ウェブトゥーン連載中の韓国版の和訳です。
日本語版からはネタバレになりますのでご注意を。
以下497話訳です。
(角津幹慈を前に、肉を食いちぎりながら笑う男)
ギテ:思ったよりウマそうだ。
【キム・ギテ】
幹慈:まだ質問に答えていない、なぜうちの者に手を出した?俺を挑発するため?遅まきながら王の座が欲しくなったか?
(ゆらりと立ち上がりゆっくり幹慈に近づく)
ギテ:手始めだ。
幹慈:手始め?
ギテ:新時代の幕開けの手始めにアンタを倒せと頼まれた。もうすぐクルーの時代がやって来る。
幹慈:〔キム・ギテか、情報がない。戦いが避けられないのなら、先制攻撃は首だ〕
(幹慈の必殺の手刀を、ギテが上体を反らせて避ける)
幹慈:〔避けた?〕
(逆にギテが幹慈をパンチで地面に叩きつける)
ギテ:へえ、これを防げるのか。
(幹慈は両腕でその拳を防いでいた)
幹慈:〔手がしびれる。避ける速度は池宮将功、拳はまるで門馬達治だ〕
ギテ:どれどれ、こうやんのか?
(ギテが幹慈の手刀を真似て幹慈の手に手刀を打ち込む)
幹慈:〔待てよ、これは?〕
(幹慈の手に手刀が深々と刺さり、血が噴き出す。手下たちが驚いて駆け寄よろうとする)
手下:幹慈さん!加勢するぞ!
幹慈:動くな!お前らの敵う相手じゃない!〔一撃にすべてをかける〕
(左手を突き刺されたまま、右手の手刀を構える幹慈。だがギテは背中から出した斧を幹慈めがけ振り上げる)
(天倆山では、未玖と天倆ファミリーの4人が弁当を食べていた)
ジェウ:え?好きな奴ができた!?
未玖:…。
テボン:未玖、お前に!?
未玖:うん…。
ヒョンジェ:誰だ?
ジェウ:うちの学校の奴か?!
ウソク:いつから好きだったんだ!?
未玖:それは…
ジェウ:ブハハハ!
未玖:え?
ジェウ:その誰かは可哀そうにな!お前に好かれて誰が喜ぶか!お前に好かれたと知れたらソイツにはいい迷惑だぜ!
テボン:おいやめろ、今度こそマジで殺されんぞ。
ジェウ:象くせに恋って!お前の好きな奴はどんな罪なんだよ!
(ゆらりと立ち上がる未玖、構えるジェウ)
ジェウ:〔ガード!…あれ?〕
(だが未玖は目に涙を溜め悄然とうつむく)
テボン:…待てよ未玖、まさか…
ジェウ:〔殴らんの?〕
テボン:好きな奴ってジェウなんじゃ…
未玖:もう知らない!!!
(走り去る未玖)
テボン:未玖!!!
(残さた4人)
テボン:ひでぇ奴だなお前…
ヒョンジェ:お前これからどうすんだよ…一生逃げ回るしかねーぞ。
(呆然とするジェウ)
ウソク:やれやれ、それじゃあとに残るカップルは1組だけか。
ジェウ:え、誰だ?
ウソク:知ってんだろ、埼玉とスジンだよ。
(埼玉の家で、照れながら食卓を囲む埼玉とスジン)
(夜、ソウルの繁華街がにわかにざわめく)
男:おい、あれを見ろ。
男:何だあれ?ハロウィンはまだだろ?
(雑踏の中を、返り血を浴び血を滴らせた斧を持ち歩くギテ)
男:本物の血じゃねえよ、ここはソウルのど真ん中だぞ。
男:映画の撮影か?
男:だな、演技だろ。
(その中で悠然と電話を掛けるギテ)
ギテ:ソウルの王は始末した。飛行機のチケットを取ってくれ、伊崎。
(電話の向こうで炎を背後に佇む伊崎)
伊崎:早いですね、あなたを信じて任せた甲斐があります。ソウルの王はどうでした?
ギテ:ソウルの王か?
(ギテを設楽が車で迎える。回想:幹慈に斧を振り上げるギテ)
ギテ:ソウルの王角津幹慈、俺の配下に入れ。お前みたいな頭のキレる奴が欲しい。気に入った、俺は二度は言わん。
(煙草をくわえ中指を立てる幹慈)
幹慈:キム・ギテ。人は俺を戦略家と呼ぶが、俺はこれまで誰にもへつらったことはねえ、この先もな。
ギテ:そうか。じゃあ死ね。
(ニヤリと笑い、斧を振り下ろす。だがその刃は幹慈を外れ脇の地面に突き刺さる。ギテの背中にテーザー銃の針が刺さっていた。)
警察:動くな!!!斧を捨てて手を挙げろ!次は実弾を打つ!
