異次元からの訪問者達          
 
 数日後の夜、外にエルの気配、隣家を伺っているようすだ。 

私はエルを感じながら眠ってしまったが、夜半、隣家が多少騒がしかったようだったので、

朝、早速隣家を訪ねたら、恋人のマイクが出てきた。

 

私が、「昨夜は彼女、おかしかったでしょう」と、挨拶すると、彼は目を丸くして、
 「ウンウン」とうなずきながら驚いて、奥の部屋を指さして、「シーズ・クレイッジー」と、言う。
 
そのマイクの声をきいて、彼女が出てきた。 彼女はまだ上気したような顔で、
 「夕べね、エルさんが来たの、清々しくて直ぐに分かった。」

「聖霊よ、泉のような清らかな、頭がス-っとして、自分がすごく素直になれて、嬉しくて

嬉しくて・・」と、立て続けにエルを賛嘆する彼女に、 「エルの姿視た?」と、尋ねると、

「ううん、見なかったけど、エルさんだと直ぐ分かった。

窓という窓から、いっぺんに私を視ていたけど全然怖くなかった。 命が洗われたみたいー  

私、エルさんの洗礼受けられて良かった」と、興奮して話し続ける彼女とダブって、

そのときの様子が私に視えてきた。


 私は、彼女がエルに拒否された事を知ったが、彼女にそれを言えなかった。

マイクはその間、「彼女は、昨夜一晩中仰向けに寝転がって、ベィビィーの真似をしていた、
子供をほったらかしにして、彼女はキチガイだ!」と、片言の日本語で私に話し続けた。


  数日して私が買い物から帰ると、籐の椅子にエルが腰掛けていて、
私を見るなり、スッと立ちあがり、『しばらく・来ない・・・』と、私に告げた。


そして数日間はまだエルは天空に居たが、そのとき天では不思議な事があった。 

エルとは違う異質の生物が、こちらに近づいている。

私が黙って視ていると、マイクが家から出てきて、「自分が小さい頃、火事にあったとき

助けてくれた宇宙人(シルバーマン)が会いに来ているので、河原に行く」と言って

自転車で出かけた。

 

けれど天では、エルに気づいた〈シルバーマン〉が、何故か慌てて逃げ去ったのだ。
 この様子を視ていた私の側で、彼女が、「エルさんの洗礼を受けたから、

私にも視えるようになった」と、喜んで言った。 

「あら、見えてたの?」と、二人で話していたらマイクが帰って来て

「せっかく会いに行ったのに、帰ってしまった・・・」と、言う。 

マイクは、エルの存在に、全く気がつかなかったようだ。

シルバーマンが遠くに去ったのを確認すると、エルは天の彼方へと向かった。


そしてこの時、ずっと遠くの天の彼方でも、それとは又、別の違うタイプの異星人たち、
グレイと呼ばれてる)が、エルに何か言ってる様子が見えた。
エルが、「私は、私の守るべきものを守っただけだ」と、グレイ達に言うと、

その一言で事は片付いた。 グレイ達には、それ以上の権限はなかったようだ。
 
その夜、私は涙がこぼれて眠れなかった。
東京上空に留まっていた未知のエネルギーは2週間ほどたった頃、

ちょうど私の眉間の『光』と同じ八面体の(バリアーみたい)に、地球をすっぽり包み込んでいた。