ウェブトゥーン連載中の韓国版の和訳です。

日本語版からはネタバレになりますのでご注意を。 

 

 

以下474話訳です。

 

(倒れたNo.1に必死で心臓マッサージをする真白)

 

真白:僕が何をしても応援するって!こんなふうに倒れちゃダメだろ!

 

(真白の家族写真に写る、白衣を着た兄)

 

真白:弟のために戦ってくれ!一心兄さん!

 

(涙を流して叫ぶ真白。回想:家で日本のグラビアビデオを見ている真白)

 

【私立名門中学・高等学校「真白心」】

※真白一心=ペク・ハンギョルは兄の名で、真白の本名はペク・ギョルでした。前話の淳助も、結城も真白登場当初から「ギョル」と呼んでいました。日本語版がどうなるかはわかりませんがここでは真白の名を「真白心」とします。

 

父:どうだ?みんなキレイだろう。日本人のこの子たちはみんな父さんが手術してやったんだ。最近日本じゃ韓国で整形するのが流行ってるんだ。

 

【ザ・グリム整形外科院長「ペク・ヨンファン」】

 

真白:母さんは?

 

父:今寝かせたよ。あの女はもうプロフォール中毒だ。

 

(自室で点滴を打ち眠る母)

 

【精神医学科院長「キム・ドヨン」※韓国は夫婦別姓

 

父:日本の女の子は可愛いだろう?父さんはすごい人なんだ。生んだのは親だろうが作り上げたのは俺だ。どれほど感謝されてるか、今でもその後の状態を電話で聞いてやってるんだ。

 

真白:そうですか?

 

父:ん?

 

真白:あれが“キレイ”なんですか?目も鼻も口も全部同じじゃないですか。美は希少であればこそ美なんじゃないですか?あれが本当の美しさと言えるでしょうか?

 

父:心。父さんを否定するのか。お前は父さんの後を継いで整形外科医になるべきなんだ。そんなおかしなことを言うのは止めなさい。

 

【父は僕を理解してくれなかった。美しさの定義も説明できないくせに、自分の定義に沿うよう強要した】

 

兄:そうでしょうか。

 

父:ん?

 

(そこに兄・一心が現れる)

 

【僕を理解してくれるのはただ一人】

 

兄:俺は心が間違っているとは思いません。美しさなんて主観的なものじゃないですか。誰も心の考えを否定できません。

 

【実の兄、真白一心だけだった。兄は父と同じ整形外科医だった。金もうけよりも患者のことを第一に考える立派な医師】


兄:心、大丈夫だよ、兄さんがいつも応援してる。

 

【そして僕はそういう兄さんを】

 

兄:俺は心がどんな道を行っても守ってやるよ。

 

【父よりも情けなく思った】

 

(患者を診察して笑顔を見せる一心)

 

兄:よかったですね。お顔がずいぶん元に戻りましたね。

 

【患者のことしか考えなかったから、美容目的の患者は受けなかった】

 

患者:ありがとうございます先生!先生が俺に新しい人生を与えてくれました!

 

【事故で負傷した患者のために手術をした】

 

兄:違いますよ患者さん、一緒に頑張ってくれたから乗り越えられたんです。

 

【そうすれば金よりも価値のあるものを得られるといった】

 

患者:このご恩をどうお返ししたらいいか…!

 

兄:患者さんのその明るい笑顔で十分お返ししてもらいました。さあ外でご家族がお待ちです、早く手術の結果を見せてあげてください。

 

(そのやり取りを廊下で見ている真白。手に持つスマホには、その患者の記事と手術前のゆがんだ顔の画像が映っている)

 

真白:…手術前の写真のほうがいいのに。

 

(記事:“「顔を取り戻したい」患者の夢をかなえる善良な医師の挑戦”)

 

【理解できなかった。なぜ他人のために生きるんだ?】

 

(雨の中、老人に肩を貸して横断歩道を渡る一心を、バスの中で見かけ冷めた目で見る真白)

 

【あんな非効率なことをして何が残る?あの人が自分のことを覚えていてくれるとでも?馬鹿だよ】

 

結城:歯がゆいだろうね。

 

(隣の座席に座る結城)

 

結城:何一つ自分のためにならないのに人のために生きるなんて、心の兄さんは心とはあまりにも違う。

 

【私立名門中学・高等学校「結城」】

 

結城:そのうえ、人の目ばかり気にする父親と、名誉や業績より金もうけにしか興味のない母親。うわさは聞いてるよ、ご両親の仲がとても悪いんだって?

 

真白:…そんなことまでなぜ知ってる?

 

結城:心。僕は君を助けたいんだ。いや正確にはいつか一緒に仕事をしたい。僕らはいいパートナーになりそうだ。そう思わないか?

 

 

(自宅で、真白の前で激しい夫婦喧嘩をする両親)

 

母:やめてよ!!!

 

【両親はよくケンカをした】

 

母:なにを勝手にホームレス相手の医療奉仕なんか!ボランティア費用がどこから湧いてくると!?

