直木賞受賞作品「私の男」を読む。


私の男/桜庭 一樹
¥1,550
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こーいう情景感は、自分の肌にひっそり馴染む。

冬・・・・極寒のキタ。


濃密な関係性のなかに育まれる絶対の安心と信頼と絶望と

欲望と不安定と逃避。矛盾もあるなかで、でも「絶対」の瞬間を

いくつも持てる関係性。


ひとり。


たったひとりでいい。


たったひとりでいいから、自分専用のオトコ(オンナ)がいれば、

日々は安定する。



わたしは、電車の中や喫茶店など、外にいるときに

本を読むので、本の世界の隣り合わせにいつも、現実がある。


本の世界、空想の濃密な情感のなかにいても、

電車が揺れると周囲の人々に押され、現実に戻り、

冬の情景描写をイメージして、ふと目を本から離すと、

電車の中吊り広告が目に入る。



現実のわたしは、

通勤電車に乗るサラリーマンの群れの1人、

でも頭の中は、遠い場所の冬を思ったり、空想の世界にいる。

だからこそ、

たったひとりでいい、自分専用のひとがいれば、

現実世界で何が起きていても、ココロの中は受け渡さないでいる

ことが可能で、そこから、良くも悪くも、さまざまなカタチで

精神が揺れ動いていく。