ウェブトゥーン連載中の韓国版の和訳です。
日本語版からはネタバレになりますのでご注意を。
以下485話訳です。
ソンジン:一晩中吐かせてやるぜ。
(六本の指にテープを巻き、構えるソンジン)
【1世代 天倆の王 六王「ユク・ソンジン」】
ヤクザたち:笑わせるな!!!
(大勢でソンジンに飛び掛かる。ソンジンがヤクザの顔を掴みヤクザたちに投げつける)
ヤクザ:〔なんだ、六本指だからグリップが強いのか!?自分の障害を利点に!?握力が違う、六本指のせいか!〕
(次々とヤクザたちをなぎ倒していく)
ヤクザ:話にならん…!ありゃあ人じゃなく…!〔狼、獣だ。いったいこれまでどれだけの数の人間を倒してきたのか!?〕
埼玉:嘘だろ…ただのタンフル作りの無職男だと思ってた…〔ありゃもうケンカじゃねえ、狩りだ〕
(累々と横たわるヤクザたち)
ソンジン:仕掛けたのはお前らだ。じゃあ埼玉はもらうぞ。
(だが小島がソンジンの腹を殴り飛ばす。からくも堪えるソンジン)
小島:何をしている。
ソンジン:お前は…!
【0世代 前山崎派「小島茂昭」】
小島:何をしている。夜叉になれと言ったのに夜叉を殺るのか?やはりお前を生かしておくべきじゃなかった。強くなる前に俺がこの手で殺すべきだった。
ソンジン:手遅れのようだな。
(飛び掛かるソンジンを、もう一人の男が投げ飛ばす)
小島:何が遅い?村の儀式を台無しにしただけでは足りず生贄まで連れ去る気か?俺たちを相手にできると思うか?
【0世代 前山崎派「小島茂昭」「小島弘昭」】
ソンジン:できるかだと?そっちこそたった2人で俺を止められるのか?こっちは手足の指が6本だぞ?
【1世代 天倆の王「ユク・ソンジン」】
男巫女:いやその必要はない。その辺で終わりにしなさい。
(男巫女が笑顔で現れる)
男巫女:ソンジン君、私に不満があったようだね。むやみに血を流さず話してみてくれ。
【男巫女「チョン・シンミョン」】
男巫女:今日の儀式はここまでにしましょう。住民の皆さんはお引き取りを。ここは私どもだけで。
信者:はい…わかりました。
信者:男巫女様が家に帰れとおっしゃってる!
信者:押すなよ!
埼玉:〔終わった?〕
手下:住民は皆帰らせました。
男巫女:ご苦労さま。
埼玉:〔全部終わりか?〕
男巫女:やれやれ、頭の痛いことだ。まったくクソみたいな日だな。
(苦々しい顔で煙草に火をつける)
男巫女:ただでさえクソみたいなガキのせいで気分がクソなのに、クソみたいなガキが下りてきて私の仕事をクソのように台無しにする。山から下りてきた理由が何?生贄を連れていくためだと?
ソンジン、この野郎、こんな衣装※を着て踊るこの私がクソのように見えるようだな?
※赤ちゃん人形の神を祭る宗教のためか幼い女の子の晴れ着衣装で儀式をしている
自分の力でこれまで生きてこれたと思ってるな?お前が生きてこれた本当の理由はな、この私が見逃してやっていたからだ。
(煙草の火をソンジンに近づける)
男巫女:捕まえろ。
(ヤクザが埼玉を押さえつける)
埼玉:なにすんだテメエ!
ソンジン:埼玉…!
男巫女:動くな、コイツの目に穴をあけたくなければな。
(埼玉の目にキリを突き付ける)
埼玉:せ…先生!
(ソンジンがヤクザたちに取り押さえられる)
男巫女:力を抜いたほうが身のためだぞ。逆らえばガキの命はない。
小島:どうされます?
男巫女:どうするって何を。もう終いだ、捕らえて殺して貯水池に投げてしまいなさい。
ソンジン:後悔すんぞ?
男巫女:…ふう。死に際に脅しか?私がお前の言葉に指一本動じると思うか?
ソンジン:脅し?あんたは俺を殺せねえ。
男巫女:私がなぜ?
ソンジン:あんたが血眼で探し続けてる「赤い紙」は俺が持ってる。
(ソンジンを男巫女がにらみつける)
男巫女:続けろ。
ソンジン:言った通りさ、俺はその「赤い紙」を持ってる。俺を殺したら「赤い紙」は永遠に手に入らんぞ。
男巫女:ユク・ソンジン。何が欲しいんだね?
ソンジン:簡単さ、「赤い紙」で取引しよう。埼玉を生贄から解放してやれ。
男巫女:お前が「赤い紙」をよこすなら安いものだ。
(回想:練馬との会話)
練馬:それは言い過ぎですね、ここを一人で作ったわけじゃないでしょう。
男巫女:…東助?
練馬:兄さんの今の地位や、そんなに偉そうに振舞えるのは、全部山崎派のおかげでしょう?
