日本陸軍の諜報員養成機関といわれる陸軍中野学校の実態と
その活動を描く邦画「陸軍中野学校
」。
旧日本陸軍の学校で、
諜報や防諜、宣伝など、秘密戦に関する教育や訓練を目的に設立された。
ひらたく言うと、「スパイ養成学校」ですね
1966年に公開された映画で、
時代設定は昭和13年、シナ事変に突入した頃、
中野学校が創設され、1期生として幹部候補生の将校を収集し、
試行錯誤でスパイ教育を施し、学校運営をしていく様子が描かれている。
現代と価値観・主軸が異なる時代の物語、
正義や真実についての見解も現代と違い、
結果、人々の行動が大きく違う。
-優秀なスパイ1人は、2万人に匹敵する。
-スパイは、真。真心なのだ。
-日本の将来、世界のために、この学校を成功させたい。
創設者の指揮官である人物のロジック(映画では「情熱」という
セリフだったが、個人的には内在的ロジックのひとつだと思う)は、
生徒たちに浸透し、このロジックに反することは許されない。
心の弱さ(本来は、人間の柔らかな愛情や安全で安心な
落ち着いた生活を望む、という根源的な欲求であるが、
ロジックに照合すれば、本人の弱さ、と解釈され、それが
正しいと集団心理で操作される)を持つ者は、
切腹を迫られ、拒み切れずに死んでしまう。
道徳教育をどう施すか、常識の定義をどう位置づけるか、
それによって、人間の行動は大きく変化していく。
正義とは・・・・、時代によって変化する固定化しないものかもしれない。
----------ここからネタバレです。
主人公の1期生は、婚約者を置いて中野学校へ入学する。
配属先もわからないまま家を出た彼は、連絡すると告げたにも
関わらず、特命任務のため、所在を告げる連絡をしないまま。
婚約者の女性は、イギリス人社長のもとでタイピストの
仕事をしながら、彼を探し奔走するが「知らない」と行方がわからない。
行方を捜すなかで知り合った暗号解読部隊にいる男性が
「タイピストとしてここで働き、内部から探してみては?」と持ちかける。
彼女は、婚約者を見つけたいという動機で転職する。
イギリス人社長には転職の理由を正直に話し、快諾してもらうが、
戦時下という状況、経済活動は二の次と考えられ、陸軍を快く思わない
社長は、彼女にスパイとして情報を流してくれるよう協力を求める。
公言できないが、日々の暮らしに大きく影響する一般人のなかには
陸軍に不満を持つ者は多く、彼女も一例にもれず、国民のため、
というロジックを持ち、スパイ活動をはじめる。
一方、彼は着々と教育を受けていく。同期の自殺、同期を切腹させる等の
辛い心情をかもしだす出来事があったにせよ、一期生は結束力を強め、
スパイ教育を習得していく。
卒業試験は、実践で英国の暗号文を盗むという指令。
今まで習得してきたことを実践する場として、彼らは成功する。
しかし、情報は英国に漏洩していた。中野学校は、こちらに不備はないとし、
陸軍から漏れたのではないかと仮説を立てる。そして、調査をするなかで、
自分の婚約者がスパイだったことが判明する。
最期は、自らの手で婚約者の女性を殺し、自殺に見せかけて終結させる。
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スパイとしての技術は、やはり時代の違があり、退屈さを
感じる部分もあるし、教育内容の詳細までは描かれずにいるので
物足りない感もあるのだが、、、
この物足りなさ加減が、ハリウッド映画の派手さや
CG映画に慣れてしまった私たち・・・・そして、
近年の人々が製作する戦時ドラマや映画に比べると、
やはりリアル感がある。
Gyaoで期間限定ですが放映しているようです。
よかったら、どうぞ