もう嫌だ…
生きているのが嫌だ…

ホントの愛ってなんだろう…
「愛」って何…

何もかもが嫌になる前に

ホントの愛の意味を教えて…

ホントの愛をください…


「この前のテストをかえすぞー」

教壇に立っている教師が笑顔で言った

そんなもの返さなくていい
僕たちにとっては全然嬉しくないんだから

僕の名前が呼ばれて、テストを受け取りにいく


予想通り、結果は前回より下がっていた

こんな点数見せたら、怒られるだろうな…

毎回毎回、僕に期待なんかしないで欲しい
いくらお兄ちゃんが出来の悪い息子だったからって
僕にだけ期待しないで…

お母さん達は
僕がこんなに傷ついてるってことを知らないんだよね
僕がこんなに苦しんでることも…


なるべく期待に応えられるようにしてきた

小さい頃は、褒められるのが嬉しかった

お母さん達が喜んでくれるなら…と思って
必死に勉強してきた

今になって思う
小さい頃の僕はバカだったな
単純すぎた

ほとんどの時間を勉強に使ってきたせいで
友達なんか一人もいなかった

というか、僕自身が捨ててきた

小さい頃は友達がいたような気がする
けど、僕がその友達を捨てたんだ

なんて自己中なヤツなんだろう

いつの間にか、「夢」もなくなっていた

昔はお母さん達がよろこんでくれるのが夢だった
今はそんなのどうでもいい

将来の夢?そんなものあるわけない

あっても、叶えられないから…

将来の夢を決めるのは自分じゃない
自分で決めることは許されない

こんな仕事してみたいと思ったことはあった
けど、そんなつまらない「夢」は捨ててきた

勉強の邪魔になるから
集中の妨げになるから

無理矢理捨ててきた

自分に自由なんてものはない

自由が無いのに
僕が生きる意味なんてあるのかな…?

どうしてお母さんは、自由無しの僕を育てているの

もういっそのこと殺してくれればいいのに

お母さんの期待に応えるなんて
僕にはできないんだよ…


僕の心は鎖で縛られている

鎖で繋いであるから
逃げることもできない

自由に身動きがとれない

僕はあ母さんにとっての
 “あやつり人形”

僕はお母さんがみんな に自慢するための道具

「あなたならもっとできるでしょ」

できないよ…

僕がどれだけ頑張ってるか知ってるの…?

僕のことも考えてよ…

宝石みたいに輝くなんて
  できないよ…


僕は誰のために生きてるんだろう
僕は誰のために生きてるの…?

だれか、僕の質問に答えてよ

「自分のためでしょ」
どこからかそんな声が聞こえた

自分のため?
そんなわけない

僕が自分のために生きてるなんて
それは絶対ありえない

自分のために生きてるんだったら
こんなに苦労しないよ
こんな辛い思いはしない…

もう何もかも嫌になりそうだよ
生きてるのも嫌になりそうだ…

ねぇ…僕に本当の愛をちょうだい…


公園で一人砂 場にしゃがみこんで
 “希望”
と書いてみる

すると、子供達が砂場で走り回っていて
僕が書いた“希望”を消した

僕にとっての希望はこんなものなのかな…

見えるのは一瞬だけで
すぐに消えてしまうものなんだ…

小説みたいに“希望”が見えた瞬間に
僕が助かったりしないのかな

あ、まず希望が見えてないからダメなのか…


砂場から立ち上がって、近くのベンチに座る

さっきの砂場を眺めていると
子供たちが元気に走り回っている

みんなとても笑顔だった

僕も…前までは笑顔で過ごしていたのになぁ…

何年くらい“笑顔”になってないんだろう
“笑顔”という表情の作り方が分からない…

どうやって笑っていたんだろう


僕の歩むべき人生は
親が決めるもの

僕が決めることじゃない

親に束縛されている
僕は束縛人形なんだ

あなたは僕の操り師
僕の体、僕の心、僕の頭の中

すべてをその見えない糸で操る

僕は素直に操られるしかない

だって、抵抗なんてできないもん…

抵抗したところで、僕が自由になるわけがない


もしも、これが作られた物語なら
全てを塗りつぶして
捨ててしまいたい

新しい物語を作りたい

僕が自由になれる物語を

僕がみんなに愛される物語を…

作りたい…


どうして僕は夜中に抜け出す勇気はあるのに
お母さんに抵抗する勇気がないんだろう…

「もう嫌だ」

これさえ言えばいいじゃないか

この一言さえお 母さんに言えれば…

僕の人生は変わるんじゃないか…?

