19世紀、時はバブル期の頃です。
気がついたら、指輪のダイヤが一粒が無くなってた。
V字形のプラチナ台に、長方形のダイヤが9つと真四角の小粒のダイヤが9つ、
二列に並んで、合計1カラットの造幣局の印が入った指輪だ。
このダイヤの指輪は、私が一番最初に思わぬ安価で手に入れた
サファイヤの指輪と 重ねて着けるととても豪華に見える。
このときは、たまたまサファイアやを外していた。 まるで歯が抜けたような指輪・・
バイクを立てるとき、時々指が当たっていたが、(ついに落ちたか)そう思って諦めていた。
で、宝石屋さんに月割りで6000円ずつ払っていたが、支払いの時
その指輪を外して いて持っていなかった。
でも一応、「歯が抜けちゃってね・・今度持ってくるわ」 などと話したら、
「修理代金が2万円位かかる」と言うので、修理に出せないでいた。
数ヶ月すぎて、天気の良い温かな日だったのは覚えている。
その日は、うちのオジサンが庭でなにやら大工仕事していた。
天気が良く気持ちが良いので、ベッドのシーツを換え大洗濯して
買い物に出かけ、 買い物から帰った時はおじさんは居なかったし、
私は急に、いたたまれないほど眠くなり、ベッドで寝てしまっていた。
すると眠りの中で、私は輝く菩薩のような姿をしていて、手のひらで砂をすくっていた。
砂は、私の手の平の上で砂金に変わり、サラサラと指の隙間からキラキラと舞い
落ちる様が余りに素敵なので、何度も繰り返しやっているうち目が覚めた・・・・
(あれっ・いつの間に・・) そう思って起きあがろうとすると、
手の平に何かザラザラとした感触がある。見るとベッドの中が砂だらけだ。
掃除機をかけ始めると、長~い絨毯の一本の毛の上で一つ、
ふんわりと舞い降りたよう に、キラリと光る物がある。
吸い込まれるように、ジーっとその光の一点を見つめていて(まさか・・・)
つい今しがた見ていた夢が蘇り、そして、
「この光は、ダイヤの光だ!」、私の頭がそう叫んだ。
指先で摘んでみると確かな手応え。なんとも云えない歓喜が体の底からこみ上げて来た。
早速セロファンに包んで、外しておいた指輪と緒に宝石屋へ駆けつけたら、
驚いたのは 店員さん。
「わ~っ貴方ってホンっト・不思議な人ね~っ」と、
「無くしたって聞いてから何ヶ月になるの? ・いちに・・・3ヶ月半くらい?」。
そうなのです。
米粒の何分の一位しかない、小さな小さなダイヤの一粒がー
「これは奇跡よ」って、店員さんの声に力が入ってました。
修理費用(2000円)で済みました。(ばんざぁ~い!)