また、靴がダメになった。
アッパー部がべろんと剥がれてる。ダメだな、安い靴は。



2兄の子が、春から某有名私大の付属中に進学するらしい。



少なくとも、その私大には入れる訳だ。
父親はとても喜んでいた。呂律の廻らない口で。



もう、意味不明なことばかり言う。ほとんど話さないが。



詰め所でお菓子を預けると、看護婦さんが「水曜日は丁度おやつの日だから、前の分もまだありますけど」
と言った。

おやつは毎日じゃなかったのか、いつ変わった。



靴も仕舞われて、寝たきりの父親は、当然レクリエーションも無しだ。

それでも、漏れ聞こえてくる歌声にあわせて、切れ切れに一緒に歌っていた。



文句ばかり言う。苛立つ。だがようやく届いたおやつを食べさせて、父親は一呼吸していた。もうこんなに時間が経ってしまった、母親のところへは行けない。



エリートの卵よ、

死にぞこないを見て、何を思う。



素直に

「汚いな」か。