でね、他人と比較することによって・・・というか、弟の場合は、
バカ正直な姉が怒られているのをみて、その横を上手い具合にすり抜ける
スベを身につけていたようでした。

時々、平気でウソをついて、私がやったことになって怒られた・・・
なんてことは、しょっちゅうありました。
弟がかわいいので、全然気にならなかった・・・はウソでしょうが、
仲のいい姉弟でしたので、「ま、いいか」と思っていたようです。

比較することを憶えた割には、あまりに無防備な子供ですね。
長女体質っていうんでしょうか?
けっこう、おっとりとしていました。

学校で何か壊されたことがあって、その場にいたために濡れ衣・・・
のようなことも何度かありました。(いわゆる冤罪ってヤツですね)
しかし、みてわからないんでしょうか?
大人ってバカだなぁ・・・とも思っていました。

不思議なことには、子供社会にも派閥が出来ることです。
そして、毛色の違う子は排除されていく・・・価値観の違いですわな。
私は、どこにも属していませんでした。

属していなかったけど、お友達のすることには興味があったようで、
ピアノを習いたがりました。

幼稚園の頃から習い始め、小学1年生の時に、ちょっといい先生のところに
転入しました。とてもきれいな女性で、お家もキレイ、グランドピアノが2台あって
いつもグランドピアノで練習させてもらっていました。

そこに”ゆかりちゃん”という女の子が既に・・・いわゆるちょっとだけ先輩ちゃん
ですね、彼女がいつもいました。

先生は、リズムをとるために時々ポンポンと背中をたたくのですが、先生がちょっと
いなくなると、”ゆかりちゃん”は必ずやってきて、私の背中をボンボンとたたき
ました。

時に頭をたたくこともあったのかな・・・先生がみつけて叱ったように覚えています。

でも、私は全然わかっていませんでした。
「ゆかりちゃんは、なんでたたくのかなぁ?」というより、最初は気にも留めて
いませんでした。

本当に、気にしないってことは怖いことで、彼女の怒り(嫉妬)は心頭に達した
ようでした。

ある日、赤いサンダルを買ってもらったので、嬉しくてそれを履いて行きました。
初日ですね。
嬉しいですね、ランラン、ルンルン♪でした。

でも・・・
そのサンダルには、二度とお目にかかることはありませんでした。

ピアノのレッスンを終えて、帰ろうとしたとき、サンダルがない!のです。
どんなに探してもない、ない、ない。
大人用のサンダルを先生に貸してもらって、帰りました。

先生も、多分ついて来て下さったと思います。
先生の家でサンダルがなくなったことのお詫び?のためでしょうか。

私はのんきに、「どーしてなくなったんだろう?」「どこへ行ったんだろう」と
本気で考えていましたが、大人の間では、もうこれは問題にしないことに
なったらしいので、私も黙っていました。

発表会の当日、出番が終わってホッとしていると、先生が”ゆかりちゃん”
を連れてやってきました。
「そういえば、最近みかけなかったなー」なんて、またのんきに考えました。

先生が”ゆかりちゃん”を促すと、驚いたことに”ゆかりちゃん”が私に
頭を下げ、「ごめんなさい」と、言い難そうに言いました。

「?!」
わけがわかりませんでした。

”ゆかりちゃん”は、事情を全然説明しません。
先生も「そういうことだからね、許してあげてね」と焦っています。

どうやら、夏になくなったあの赤いサンダルのことらしい!ということが
やっとわかりましたが、「なんで謝るんだろう?」「間違えて履いて帰った
のなら、返して欲しいんだけどなー」と思っていました。

彼女は、私のことが憎いあまりに、私のサンダルをどこかに捨ててしまった
のでしょう。捨てたのか、誰かにあげたのか、壊したのかは知りません。

「後輩の態度が気に入らなかった」ということなのでしょうが、
私があまりにものんびりし過ぎです!自分でもビックリします。

でも・・・

私にはいまだ、”ゆかりちゃん”の本心はよくわかりません。

サンダルをとってしまったところまではわかります。
でも、普通なら、「昨日、間違えて履いて帰ってしまったの、ごめんね」と
返してくれれば済むことじゃないですか?

そんなに、憎らしかったんでしょうかね、私のことが・・・。

彼女に危害を加えることもしていないし、脅かすほどの才能があったわけでもない。
そんな同年代の女子にライバル心むき出しの”ゆかりちゃん”・・・。

「他人と自分を比較する」から進んだ(?)「嫉妬心」というものに初めて遭遇した
小学1年の夏でした。

どんなに他人と自分を比較しても、手を出したことはないなぁ・・・しみじみ・・・。
自分が落ち込んで終わり、というのも平和的でいいのかもしれませんね。

ありがとうございました。