お母さんに、みんなに逆らえる
  勇気が欲しい


家にいたくなくなった僕は
また夜中に家を抜け出して
暗い街を彷徨い歩く

みんなに置いて行かれるような気がして
必死についていこうとする

みんなを追いかけていく

そんな人ごみの中
ある少女が視界に入ってきた

どこかで見たことのあるような気がする…

触ったら崩れてしまいそうなほど
か弱そうな小さな女の子

何故か、僕の足はその少女に近づいていく

まるで磁石のように、少女の方に足が進む

「あなたは何がしたいの?」

表情を一切変えない少女が僕の目を見て言った

何がしたい…?
したいことなんて、無い

自由さえ手に入れれば、それだけでいい

「何が欲しいの…?」

そんなの…

「自由…自由が欲しい!」

「だったら手に入れればいいのに。何に戸惑ってるの?」

何に戸惑ってる…?

……何に戸惑っているんだろう…


そうだ、僕は勇気が無いのを言い訳にして、逃げてただけだ

“勇気が欲しい”
そう言ってばっかりだ


でも、どうやって手に入れろというんだ…

僕が自由を手に入れるためにできること
…お母さんにはっきり僕の気持ちを伝えること

お母さんに反抗することじゃないかな


勇気なんか必要無い

僕の気持ちを正直に話すだけ


「やっと分かったみたいだね。早く帰ったら?」

「うん、ありがとう。とこ ろで…君は…?」

「まだ教えることはできない。きっといつかわかるよ。」

「そっか…、とりあえず、ありがとう!」


僕は来た道を急いで戻った。
さっきの子のことを考えながら…。

結局、誰なのかは分からなかった…けど
たぶん、昔の僕なんじゃないかな…?

昔の僕の中にいた、ホントの自分

僕に不満が積もったんだろうね。
今生きてる僕がこんなだから…

でも、もう僕は変わる。

いや、変わってみせる。


家の前に着いて、一旦呼吸を整える。

「ふぅ……よしっ!」

ゆっくり玄関のドアを開ける。
静かに家の中に入り、お母さんがいるであろうリビングにいく。

「こんな遅くまで起きて、何してるの?時間があるなら勉強しな さい。」

「あの…お母さん。聞いてほしいことがあるの。」

心臓がとても早く動いている。
心臓の音がお母さんにも伝わりそうだ…。

やばいくらいに緊張してる…
だけど、言わないとっ!

「もう、お母さんの言いなりにはならない。」

「…何言ってるの?あなたは私の言うとおりにすればいいのよ!」

「僕、いままでずっと我慢してきた。
お母さんが喜んでくれるなら、嫌なことも我慢してやってきた。
でも、成長するにつれて気づいたんだ。
お母さん、僕のこと褒めるとき、心か褒めてないでしょ?
口だけで褒めてるだけでしょ?
もう、僕はお母さんの言いなりにはならない。
僕は僕の人生を自分で決めて生きていく。
お母さんに、僕の人生を操られる わけにはいかない。

僕の心、体は僕のものなんだから
お母さんの好きにはさせないよ。

一度しか無い人生を、無駄にはしたくない

世界で一つしかない僕の心を、
もう少し大切にしてよっ!」


あ、なんかスッキリした。

やっと、僕が何のために
誰のために生きてるか分かった気がする

自分が生きる理由は、自分のため

生きていくのに誰のためとかは無いんだ

もう僕は自由に生きていく

お母さんに何を言われても、もう大丈夫

僕の未来を奪うなんて、絶対許さないから


でも、またお母さんに抵抗できなくなるかもしれない…

そうなる前に

僕を縛ってる鎖を解いてください…


-END-