今日はイタツキバラ。
獅子舞やニンブチャー(念仏踊り)で、
まだ現世に残っているあらゆる邪気を払うための行事です。

8月14日の八重山毎日新聞に掲載されていた蔵下芳久氏の
『お盆と病祓(いたつきばら)』という記事によると
「先人たちは、お盆で送り火を燃やして祖霊を後世に
送り返しても、供養されない無縁仏や餓鬼仏がさまよって現世に
祟(たたり)をもたらし、病気も、物の怪(悪霊)が取り憑くと考えたので、
悪霊を調伏(退治)する病祓の獅子囃(本土では獅子舞)の行事が生まれました」
とあります。

この記述からも分かる通り、行事の持つ性質からして
イタツキバラ」というのが本来の表記であると
思うのですが、この記事を掲載した八重山毎日新聞でさえ
別の記事では「イタキバラ」となっています。
我が地区の町内に立つ掲示板には「イタツキバラ」と書いてありましたが
これも、数年前には混同されているのを確認しています。
なんでこんな混同が起きているのか長年の疑問なのですが…。
地元の人は「シ」と「ツ」をよく書き間違えるし言い間違えるという話を
関係者の方に聞いたことがあるのですが
そのせいなんでしょうかね…。

こういう疑問にとてもワジワジするんです、もと編集者としては。
多分来年も同じ疑問を持ち続け同じ事を書く気がする…w
(ちなみにマックスバリュをマックスバリューと表記されているのを見つけても
ワジワジーな俺w)

イタツキバラは、地区によりやる場所とやらない場所があるし
お盆中の行事がなくてイタツキバラだけ行うという地区もあります。

我が地区では、ウークイの翌日に行います。

地元小学校6年生による子ども獅子からスタート。
その前に、校長先生が会場全体に清めの塩を撒きます。
こういう部分をぜったいに飛ばさずにきちんと行うのを見ていると
島の年中行事というものが単なる「人が集まるお祭り騒ぎのイベント」ではなく
生活の節目節目を彩る大切な神事であることを再認識するのです。

$石垣島ゆがふ日記
棒術も、地元の獅子棒保存会の方に指導してもらいます。

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雌雄2体の獅子が熱演。今、こうして獅子を操っている子どもたちが
やがて大人の獅子に入るようになるんでしょうね。
もねちんたちがこれをやる日…
まだまだ先だと思っていてもすぐに来ちゃうんだろうな。

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頭を噛んでもらおうと、多くの親が子どもを差し出します。
今年は人気が高くて、なかなか獅子に気づいてもらえない!

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ナナチンガ二の太鼓。
太鼓を持つ人は後ろ向きにぴょんぴょん飛びながら進み、バチを持つ人が
それを追うように前に進みます。会場を一周すると、足が動かなくなるほどキツイそうです。

このあと、棒術や獅子ブギという獅子を誘いだすための独特の動きが行われ
いよいよ大人の獅子が登場。
ほんとに「こういう生き物」にしか見えないような
自然な動きで、何度見ても感動します。
$石垣島ゆがふ日記
ドラム缶を使ったアクロバティックな動作もなんなくこなします。
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立てたり転がしたりも獅子が自分でやります。

このあと、お囃子がアップテンポに変わった瞬間
「暴れ獅子」に大変身し、会場内を所狭しと駆け回り、
噛み付き回り、時には子どもが足を噛み付かれて引きずられていきます。
「もう、今年は怖くない」宣言をしていたはずのもねちんも
いつのまにやら私の背中に隠れているし…!

不思議なもので、本当に獅子舞が終わると
夜の空気がふっと軽くなったようになるんです。

$石垣島ゆがふ日記
空には、怖いくらい明るい満月。

これで、お盆中の行事はすべて終わり。
あとは、20日に「アンガマトゥズミ」が行われます。
青年会のみなさんが、地元民への感謝の意を表し、
面をかぶらずに踊ります。