とまどいながら迷路で遊ぶような紫の潮流が静かな香りをなびかせて滲み出す音の光の中から廃園の情景を映し出す 広々とした流れの表皮に復讐の女神が傷を つけ潮の血があらたなきらめきを散りばめる 疎外に悩む記憶たちの伸縮する光芒から砕けた殻がパラパラと剥げ落ち 交尾中の卵の列が傾いた水平線へ向かっ て衰弱した長蛇の列を描く


か る ぱ か る ぱ  ま は ら ざ ん た
か る ぱ か る ぱ  ま は ら ざ ん た


滲む音 滲む光 滲む血潮 滲む腐臭 屍躰の艶

静かだね 風が止まる 息だけが動く 

ぞろぞろと うごめく かなたへと うごめく 小さくうねって

閃光の落下 疎外の破裂 孤独の繁殖 餓えてゆく涙


か る ぱ か る ぱ  ま は ら ざ ん た
か る ぱ か る ぱ  ま は ら ざ ん た


妖 艶な屍躰から派生する金利の増殖が綺羅めいて錯誤を照射する鉄鋼に象嵌された貝殻の物語は海凪の沈黙が奏でるかのように蒼白で狡猾で残酷で緻密で 迷える 者達の躊躇を裁断し咀嚼して消化して排泄し惜しむことなく増殖する金利たちの下肥として分け与え 無我を悟った真我に刺青を施して八十那由他光年の浄土にお わします毘盧遮那仏への供養として火葬するための儀典書に幾重にも焚き染めた越後の薔薇の発情をそっと舐めようとする廃園の視線を遮断する





          手をつないで

           光ってゆく

             光

  消えてゆく

             光


                     消えてゆく

             透明

透明に浮き立ち             透明に沈む

             透明


           残響の微香



           羽毛の影に

             乗って

   はかなく     かるく       ただよう

            蜜の香りの

             まどろみ



   か       ぞ       え      き

        れ      な       い

          羽  毛  の  泡

      光芒が    満たす    大気

        千本の 水平線を 越えて



朝霧が包む
まどろみの様な
日の出
冷たく濡れた風を射抜く
黄金の矢

いのち
いぶき
降り敷くときめき
ゆらり昇り来る
乳香の泡立ち

霧の中に揺れる
淡雪のような慰め
震える小鳥を包み
凛として鼓動を放つ
山吹色の芳香

はばたきの歌は
きらめきの羽根飾り
天女の羽衣に透ける
うすく うすく
あでやかな花

一振りで
天空を洗い清める
たおやかな衣の袖
まばゆい純白の舞が
彼方の彼方を照らす

天界の花園を
ひと吹きした白光
目醒めた蝶たちは
一瞬にして飛び立ち
天翔る黄金の潮となる

金色の波が縁取る
純白に輝く渦潮は
無礙光の来臨
眩しすぎる光の綾に
すべての魂は昇天す
アクアマリンの楼閣を思い浮かべてごらん 天上の光が粒粒の物語に照り反って 幽かな風に揺れる透明な青まで泳いでいくと様々な祈りがわたしを通り過ぎる
祈 りたちは黄金の糸を引いて散り散りの軌跡を描き満ち満ちた青の中を舞うように飛び去った 金針水晶となった空間にいつの間にか響いている祈りの歌 聖なる 願いとどす黒い慾望と赤く燃えたままの願望が大いなる生命の和声となって天を創ってゆく 響きで編んだ空 祈りの響く空 願いをかなえる鳳が地球の半分を も覆うようないつくしみの翼で願いたちをやしなっている 羽毛の羽枝のひとつひとつに抱きしめられた祈りたちは鳳のオーラからしみ出る乳を飲む 祈った人 のために祈りながら 祈り自身がより深い祈りとなって祈りの中へ沈んでゆく 鳳がはばたくたびに天上の愛が祈りの中へと沁み込んでゆく 翼の抱擁の中で深 く静かに愛された祈りたちは手をつなぎあって鳳から舞い降りてゆく 祈りにつながる人びとのもとへ いつのまにかそら一面のダイヤモンドダストが柔らかな 黄金の繊毛のようにかすみ 鳳の緩やかな舞の余韻から 祈りがふりまかれ叶えられ 人びとの願いが叶えられ この星を自転させる糧となる
星の奥
月の吐息が流れ込む
雲に咲く蓮 闇神楽
吹き荒むまま
虚ろな肋

星の奥に重なる
闇の闇
光の光
無限のヴェールを見透かして
宇宙線が洗う月光

星空の奥に居並ぶ
水晶の巨柱
遙か頂きの月たちは
七色の光を吐いて
いきもの達の恋を飾る

星の海
豊穣のたわわなる
潮の果実
散る波頭
星の海

星の奥
銀河の渦の
しら雪の
光りてりはえ
さきはえたまえ