高校一年生の九月
高校で初めての体育祭
応援団は午後の部で一番、
各チームが順に演舞をする。
各チームの団長、副団長は
特別着飾り、前列中央で踊るため
全校生徒が注目し、輝いてみえた。
よくある何とかマジックだ。
体育祭は終わり、9月の終わり
土曜日の学校がない日に
応援団の打ち上げがあった。
私達は地元では高校生がよく集まる
ファミレスでランチした後
ボーリングへ行った。
私は副団長と同じチームで
一緒にボーリングを楽しんだ。
そしてその夜、副団長から
「お疲れ様!今日は楽しかったね!
ところで月曜の放課後、時間作れる?」
とラインが入った。
返事は言うまでもなく「はい」だった。
月曜の放課後…
土曜日のテンションはどこへやら
副団長からはどこか緊張した空気が
醸し出されていた。
これは…
もしかして…
「一緒に帰ろうか!」
「…はい」
何の話をしたかは覚えてない程の
たわいもない話をしながら
線路沿いを一緒に歩いていると
先輩がふと立ち止まった。
「あ…あのさ!
一緒にいて楽しかったし
その…好きになったんだ!
だから…付き合ってくれないかな!」
高校一年生の秋
人生初めてのストレートな告白を受けた。
これまで中学校までも
仲の良い男友達は少なくなかった。
その中で
「好きなヤツとか…いるの?」
「オレのことって…どう思う?」
と遠回しに言われた事は何度かあったが
意図は何となく分かった上で
どこかまだ恋愛に恥ずかしさがあり
はぐらかしてきたことはあった。
しかし、この時ばかりは
逃れようのない雰囲気だった。
副団長の事は好きではあったが
やはり恋愛対象としてかどうかは
その時の私にはまだよく分からなかった。
「はい…」
副団長の事は好きだった。
しかし、それが恋愛の「好き」なのか
よく分かっていなかった。
この時、私は長瀬くんの件もあり
やっぱり恋愛はまだよく分からない
と思い恋愛対象としての「好きな人」は
誰もいなかった…
その場の空気
副団長の真剣な顔
これまでの流れ…
それらを考慮すると
「ノー」は許されない気がした。
パァっと晴れた副団長の顔を見た瞬間
心の奥に小さな罪悪感が芽生えた…
それに無理矢理フタをして
私も嬉しそうにまた一緒に歩き出した…