ある日の事、近所の貧しい家に借金取りがやって来て、
「早く金を返せ! 返さなければ、この家を焼き払ってしまうぞ。それとも、お前の娘を借金の代わりにもらおうか!」
と、脅していました。
さあ、これを見ていた吉四六さんが、思わず借金取りに言いました。
「やめろ! この人の借金をただにしてくれるなら、どんな事でもしてやるから」
するとそれを聞いた借金取りは、ニヤリと笑って、
「ほう、吉四六さんか。これは面白い。それなら向こうに見えている山を、この村まで引っ張って来てもらおうか。それが出来たなら、借金をただにしてやるぞ」
山を持って来るなんて、出来るはずがありません。
ところが吉四六さんは、軽く胸を叩いて言いました。
「よし、わか
った。お前の言う通りにしてやる。だから約束は守ってもらうぞ」
それを聞いて、借金取りはあきれました。
「何を馬鹿な事を。いくらとんちの名人でも、そんな事が出来るはず無いだろう」
「いいや。出来
るよ」
「なら、やってもらおう。あとで謝っても許さんぞ!」
「そっちこそ、ちゃんと約束は守ってもらいますよ」