男巫女:何が言いたい?なぜそんな古い話を持ち出す?
練馬:大したことじゃありません。俺は天倆の土地が欲しいんですよ。チョン兄さんに天倆の土地は…
男巫女:東介。キサマ、どういうつもりだ?久しぶりに顔を出したと思ったら何だ?この俺を脅すつもりか?百歩譲って私が不当にこの土地を得たとして、証拠はあるのか?
(煙草をくわえすごむ男巫女に、練馬が日本語で書かれた血判状を突き付ける)
練馬:これがその証拠です。昔、0世代の時に兄さんが書いた契約書です。兄さんが山崎派から授かったとする内容が書かれています。
今この国は当時の売国奴を断罪している。この紙が世に知れ渡れば兄さんはどうなります?不当な方法で村人たちから得た天倆の土地が、本来の持ち主に返されるでしょうね?
男巫女:…これがなぜお前の手に?
練馬:山崎派が撤退したときに入手したんです。
男巫女:東介がここまでバカだとは。
練馬:どういう意味です?
(男巫女がにやりと笑い、自分の舌で煙草を消す)
男巫女:私がお前の弱点を握ってないと思うか?山崎派から利を受けたのは私だけではない、私が咎を受ければお前も無事ではないぞ?私が地方で巫女をしているからといってマヌケに見えるか?
(男巫女が練馬の顔に唾を吐き、練馬が顔をハンカチで拭きながらニヤリと笑う)
練馬:そんなものは無いだろう。
男巫女:なに?
練馬:調べはついてる。あんたが持ってた俺の弱点がなくなってることをね。チョン兄さん、俺はことを荒立てたくはないんです。昔からの情がある兄さんに害が及ぶことを俺は望んでいません。天倆の土地を明け渡せば俺も大金をお渡しします。このまま本来の持ち主の村人に返すよりマシでしょう?
もちろんすぐにというわけじゃありません。チョン兄さんにも考える時間が必要でしょう。近いうちにまた来ます。それまでにご決断を。
(男巫女の家を後にする練馬)
(現在:居間で、ソンジンから取り戻した赤い紙を眺める男巫女)
男巫女:〔手に入れた〕
“ソンジン:あんたが血眼で探してる「赤い紙」。俺の後ろポケットにあるから持っていけ”
男巫女:〔練馬の弱点を手に入れた!状況は逆転した。練馬東介、よくもこの私を脅迫してくれたな?〕
(ニヤリと笑う男巫女)
(天満が武術の稽古をしている。相手を殴り倒す天満)
相手:天満坊ちゃん!!坊ちゃん!参りました!
天満:〔クソッ。俺の夜叉になるために来たんじゃなかったのか?埼玉を救うために来ただと?俺の所有物が俺を無視してあいつの味方に?!俺にひざまづくべき奴らが生意気な!〕
相手:参りました!もうやめてください!
(懇願する相手を容赦なく投げ飛ばす)
天満:うおおおおおお!!!〔ただじゃおかねえ、お前の所有者はこの俺だ!〕
(大勢の練習相手を倒し吠える天満)
(雨の夜。自宅で寝転がる埼玉)
埼玉:〔クソっ、恥ずかしい。カッコ悪ぃな、なんであんな泣いちまったんだ。あの雰囲気に負けて、感動する気はなかったのに。なのに〕
(先ほどの回想:山でソンジンの抗議する埼玉)
埼玉:いったいどういうつもりだ!なんで勝手に助けたんだよ!助けてもらって感謝しろって?俺一人でもブチのめせたさ!男巫女にやった「赤い紙」は!大事なもんだったんだろ!?こんなことで手放していいのかよ!おれは何も返せねえぞ!?
あんたは間違ったことをしたんだよ!クソッ、俺はもう行くからな!
(それを背中で聞いていたソンジンがボソッと言う)
ソンジン:メシ食って行けよ。一人で食うのは寂しいだろ。
(現在:天井を見上げる埼玉)
埼玉:〔ほんとに行っていいのかなあ…〕
(その時、物音かして窓の外にヌッと黒い人影が差し、飛び起きて後ずさる)
埼玉:エッ!誰だお前!ふ…ふざけんな!チクショウ、こ、怖くねえからな!!そ…それとも鬼か!?幽霊じゃねえなら早く名乗れ!
野郎の幽霊なら消えろ!女の幽霊なら話は聞いて…
(恐る恐るもう一度見たときには人影は消えていた)
埼玉:〔いない!?〕クソッ、なわけねーと思ったぜ!全然ビビってねーからな!俺は目が二つあるんだ!全部見えてんだ!エイッ!
(勢いよく窓を開ける)
【俺は思った】
(そこにいたのは、柔道着を着たびしょ濡れの美少女だった)
【あの時、俺があいつを追い返していたら、皆が不幸になることもなかったんだろうかと】
(少女は埼玉を見るなり、縁側に倒れる)
485話 終わり。