11月に入り、ふと気づくと、母のことを
なんとなく思い出す事が多かった。

でも、喜怒哀楽の気持ちを持つまでも行かない、
ほんとに一瞬心にぽっと浮かんですぐに消えてしまうような
淡い感じ。

だから、別段、言葉にもせず、その意味も考えず。

だけど、日を追うごとにその機会が増えて行き、
「なんか最近…やたらに…」とそこまで考えてハッとした。
ああ、命日が近いんだった…。

命日前日の昨日は…
もねちんに「夜ごはん何食べたい?」って聞いたら
「ハンバーグ。お母さんが作ったやつ」という。
あれ?私も食べたいと思っていたんだよ、と思いつつ
ひき肉もちょうど安くなっていたので買って帰った。

そうだ、もねちんにやらせてみようと
たまごを割ったり、ひき肉こねたりやらせてみた。
そりゃもう楽しそ~うにコネコネしてました。

時間があまりないとき、生焼けだと嫌なので、
軽く焼いたら煮込みハンバーグにしてしまうことが多い。
今回も、野菜やキノコ類をいっしょにソースに入れました。

「お店で食べるよりずっともねのハンバーグの方がおいしいね!」
と猛烈な自画自賛。まあ、ほんとにおいしくできたのですが。

ハンバーグ…。

母も、よく作っていたんです。
母のハンバーグは、あまりひき肉を丁寧にこねなくて
タマネギも割と大きめなみじん切りで…良く言えばワイルド、悪く言えば雑…
な感じでした。
でも好きだったなー。

病気で頻繁に短い入退院を繰り返していた時期、
私がちょうど帰省しているときにも作ってくれた。

もうだいぶしんどそうな感じだったので
台所に立たなくていいよ、私がやるよとしつこく言っていたら
「これくらいやれるよ!」と有無を言わせぬ剣幕。
焼き終わったフライパンすら私に洗わせなかったんです。
「熱いうちに洗えばすぐに落ちるから」って
スポンジが溶けそうなくらいまだ熱いフライパンに手を突っ込んで
ぐるぐる洗っていた。
水を入れたとたんフライパンから湯気がもうもうと立ちこめて
洗剤の変な匂いが混ざって、むせそうだった。

フライパンさえ持っていて重そうで
口も手も出そうだったのだけど、私はぐっとこらえたんです。

今まで当たり前にやってきた事を
ただ、当たり前にやり続けたいだけなのだと
その痛いほどの気持ちに気づいてしまって。

そんな当たり前にやってきたことが
まさかできない自分なんて
想像もしたくなかったんだろうし
きっと、本当にまったく想像していなかったと思う。

だけど、母は、この後の入院で、そのまま家に帰る事はなかったのです。

考えてみたら、ハンバーグってそんなだった。

もねちんと食べながら思い出した。

だから、「ばーばのハンバーグはねえ、あんまり捏ねてなかったんだよ。
だけどおいしいから大好きだったんだけどねー」って話した。

「じゃあ、もねのが上手?」

そーだねえ。そーかもねえ。w

…まあ、ハンバーグ一つでもこんな感じだったのだけど
それ以外にも、数年ぶりに母の仕事場の同僚の方と連絡を取り合う事態になったり
なんだかんだとベクトルが母に向いてしまうような出来事が
本当に偶然重なり…
「思い出してよ!!」という母の策略にまんまと…!

昨夜、もねちんが
「ばーばから久しぶりにもねの頭にメールがきたよ」と。
「なんだって?」
「今日は、早く寝なさい、だって。お母さんもだからね」

そういって、本当にいそいそと寝てしまった。

眠った後に夢でお祝いやるそうで。
残念ながら私はお祝いらしい夢も見なかったけれど…。

2007年の、11月24日から25日に日付が変わって間もない頃
往っちゃったんだったよな。だからなのかな?

しかし、早いもんだよ。
まだ、不在に慣れない気がする。