三作神楽、7年ぶりの上演
13日・神殿で23の舞
伝承へ子どもたちが絵本の制作も
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 周南市和田地区に伝わり、7年に1度、奉納される国指定重要無形民俗文化財の三作神楽が12日から14日まで夏切の伝承館前に神殿(かんどん)と呼ばれる特設舞台を設けて上演される。この神楽を伝えている三作神楽保存会(伊藤禎亮会長)は神楽舞いの伝承へ毎週日曜に夏切の伝承館で子どもたちに指導を続け、式年祭の今年は5月に総代と保存会で準備に入り、舞子となる小中高生15人には青年部(佐藤貴志部長)が中心となって神楽舞いのけいこをつけている。また今年は県内外に三作神楽を発信しようと和田地区を題材にした絵本も作っている。
 三作神楽は林、原赤、中村の三集落を合わせた三作と呼ばれる地域で卯(う)年と酉(とり)年に地元の河内社の式年祭で奉納されてきた。神楽台本によると約1,300年前の大宝年間に大飢饉や疫病に見舞われ、河内社に祈願したところ、翌年から作物も実り、疫病もなくなったことからそのお礼に3地区の村人が総出で神楽を奉納したのが起源。現存する史料では江戸時代に奉納の記述がある。
 神楽保存会は1970年(S45)に発足。踊り手が天井から吊り下げられた綱を使って、地上6メートルほどの高さで大の字になったり、逆立ち状にもなる“三方荒神(こうじん)の舞”などは全国的にも珍しく、87年(S62)に県の無形民俗文化財、2000年(H12)12月に国の重要無形民俗文化財に指定された。
 保存会は地元三作の全世帯が会員だが、最近は過疎と高齢化で子どもの数も減り、和田地区全体に呼びかけて伝承に取り組んでいる。
 12日は神殿清めの神事や舞、13日は神を神殿に迎える“神迎えの神事”があり、23の舞が午前10時ごろから午後7時ごろまで約10時間かけて上演され、翌日“神戻しの神事”と神殿破(だ)ちをして終わる。
 23番のうち7つが子どもの舞で、大人の16の舞の間に舞う。大人の舞は面を付けて動きもバリエーションに富み、特色の1つである跳躍では4人の踊り手が高く跳び上がり、そのまま1回転してしゃがんだ状態で着地する独特の所作があるなど激しい。
 “柴鬼神(しばきじん)の舞”では死者を蘇らせるとされるつえを持った柴鬼神がつえや扇子で観客を驚かしたり、なでたりし、1度なでられると10年若返るといわれている。

 青年部の佐藤さんは「今の子どもたちが7年後、14年後、ずっとその先もこの和田を愛してほしい」と願い、絵本づくりは子どもたちに呼びかけて地域で暮らしていて楽しかったことを描いてもらい、50人から集まった。表紙は1987年(S62)の和田小卒業生から寄贈された三作神楽の版画をベースにし、神楽に参加する子どもらが色を入れた。
 絵本は13日の完成を目指し、7年後に向けての情報発信の最初の一歩として久米の山縣本店に依頼して芋焼酎要助のラベルに絵本の表紙を使った絵本ブランド「三作神楽」と一緒に展示、紹介する。