ちがいほうけん ちぐわいはふけん 4 【治外法権】


国際法上、外国元首・外交官・外交使節など
特定の外国人が滞在国の管轄権に服することを免れる権利。
特に、裁判権から免れる特権。
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「ここは治外法権ですから」

数年前、東京ジャーミィの近くにある
アパートメントに住む人が言った言葉。


チガイホウケン?


誰かの口から言語として発せられるのを
初めて耳にしたわたしは、その意味が飲み込めず、
後でこっそり友人に確かめた。


東京ジャーミィの周辺を歩いていたら、
なにやら赴きの違う(日本っぽくない)
建物があり、
門の前で立ち止まり、中の様子を見ていた。

窓にはカーテンがなかったので、
その小さな隙間から、ほんの少し
様子をうかがうことができた。

すると人影が動き、すぐにドアから
ハーフっぽい40代位の男性が出てきた。

「何か用ですか?」

と尋ねられ、素直に

「いえ、素敵な佇まいだったので、つい
立ち止まってしまっただけです。
なんだか不思議な造りでうね」

と答えると、冒頭の

「ここは治外法権ですから」

という言葉が返ってきたのだ。



人は、リアルに接触したとき、
自分の生活や日常に影響を与えることが
起こった時、
自分自身で影響を受けると(無意識にでも)
察知したとき、

その意味や関係性が、心の中に
ストン、と落ちて記憶に刻まれる。