前で斬られて亡くなる。官妓にされ妓房に送られる現場をウォルリョンが見てしまうんですが…この演出が強烈~今まで同様の設定の人物はたくさん観てきましたが、ソファを受け入れる妓房のしきたりにはびっくりでした。
絶対に妓房には入らぬと拒む元両班の娘の自尊心をくじくため、妓房の行首ヘンスは皆の前でいきなり着物をはぎ取らせて下着姿のまま木にくくりつけてしまうんです~
実は同じシーンがのちに別のキャラでも繰り返されます。このドラマって結構、お肌見せますシーン多いかも
やがて山に逃げ込むソファ、助けたウォルリョンの優しさに打たれ二人は結ばれます。
でもウォルリョンは本当の姿を隠したまま。彼には密かな決意が。
 
一族に伝わる「九家の書」
3つの苦行に耐えながら100日過ごせば手に入り、人間になることができる。ソファのために永遠の命を捨てる決意をして、これを得ようと努力するウォルリョンですが…。あと10日というところで兵に捕えられてしまうソファ。妻を助けようとして本当の姿をさらしてしまうウォルリョン。
自分に100日の祈願をさせた女性が裏切った場合、彼女の命を奪わない限り、書が得られないばかりか千年の悪鬼にされてしまう運命のウォルリョン。でもソファのほうは目の前の恐ろしい姿の生き物が夫だなんて信じられずに拒んでしまう。
本当に愛してたのに、なぜだと言い残しつつ消えゆくウォルリョンを、涙をあふれさせながら見つめるしかないソファ。
ウォルリョンの純粋な深い愛情が哀れで、ソファの気持ちもとてもよく分かるだけに…泣けました
たった2話なのにものすごーくインパクトある二人でしたグッド!
 
で、お話の主人公はこの二人の半人半獣の息子
チェ・ガンチ=イ・スンギssi
イメージ 4わたくしお初です。とっても好感度大!の俳優さんですね彼の持つ清潔感や真摯さがこの役をより魅力的にしていたなーと思います。
 
ソファによって川に捨てられた彼(これには事情があるのですが)は自分を救ってくれた育ての親から深い愛情を注がれ、まっすぐな好青年に成長。
家族のためなら全力投球、無鉄砲だけどみんなに愛されている。
 
そんな彼が半人半獣という想像もしなかった自分の正体を知ります。
 
彼自身が苦悩する前半は、孤独な姿に涙を誘われ…
仲間たちから異端視され苦しむ彼を守るのが
無形道館の一人娘タム・ヨウル=ぺ・スジ(miss A)ちゃん
イメージ 5彼女のキャラもとてもよかったです。前向きでさっぱりした男前な性格、っていうのかしらん。
スジちゃんの可愛らしさがぴたりとはまっていました。
濁りのない清い心の持ち主で、仲間として傷ついたガンチを守るうちに、愛情にかわっていく…
実は彼女は、ガンチと男女の縁を結べばどちらかが命を落とす、という予言をされてます。
それを知った上で、ひたすらガンチを信じ想い続ける潔さも素敵でした。

この物語はロマンスがメインでもあるのですが、主役二人の爽やかさのお陰でくどさがなく、いい雰囲気に仕上がっていたな~と思います
 
中盤からは悪鬼となって戻ってきた父との対決、捨てられたと思っていた実母との再会を絡ませてさらに大波乱~。
2話だけで終わって欲しくなかったウォルリョンとソファの物語がきちんと結末まで描かれ、息子のガンチがそれを乗り越えていくのも、納得いく展開でよかったです。
(ソファ役がヨニちゃんじゃなかったのが残念でしたが~。年齢的にヨニちゃん=スンギくん母は無理があったかな。ウォルリョンは歳をとらないからジニョクssiのままで(笑))

