ウェブトゥーン連載中の韓国版の和訳です。

日本語版からはネタバレになりますのでご注意を。 

 

 

以下486話訳です。

 

 

(雨が降り続く夜。埼玉の隣で、埼玉の布団で眠る少女)

 

埼玉:〔困ったな。俺は今とても困っている。とりあえず雨が止まねえから部屋に運んだけどどうしたらいい?こいつなんで俺の家の前で倒れてたんだ?待てよ、これ男巫女の罠かなんかか?俺の寝込みを襲う暗殺者か?そうだ!男巫女が俺を殺すために送ったんだな!俺がそう簡単にやられると思うか!?完全犯罪を企みやがって!追い払ってやる!〕

 

(少女に手を伸ばした時、眠りながら少女が泣いているのに気づく)

 

埼玉:〔涙!?〕はあ。

 

(ため息をつき、縁側に寝転がる埼玉)

 

埼玉:朝まで泊めてやるか。

 

 

(翌日。山の天倆ファミリーを訪ねる埼玉)

 

ジェウ:え!?嘘だろ、俺たち聞き間違えたんじゃないよな?今まで悪かった?埼玉が今謝った?お前頭でも打ったのか?急にどうしたんだよ!

 

埼玉:悪かったって俺が謝ったらおかしいか?

 

ジェウ:やめろ埼玉!いつものクソな埼玉に戻ってくれ!

 

ウソク:謝るなんてお前は誰だ!赤子神でも憑いたのか!

 

埼玉:クソ、何だんだよお前ら!やけに絡むな、やんのかコラ!…何度でも言ってやる。お前らには心からすまなかったよ。〔それにありがとうな〕

とにかく、俺もこれからは天倆ファミリーだ。

 

テボン:おい、勝手に決めんな!

 

埼玉:外野は無視しよ。じゃあ俺もこう呼んでいいよな?先生。

 

(キムチを漬けているソンジン)

 

ソンジン:こっち来て味見しろ。

 

埼玉:なんで俺が!

 

ソンジン:俺の弟子だろ。

 

埼玉:さりげなくコキ使うな!なんでキムチなんて漬けてんだよ!

 

ソンジン:オカズが尽きた。

 

ジェウ:…なあさっきから気になるんだけど…後ろの女の子は誰だ?

 

(埼玉の背中から昨夜の少女が顔を出す)

 

少女:キムチはそんな漬け方じゃだめだよ。

 

ソンジン:え?

 

 

ジェウ:何?男巫女の家で雑用をしていた女の子?!

 

埼玉:ああ。

 

(キムチを漬ける少女を見ながらキムチを味見する埼玉とジェウ)

 

埼玉:男巫女が使用人を使ってるだろ、その中の一人だって。正確には天満泰治が使う使用人だ。

 

ジェウ:そんな子がなんでここに?

 

埼玉:男巫女の家から逃げ出したらしい。

 

ジェウ:逃げた?

 

埼玉:天満は機嫌が悪くなるたびに男巫女の部下のヤクザたちを、鍛錬を口実に殴打するらしい。ところが、最近とくに機嫌を害することがあったのか、普段はヤクザばかり殴っていた天満が今度は一般の使用人にまで手を出したんだよ。その中にあの子もいたんだ。大人たちが殴られるのを見て気づいたんだ。「ここにずっといたら死ぬ」って。

それで逃げ出してたまたま俺の家に来て、雨が降ってたから仕方なく泊まらせたんだ。

 

ジェウ:なら天満が探してるだろう、そんなことしたら余計にこじれるんじゃないか?すぐに返さないと…。

 

少女:美味しいでしょ?あたし料理が得意なの!掃除も得意だし、洗濯も得意よ!お使いだって!

 

テボン:あの…なんでそれを俺に…

 

少女:大人たちに働き者だって言われてました!言われた事は何でも出来ます!完璧なハウスキーパーです!

 

ジェウ:あのなあ、君がそう言っても…

 

少女:お願いします。あたしをここに居させてください、天倆ファミリーに入れてください。追い出さないで…

 

ジェウ:そんなにまでどうして…

 

埼玉:必死なんだよ。お前らも天満を知ってるだろ。生まれつきすべてを手にしていたから、よけい所有欲がひどい。天満にとってはあの女の子もただのモノだ。帰れば天満が自分を生かしておくはずがないと、命を懸けて逃げてきたんだよ。

 

(涙を流す少女を未玖が抱き寄せる)

 

未玖:入れてあげようよ。

 

少女:ありがとうございます、お兄さん。

 

(叩かれ頭にコブを作る少女)

 

未玖:天満の何が怖いんだよ、可哀そうじゃん、入れてあげよう。

 

ジェウ:大丈夫か未玖?お前が食う飯の量が減るんだぞ?

 

(ジェウが蹴りまくられる)

 

テボン:じゃあこれからどうすんだ?入れたはいいけどあの子が住む場所がねえじゃん。

 

ソンジン:何でないんだよ、アイツの家があるだろ。

 

ウソク:誰だ?

 

(みんなが埼玉を見る)

 

ソンジン:お前だ。

 

埼玉:俺?何言ってんだ!なんでこの子を俺の家で寝させるんだ!

