3日間のお盆の翌日は、「イタツキバラ」が行われます
(地区により違いますが)。
これは、供養してくれる子孫のちゃんといる「ご先祖さま」の霊だけでなく、
この時期はいっしょになって魑魅魍魎もあたり跋扈しているので
その悪い霊たちをお祓いする行事です。

語源は「いたつく」(病にかかる=悪霊が憑く)のを「はらう」という
ことから来ているそうなので、
「イタキバラ」という言い方をする場合もみかけますが、
意味合いとして正しいのは「イタキバラ」でしょう。
我が地区でも、過去にはどちらの表現も見かけていましたが
ここ何年かはイタツキバラで統一されているようです。

悪霊を祓うのは、シーシー(獅子舞)たちです。

小学5年生が全員参加で行う子ども獅子舞、
そして我が地区が誇る、獅子棒術保存会と青年会メンバーで行われる獅子舞。

どちらも本当に見応えたっぷり。
この肉体的にもつらく、芸術的にも高水準の行事を行っているのは
普段は普通の小学5年生であり、
普通の会社員であり普通のお父さんたち。
毎年のことながら、このことに感動する。

同じ地区で暮らすことが長くなるにつれ、私のように
たとえ親類縁者のいないナイチャーであっても
様々な縁が生まれ、だんだん地域とのつながりも強くなってきます。
そうなってくればくるほど、
「ああ、あの子のお父さんが獅子の頭を!」とか
「あそこの家のニーニーが入ってんのか!」とか
ますます感慨も深くなるのです。

そして、自分の地域の行事を見るのが
なによりも楽しみで、「安心する」みたいな
ホッとするような気持ちも生まれてくる。

今年の子ども獅子も丁寧な動きで、失敗してもくじけない
すばらしい演技でした。
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シーシーが体育館シューズを履いていることに、いち早く気づくもねちん…。

獅子に入るのは男の子なので、
もねちんが5年生になったときには、笛や太鼓のお囃子をするはずです。
お囃子で使う竹の笛、これも自分たちの手で作るのだそうです。
獅子の服(フクダー)も、毎年自分たちの手で作ります。

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子ども獅子でもこの迫力だよ! 
獅子が通ると号泣が起きる!w
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婦人会の盆踊り、古老による「ヒヤルガガッサイ」に続き、
ナナチンガニ太鼓が会場の崎原公園をぐるりと一周し
いよいよ、獅子の登場。

雌雄一組の獅子がじゃれたり昼寝したり、追いかけたり、
本当に、「そういう生き物」に見えてくるほど高い完成度です。
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ドラム缶を立てて前足を載せたり、倒して飛び越えたり、
会場をわかせる演技が続きます。
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そして、お囃子のテンポが速い調子に変わると
シーシーの乱入タイム!
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もねちんは、噛まれる気満点だったのに、
お囃子の音色が変わった瞬間「ぎゃー!」と大絶叫。

シーシーそれを聞きつけ、いい餌みーっけ!と向かってきて…。




オレが食われたぜ…。


昨年、上半身すべて飲み込まれたもねちんは、
獅子の内部で「こんにちは」と挨拶したけれど何も答えてもらえなかった
そして、内部は暑かった、との感想を述べたのだけど…。

今年、私がすっぽり飲み込まれてみて
「あんた、瞬時によくそんだけのことを言ったり感じたりできたね!」と
びっくりした。あとからだけど。
その瞬間、なーんも考えられないよ。ただ暗かった。
なにもしゃべってなかった。
人の気配すら感じなかったもん。

そして、獅子の口から無事生還してみたら、
もねちんが私の背中で発狂寸前の大号泣中だった。

周りにいた友達のお母さんたちが
必死で笑いをこらえてもねちんをなだめてくれていて。

お!おかーさんだけ!ずるい!

とか言っていたけれど、家に帰ってから
「あのまま、おかあさんの頭がなくなったらどうしようかと思って
ものすごく怖かったんだよ」と教えてくれた。

食われるより、食われている人を見ている方が
スリル満点だと言うことがわかりましたw

最後の打ち上げ花火を見て、9時過ぎに家に帰ってしばらくすると、
ものすごく近くで獅子舞のお囃子の音が聞こえてきた。

あ!そうか!
うちのすぐ裏の家が今年新築だったので、そこで呼んだんだ!

というわけで、とるものもとりあえず、でもカメラだけは持って
家の鍵すらかけず(それくらいすぐ近所)ぴゅーっと家を飛び出しました。

新築の家でやる獅子舞は、呼んでくれるお家が年々減り
なかなか見る機会もないんだそうです。
私も見るの初めて。

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夜も遅いということなのでしょうか、お囃子の音が控えめ。
でも獅子がちゃんとこうして2頭いて、おりこうさんにしています。

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狭ーい裏側の通路にもぎゅうぎゅうと入って行ったところを見ると、
たぶん、東西南北すべての角でお祓いらしきことをするのじゃないかと…。
だれかに詳しく聞ける機会があるといいなぁ。

でもやっぱり、シーシー。おとなしくして終わる訳はない。
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お家へ乱入!
中から、子どもの大絶叫。外の見物人からはわはは!と笑い声。

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そして捕まえられ、終了。

この時点で11時くらいには
なっていたのだけど、
まだ次があるということで…
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シーシーは軽トラで移動していきました。

これで、お盆の一連の行事がほんとに終わってしまった。

あとは、28日の「アンガマトゥズミ」だけ。
これは、青年会が地元の住民に向け
「お盆中は、ご協力ありがとう」と感謝の意を表して
もう一度アンガマの踊りを踊る行事です。
ウシュマイとンミーはさすがに面をつけて踊りますが、
ファーマーさんたちは、顔を出して踊ります。
途中、「○○に住む○○と○○の長男○○です」みたいな
自己紹介もあったりして、みんな和気あいあいと盛り上がる行事です。
でも私は今年は見に行けない予定なので…

今日で今年の夏は終わった!
って感じ満点。

あ~充実したお盆だった。
(いや、おっかけやってただけで
島のお嫁さんの苦労はなんもしていないのだけど…)