脇陣です。
チョ・グァヌン=イ・ソンジェ氏
イメージ 6ソンジェ氏~。名演っていえばこのお方も凄かった!ソンジェ氏、ちょっとしか観てない『ポセイドン』もかっこいいし『妻の資格』ではとっても素敵だったのが、ここではもう諸悪の源。
極悪非道を絵に書いたような見事な悪役っぷりでした!
声色も少し甲高いヒステリックで不気味な感じに変えてらっしゃって、ほんとこの方が徹底した悪だったのが物語を見応えありにしていたと思います。
 
最終話、どうしてそこまで悪なのかと問われ、自分でも分からない、ただ己の思いに忠実だっただけだと答えたのが印象的でした。とどまるところのない人間の欲に捉われ、逃れられなかったという意味では彼の生き方も悲劇的でした。
 
イメージ 7ヨウル父にチョ・ソンハ氏
イ・ス@世宗~は、こちらでは主人公の師でありながら避けられない因縁も持つ複雑なやくどころ。
実はウォルリョンを斬ったのはこの方。
つまりガンチには父の敵でもある。
この因縁を解いていく二人の葛藤、娘の運命の前になすすべのない父の悲哀など、みどころ多々でした。
 

イメージ 8パク・ムソル=オム・ヒョソプ氏
この方もあちこちでおみかけします。最近では『イニョン王妃の男』で悪役だったのが、ここではガンチを拾って育てる善人の代表。
彼の人柄、生き方が、ガンチを人足らしめる下地を作ったともいえます。

 
イメージ 9イ・スンシン=ユ・ドングン氏
なんと大御所さまが、物語唯一の実在人物
イ・スンシン役で登場~。
秀吉の朝鮮侵攻情報をキャッチして密かに軍備を進める設定で、史劇好きには興味をそそられる部分も~にひひ
これに絡んで日本の豪商が登場して敵対するのは面白かったのですが。。
韓ドラではすでにお決まりの、あり得ない衣装いでたちに苦笑い。
特に女性の着物の着方がね~目も当てられないみっともなさであれじゃ芸妓さんでしょー。もう少し品のある柄行や着方を研究していただきたいもんです。
それはさておき、ドングン氏はさすが重みのある役どころ。
仲間の反発にあって苦悩するガンチに、深みのある助言を与えながら道を示してくれる、人生の師となるんですね。
二人が差し向かいで語り合うシーン、いいセリフに感動でした~
 
その他若手陣

パク・テソ=ユ・ヨンソクssi パク・チョンジョ役:イ・ユビssi コン=ソンジュンssi
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テソとチョンジュ兄妹、父の死を堺に運命に翻弄されガンチから離れることもあるものの、
父パク氏の良心はちゃんと引き継いでいたのがよかった。
ソファやヨウルとは違った生き方を選ぶチョンジョもまた芯の強さが魅力的でした。
コンのソンジュンssiは『ホワイトクリスマス』(→過去記事が記憶に残っています。
今回はお茶目な面を楽しませて頂きましたにひひ
 
最終話では、ガンチとヨウルの予言絡みの展開に涙…
ウォルリョンがもう一度目覚めて助けてくれるかもと期待したり、九家の書の力がヨウルの献身を認めてくれないかと願ったり(だって命がけで神獣を愛したわけですからね~。ま、そもそも100日祈願してないから無理な話なんだけど)
 
いきなり422年?後でタイムスリップものに変わっちゃったのには、正直面喰いましたが~
父が千年で母を見つけたように、ガンチも永遠のときを生きながらヨウルとの再会を待ち続けたわけですね。なるほど~のまとめ方。
ま、キャストみなさんが次々、役者名そのままで登場するなんてのはもう、視聴者サービスなのか制作陣のお遊びなのかって感じで笑ってしまいましたが、
楽しく愛のある結び方でよかったと思います。
あ、でも、ドングン氏はなんだろう~?あのいでたちは『アテナ』なのか!?(爆)
 
九家の書って、実体のない、人らしく生きるための指標みたいなものだったのかも。
 
ながーい記事をお読みくださりありがとうございました。
お薦めの一本です
グッド!