 

ソンジン:お前が助けたんだろ。

 

埼玉:え?

 

ソンジン:お前が助けたならお前が責任を負わないと。

 

埼玉:それはどういう…

 

ソンジン:それとも、女の子一人守る自信がないっていうのか?自信がないのならやめろ、俺がどうにかして匿うから。

 

埼玉:…わかった、分かったよ。責任をとる。一緒に住めばいいだろ。そのかわり頼みがある。

 

ソンジン:頼み?

 

埼玉:俺にケンカを教えてくれ。俺はまだ誰かを守る自信がない。誰かを倒せるように戦い方を教えてくれ。俺もあいつらみたいにシルムを習いたい。

 

ソンジン:…ただのシルムじゃないぞ。

 

埼玉:え?

 

ソンジン:とにかく分かった。

 

埼玉:ほんと!?〔やった!俺も強くなれる!〕

 

ソンジン:だが覚悟しておいたほうがいい、俺の授業は吐きそうになるほど大変だぞ。俺もそうやって教わったんだ。

 

埼玉:〔シルムが習える!〕

 

(キムチの容器を抱えて小屋に入るソンジン。ドアを閉めたとたん、キムチを落として息荒く胸を押さえる。その脳裏に村人たちのさげすむ目が浮かぶ。急いで大量の薬を口に放り込む。その物音で心配そうにジェウがドアをノックする)

 

ジェウ:…先生?先生?大丈夫ですか?

 

ソンジン:平気だ、大丈夫だからそのまま、行け、もう少し離れて、入って来るな。

 

ジェウ:…はい。

 

 

(ススキ野原に立ち誰かを待つ男巫女)

 

男巫女:こいつめ、待っていたぞ。

 

【0世代 「チョン・シンミョン】

 

男巫女:練馬東介。

 

【0世代 迫田甲竜組 「練馬東介」】

 

練馬:天倆にこんなところがあったんですね。

 

男巫女:私の秘密の場所だよ。

 

練馬:たまには全部忘れてこういう場所で休みたいですね。

 

男巫女:ハハハ心にもないことを。

 

練馬:呼んでくださってありがとうございます。決心されたようですね。天倆を俺に渡すことを。

 

(にこやかに笑う練馬)

 

男巫女:こらこら、この前会ってからいくらも経っていないだろう。君には本当に驚かされたよ、まさかあの紙を君が持っているとは。山崎派が韓国から撤退した時に一緒に消えた私の弱点だと思っていたのに。

君の持っている紙に書いている内容はその通りだ。私は国を裏切ってヤクザについた売国奴だ。

 

練馬:いまさら白状ですか?

 

男巫女:だがな東介、国を裏切ったのは私一人だけじゃないだろう?

 

練馬:それはどういう意味です?

 

男巫女:お前も裏切っただろうが。

 

練馬:まさかこの俺が?そんななんの証拠もない戯言を誰が信じます?

 

男巫女:証拠がないねえ…悪いが東介、私は最近面白いものを手に入れたんだよ。山に住むある男から「赤い紙」をもらい受けてね。

 

(ソンジンが持っていた、手形が押された赤い証書を突き付ける)※日本語らしき書状だが何が書いているかは判別できない。

 

男巫女:練馬東介の「赤い紙」だ。お前が持っている私の弱点は、山崎と結託したという内容だけだが、お前のこの「赤い紙」に書かれた内容はそんなレベルじゃないだろう。事業立ち上げの今、0世代の時の君の過去が明るみに出れば東介もタダでは済むまい。

 

練馬:妙ですね、その「赤い紙」はすでにこの世に存在しないはずですが。

 

(男巫女がにやりと笑う)

 

男巫女:だがあったな?

 

(練馬が恐ろしい顔で男巫女に手を伸ばすが、小島兄弟が制する)

 

男巫女:東介、人間とは恐ろしいのう。兄さんがちょっと紙をちらつかせただけで殺そうと?やはりこの紙はお前には致命的なようだな?

 

練馬:…面倒ですな。よりによってこの二人があなたの護衛になるとは。小島兄弟。

 

【0世代 前山崎派「小島茂昭」「小島裕昭」】

 

男巫女:東介、私がなぜお前を葦野原に呼び出したかわかるか?殺すのに好都合だからさ。

 

(草むらから大勢のヤクザが姿を現す)

 

練馬:寂しいですねえ、これでも俺は副長と呼ばれた男ですよ。この程度の人数で勝てると思うんですか?葦野原でよかったですよ。

 

男巫女:なに?

 

(ヤクザたちの背後にある男が忍び寄る)

 

練馬:こちらにも殺しには好都合ですから。

 

男巫女:なんだ?あの子がお前の護衛か?勝負はついたな、東介。護衛に誰を連れてきたかと思えばまだ毛も生え揃わん小僧じゃないか?

 

(それはまだ年若い譲だった)

 

練馬:…小僧とは、兄さんはご存じないようだがあの男は…

 

譲:黙れ練馬。あんたはただ教えてくれりゃいい。

 

(譲が煙草をくわえ火をつける)

 

譲:俺が、誰を殺せばいいのかをな。

 

 

486話 終わり。