新型コロナウイルスが世界的な広がりを見せるなか、この夏の東京オリンピックの開催を危ぶむ声も大きくなってきた。
米紙「ニューヨーク・タイムズ」は先日、東京オリンピックが中止された場合に広告ビジネスはどうなるのか、という記事を掲載するなど、海外メディアにおいても五輪開催の行方が注目を集めはじめている。
アメリカの放送大手NBCユニバーサルによれば、同社はすでに広告枠の90%近くを販売しており、広告契約額は12.5億ドル(約1300億円)にのぼるという。
スポーツ・エージェント会社のオクタゴンでマーケティング・イベント部門を率いる担当者は「ニューヨーク・タイムズ」の取材に対し、「私たちとしては東京五輪は開催されると見込み、それに備えなければなりません。ただし、そうは言っても、さまざまなシナリオが起こりえます。それを無視するのは、無責任なことでもあるのです」と語っている。
もちろん、メディア企業やイベント企業なども大きな金額が動くイベントには保険をかけている。しかし、その範囲が曖昧だとしてニューヨーク・タイムズはこう指摘している。
「東京五輪が中止になったとしても、コロナウイルスは不可抗力だったという申請を出せば放送権や番組制作に関する損失は保険でまかなわれる見通しだ。しかし、五輪用のコマーシャルやタイアップ販売が中止になった場合に保険が支払われるかどうかについてははっきりしていない」
オリンピックほどの大規模なマーケティングの機会は、なかなか代わりが見つからない。それだけに、広告業界の人たちは祈るような気持ちで五輪が無事に開催されることを願っているようだ。
COURRiER Japon
最終更新:3/11(水) 20:49
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