ウェブトゥーン連載中の韓国版の和訳です。
日本語版からはネタバレになりますのでご注意を。
以下496話訳です。
(崖から落ち血を流す男巫女)
男巫女:〔終わりか…これで終わりなのか…〕
(薄れゆく意識の中、昔の記憶が浮かぶ。神木の影から垣間見た小麦色の肌の美女)
男巫女:〔ああ、こうして惨めに死ぬのか〕
(天満が倒れている男巫女に駆け寄る)
天満:父さん!!嫌だよ父さん!!しっかりして!!救急車を呼びますから!!気を確かに!!こんなふうに逝ってはダメです!!父さん!父さん!?ダメだよ…!
(父に縋り付き泣き叫ぶ天満を、呆然と見下ろす埼玉)
天満:どうして…なぜこんなことに…父さんが亡くなったら…天倆はどうなるんだよ…
埼玉:…。
(だが天満の目は座り、その顔に不気味な笑みが浮かぶ)
天満:天倆はどうなる…
(担架に乗せられ天倆山まで帰った陸壮史が目を覚ます。天倆ファミリーたちが心配そうにのぞき込む)
未玖:先生?気が付きましたか?
ソンジェ:うわクソッ、起き上がった!
ジェウ:先生にクソはねえだろ!
テボン:心配しましたよ先生!
陸:君たちは誰だ?何も思い出せない…
未玖:先生、まさか記憶を…!
陸:冗談だ。
未玖:何なんですかもう!
テボン:すみません、先生!俺たちのせいでケガをしてこんなことに!当分の間無理はしないでください!
陸:…そうか。ふう、やっと健常者になれるのかと思ったのに。
(切り落とされた6本目の指は包帯で巻かれくっつけられていた)
陸:腐れ縁のようだな。
ジェウ:先生、お話したいことがあるんです。
陸:何だ?
ジェウ:俺、話を聞いたんです…
(回想:陸のコンテナハウスで幹慈と話すジェウ)
ジェウ:え?先生の病気のことですか?
幹慈:ああ、君らも聞いたことがあるか、PTSDだ。
ジェウ:PTSD?
幹慈:心的外傷後ストレス障害。陸壮史が生贄だったことは君も知ってるだろう。村人たちが自分を見る視線と侮蔑。陸壮史はその時からPTSDを患い始めた。陸壮史が山に住んでいるのも病気がその理由だ、村人と顔を合わせると発作を起こすからだ。
(コンテナの補修?に門馬が鉄柱を担ぎ、石頭が地面に打ち付ける)
門馬:金槌頼むよ石頭。
石頭:任せろ。
幹慈:それに陸壮史のPTSDは激しく特殊で、発作が起こると周りに迷惑が掛かる。
(ラーメンを作り鍋を運ぶ七瀬が、床に寝ころび眠る池宮を蹴とばす)
七瀬:退けよボンクラ、食っちまうぞ。
幹慈:発作の間、自分が何をしたのか思い出せないのだ。人を殴っても物を壊しても覚えていない。だからこそ注意が必要だ。発作が起こったら、陸を一人にしておいた方がいい。でなければ何が起こるかわからん。幸い陸壮史は自分の発作を知っている、発作で誰かに被害を与えることを。
陸は発作が終わると苦しむだろう、だから君がそばでよく見ていてくれないか。
(現在:陸と天倆ファミリーたちを前に押し黙るジェウ)
テボン:何だよジェウ、どうした?先生に言いたいことがあるのか?
ジェウ:…いや、なんでもない…〔PTSD、先生はどれほど苦しんで来たのか〕
(あの廃校の、無数のトロフィーか飾られた教室。そこで1人けがをした腕に包帯を巻く伊崎。陸との戦いを思い出している)
伊崎:〔強かった。あれ程の強者がいたとは〕
(そこに譲が現れる)
譲:カッコ悪い、いや、無様という言葉の方が似合うか。テストをしに行ってやられて帰るとは、そのうえ赤い紙も見つけられなかったんだな?練馬東介も情けない、俺を送っていたらすべて解決したものを。それでもあの伝説の拳迫田甲竜を倒したという伊崎志遠か?
伊崎:口に気を付けてください。その事件はまだ何も明らかになってない未解決事件、そしてその怪物を俺一人で倒したわけでもない。計画を始める前にやるべきことができたんです。
譲:やるべきこと?
伊崎:1世代の王たちを先に倒しておかねばならない。力を合わせた彼らは脅威でした。
譲:今その体で?
伊崎:今じゃない、目標値まで体を作る必要がある。体を作れば1世代の王狩りに入らないと。
譲:俺と淳助が鍛錬を手伝ってやろうか。
伊崎:コツを掴んだので結構です、手伝ってくれる人なら居る。
譲:それは誰だ?
