雑誌ミライ掲載記事より[2010年]
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 桜にトキヲ刻む。
 花は桜木、人は武士。忠臣蔵で討ち入りに使われた言葉。武士道を桜の花のように散る美しさに込めた言葉。
 桜にトキヲ刻む。
 明治維新に東京を中心に植えられたソメイヨシノ。日露戦争の戦勝の祝い、そして世界大戦では桜の花のように、日本国のために咲き、その命を散らすことが美しいとされてきた。
 「同期の桜」。たくさんの若者が日本の未来のために桜にトキヲ刻んだ。
 桜にトキヲ刻む。
 周南の大津島には人間魚雷「回天」の発射訓練基地跡がある。
 爆薬を積んで敵艦に突撃する「人間魚雷」。私たちは日本を愛して、桜の花が散るがごとく命を落とした人たちの事を忘れることなく、後世に伝え、笑顔の桜にトキヲ刻む努力をしたい。
 桜にトキヲ刻む。
 4月。全国で戦争で命を落とした悲しい若者たちの記憶を刻んだ桜が咲き誇ってた。
 戦艦ヤマトが出陣したのも桜が満開の季節。たくさんの乗務員が望遠鏡で日本本土に咲き乱れる桜と永遠の別れをしたと言われている。
 桜にトキヲ刻む。
 大津島を桜の島に。日本の悲しい桜の歴史に、戦争を知らない私たちや子供たち、そして次の世代にタスキをつなぐために。植えていく。
 桜にトキヲ刻む。
 回天基地後のある大津島に全国から人を呼ぶ一日一組の宿を建てた人がいる。その島を桜の花で埋め尽くしたいと願う人がいる。
 桜にトキヲ刻む。
 今から生まれる子供たち、結婚した記念樹。戦争を知らない世代に「笑顔の桜」でトキヲ刻む。
 桜にトキヲ刻む。
 百年、二百年、何千年と一本一本桜を増やしていけば、トキヲ刻んだ桜はその時代の人たちに語りかけてくれると信じている。
 桜にトキヲ刻む。 
 尊敬する人、今、共にトキヲ重ねる人たちと未来に残す「笑顔の桜」にトキヲ刻む決心をした。
  (編集長 杉川茂)


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