ギテ:警察が素早い、韓国は良い国だな。
警察:うるさい!早く斧を捨てろ!
ギテ:角津幹慈、生きておけよ、今度会う時は俺が殺す。
(テーザー銃の針を振り切り、斧を振り上げ警官たちに飛び掛かるギテ)
(現在:設楽の車に乗り、煙草に火をつけるギテ)
ギテ:美味いもんは残しておいたぜ。
伊崎:おめでとう、もうあなたがソウルの王ですね。
ギテ:興味ねえよ。
伊崎:というと?
ギテ:俺はメキシコに帰る。
伊崎:残念だな。
ギテ:アンタは1世代をキッチリ終わらせろよ。
(炎を背後に佇む伊崎の前には、息荒く血を流す門馬がいた)
伊崎:安山の王は違いますね、他の王もこのレベルということでしょうか?
門馬:うるせえ…!
伊崎:前回はわからなかったが、体を完成させて来たのに、タイマンで戦うと強さがわかります。そんなに俺に勝ちたいなら方法を教えましょう。
門馬:何?
伊崎:あなたを強くしたのは己を信じる揺るぎない信念、それを貫き完成させるんです。その時は俺が負けるかもしれない。
門馬:クソが…
伊崎:でなければあなたは俺に勝てない。
(天倆山。野原に寝ころびぼんやりと空を見上げる陸と埼玉)
陸:平和だな。
埼玉:そりゃそうだ、チョン・シンミョンが死んで天満も大人しいしな。
陸:警察はどうだった?
埼玉:証拠不十分で釈放された。俺がチョン・シンミョンを殺したわけじゃねえ、天満もそう証言してくれたしな。
陸:天満がなぜお前を助けた?
埼玉:全知全能の巫女が生贄の俺に殺されたとなったら、これから巫女になる自分の威信に傷がつくからだろ。
陸:ひどい奴だな。
埼玉:まあそれでも信者どもは俺を人殺しと呼ぶが。
陸:…大変だな。
埼玉:どうでもいい、俺は先生やアイツらが幸せならそれでいい。とにかくこれから幸せが始まるんだ。
陸:俺は天倆を離れるよ。
埼玉:…え?急に何を、なぜ天倆を離れる?もう先生に危害を加える奴はいねえぞ?
陸:そうじゃない、理由は言えないが怖かった、天倆を離れるのが俺の夢だったのに、ずっと勇気がなくてできなかった。
埼玉:いったい何の…
陸:でもお前たちのおかげで勇気が出た。俺は天倆を離れる。
埼玉:急にどうしたんだよ!なぜ天倆を離れるんだ!行かせねえ。
(去ろうとする陸を引き留める埼玉)
埼玉:みんな先生を頼りにしてんのにどこに行く気だ、理由を言ってくれよ!急に去る理由は一体何なんだよ!
(伊崎を思い浮かべる陸)
陸:〔危険だからだ。俺がここに居れば奴はまた来るだろう、その時は本当にお前たちに危険が及ぶ。伊崎は弱いお前たちには手を出さない、奴の計画の邪魔になるのは強者だからだ〕いい加減気づけ。
埼玉:え?
陸:ガキどもの面倒を見るのが嫌になったんだよ。
(その頃、埼玉の家でかいがいしく雑巾がけをするスジン)
スジン:お掃除お掃除~居候なんだからお掃除しないと~ふう、終わった。
(時計は夜の七時半を指している)
スジン:〔お兄さん遅いなあ〕掃除もしたしご飯も炊いたのに、あの人どこ行っちゃったんだろ、ムカつくなあ。〔ちょっと待って、今奥さんみたいなこと言っちゃった?!ないつの間にお兄さんとそんな仲になったの!?〕
(“ただいま”“お帰りなさい!やだ恥ずかしい!”とイチャイチャする埼玉と自分を想像し頬を染める。その時外で物音がして急いでドアに手をかける)
スジン:〔お兄さん!〕お兄さん!?
(だがドアを開けて現れたのは天満だった)
天満:やあ、埼玉の家にいたとは、よくも匿っていたな。
(あの時のセリフを思い出し、血の気が引くスジン)
“大丈夫、まだ君には手を出さないよ。でも、俺が巫女になった時は、分かるよね?”
天満:旦那様のお出ましだ。
(スジンを見下ろし、歪んだ笑みを浮かべる天満)
497話 終わり。