伊崎:その男は角津幹慈に送り込みます。ソウルの王はその男が相応しい。
(天倆。男巫女の葬式で泣き叫ぶ村人たち)
村人:おお、なんということだ!こんなことが起こるなんてどうしたらいいんです!チョン・シンミョン様!我々の可哀そうなチョン・シンミョン様!私たちの天倆はどうすればいいのです!これから先誰が我々を救ってくださるのか!
(嘆き悲しむ葬列の先頭を、遺影を抱えて進む天満)
手下:それでも幸いにして!最期をご子息が看取られた!悲しいでしょうが、皆さんお静かに!天満様のお言葉をお聞きください!
天満:村民の皆さんが一人残らず、父を見送っていただき感謝いたします。その通り、僕は父の死の間際にそばにいました。僕の両手を取り、父はこう言い残しました。
「天満や、愛する天満、どうかこの天倆を頼む」と…!
(大げさに涙を流して見せる天満に、感動してひれ伏す村人たち)
村人:ああ、チョン・シンミョン様!!!チョン・シンミョン様がそう思し召しなら!これからどうぞよろしくお願いいたします!
(天を仰ぎニヤリと笑う天満)
村人:天満!天満!
天満:〔王になった。そうだ、俺のモノを取りに行く時が来た〕
(スジンを思い出す)
天満:〔でもその前に、解決しなきゃならないことがある〕
(祭壇に座り、子羊を抱いて練馬を迎える天満)
練馬:おめでとうございます。天倆の王になられましたね。
天満:若返られたようだが?
練馬:髪を染めたんです。計画の事業がじき始まりますので、身なりを整える必要がありまして。
本題に入りましょう。私とチョン・シンミョン様が準備していたことをご存じのはず。共に天倆を開発する話をしましたね。それをそのまま進めさせていただきます。
天満:練馬さん。事業には資金が必要なのですよね?
練馬:そうですが。
天満:あなた、資金をお持ちじゃないでしょう。昔のことは知らないが、今のあなたはスッカラカンじゃないか。それで天倆の土地で事業をする?父とどういう話をしたのか知らないが、僕はあなたの口車に乗るつもりはない。
練馬:その通り、今の私には金がない、今はね。天倆開発事業は国家事業です。始まるまでに少なくとも数年はかかるでしょう、そのためまず土地を確保してから事業をはじめるつもりです。金はその間に私のビジネスで稼ごうと考えています。
私はビジネスマンです。効率的に稼ぐつもりなので信じてください。
天満:4大クルーで儲けるつもり?
(伊崎と陸の会話“俺たちの仲間に入ってください、そうすれば助けてあげます”)
天満:あの時、俺もいたんだ。子供を使って金儲けするつもりだろう?そしてその事業の中心は伊崎志遠ってやつだ、あんな自己中な奴をどうやって信じろと?
今のあなたがあんな怪物をコントロールできるのか?
練馬:それはご心配なく、伊崎は私の飼い犬にすぎません。天倆開発事業の手続きをしている間に私がビジネスで資金を作る。4大クルーはその元手を作る手始めにすぎません。資金が手に入れば、始める事業は無限になります。簡単でしょう?
だから天倆をともに開発しましょう。我々は良いパートナーになれるはずです。
天満:嫌です。
(ニッコリ笑う天満)
天満:もう天倆のすべては僕に相続されました、あなたと父との約束は僕の知ったことじゃない。天倆は変化を望みません、お帰り下さい。
(門の外に追い出され、険しい顔の練馬だが、一転気味の悪い顔で笑う)
練馬:〔思った通り、あの小僧は赤い紙のことを知らない。赤い紙は俺の弱点。赤い紙のことを知ってれば無駄な会話をせず俺を脅迫していただろう。よし、計画通り進めよう。天倆はもう俺のモノだ〕
(歩き出した練馬が、小島兄弟に声をかける)
練馬:お前たちはどうする?俺と一緒に来ないか?夜叉は巫女を守るために作られた。だが君らは今回チョン・シンミョンを守れなかった。天満はそれを理由に君らを大事に扱わないだろう、この際俺と一緒に行くのはどうだ?もちろん君たちにも義理はあるだろうが。
小島弟:義理?俺たちはそもそも金で動いていた。
練馬:話が早くていい。一緒に行こう。
(ソウル。精肉工場で、獣のように肉を食いちぎる男。それを前に、大勢の手下を従えた角津幹慈が煙草に火をつける)
幹慈:わからないな、あの伝説の男に子が複数いるとは聞いたが、こうして実際に見るのは初めてだ。ソウルの王の座が欲しくて来たのか?迫田甲竜の息子、キム・ギテ。
(ギテの足元には数人の手下が血を流して倒れている)
幹慈:なぜうちの者たちに手を出した。
【1世代 ソウルの王「角津幹慈」】
(肉を食いちぎりながら笑う男)
ギテ:角津幹慈か。思ったよりいい、思ったよりウマそうだ。
【キム・ギテ】
496話 終わり。