 

父:おう、そんなもん全部後からイメージでついてくるんだよ!

 

母:イメージってまだ政治家の夢を見てるの!?

 

父:この女!!そんな態度ならもう点滴してやらんぞ!?

 

母:プロフォール打つのが偉いの?!なら一心に打ってもらうからいいわ!

 

父:もう俺に構うなよ!静かに寝てくれ!

 

母:今度またボランティアの企画したら殺すわよ!世のはみんな金なんだから!この馬鹿!

 

父:低予算でやればいいんだろう!

 

母:それだけじゃない、奉仕する医者はどう工面するの!ホームレスの医療ボランティアなんて医者もやりたがらないのよ?どうせあんたも顔写真だけ掲げて行かないくせに!

 

父:それも必要なんだよ!医者出身の政治家ならそういう実績も積まねば!

 

母:誰がアンタを政治家にするって?

 

父:お前はもう黙って寝てろ!

 

(そこに兄が入ってくる)

 

兄:ホームレスの医療奉仕ですか?

 

父:うん?

 

【なぜ他人のために生きるんだ?なぜそんなに非効率なんだ?】

 

(兄は優しく真白の頭に手を置くと笑顔で答える)

 

兄:俺に行かせてください。

 

真白:〔馬鹿だよ〕

 

【父のキャリアのために始まった、ホームレスへの医師の医療サービス】

 

(プレハブ2階建ての建物に「現場医療サービス」の看板がかかる)

 

【最低予算で作られたコンテナハウス。劣悪な環境に志願する医師はいなかった】

 

(不潔なホームレスの尻のデキモノを触診する一心)

 

ホームレス:先生、俺死にそう。ああもう先生、早くしてくれ!後ろの奴らが待ってんだから!

 

兄:はいはい、もう終わりますよ~

 

【そこは兄一人しか居なかった】

 

兄:肛門周辺が壊死して粘液が出てました。痛かったでしょう、よく我慢しましたね。

 

【最低予算に合わせた施設には安全要員もいない。医師はたった一人、あふれるホームレスたち】

 

ホームレス:先生、すみません!

ホームレス:俺の嫁が先だ!

 

(ホームレスたちが暴れ、安普請の施設の土台が揺らぐ)

 

【それは、当然起こりうる人災だった】

 

(センターのボランティアが外から叫ぶ)

 

ボランティア:みなさん早く出て!建物が崩れる!

 

ホームレス:うわあ!なんだこれは!天井が落ちる!

 

(崩壊する建物にパニックになり、我先にと出口へ走り出すホームレスたち)

 

ホームレス:どけ、この野郎!

ホームレス:押すなよお前ら!

 

兄:みなさん落ち着いて!秩序を守れば皆さん出られますから!

 

ホームレス:せ、先生!俺らはどうやって…!

 

兄:早く外へ!大丈夫、出られますか…

 

(そのホームレスたちは立てないのだった)

 

ホームレス:足が痛くて…

 

(出口までの距離を見る一心)

 

一心:〔今走れば自分は出られる…だけど〕

 

 

(一心の病室を訪れる真白)

 

真白:これは何なんだよ、一心兄さん。

 

(一心は酷い怪我で顔も体も包帯でグルグル巻きにされ、意識はなく、たくさんの管につながれていた。

テレビではニュースで事故のことが報じられている。

“ボランティア中に建物が崩壊、幹部一人意識不明” “崩壊事故の被害者家族、マスコミのインタビュー” “被害者の父親「私の息子の犠牲で多くの人命を救うことができました”)

 

真白:だから非効率なことするなって言っただろう、人助けなんて非効率だと。人の命を救ってちょっと英雄になったから何だよ。1週間で兄さんのことなんて皆忘れる。

父さんは医療ボランティアより大きな収穫を得た。兄さんの犠牲を利用して世間からいいイメージを掴んだんだ。

だから全部非効率だって言ったろ。なのに僕の言うことを聞かないからこうなったんだよ。おせっかいばかりして非効率なんだ、まったく兄さんは…馬鹿だ。

 

(真白の目から涙が流れる。自分で驚く真白)

 

真白:〔…え?〕

 

【ああそうか、僕は人生を人のために捧げてきた兄を、とても僕には出来ないことをしてきた兄を、そんな兄を僕は好きだったんだ】

 

(病室から出てきた真白を、廊下の椅子に座り待っていた結城)

 

結城:それで、決めたか?

 

真白:ああ。

 

結城:やるのか?

 

真白:やる。

 

結城:兄さんの復讐のため?それとも君の王国を作るために?それとも…両方かな。

 

真白:…結城。君が言った簡単な方法って?

 

結城:ああ、あの時の話かい?簡単さ。

 

(真白の眼鏡をとる)

 

結城:今までの君を忘れて、君が真白一心になればいいんだ。

 

(眼鏡をはずした真白は兄にそっくりだった。そうして、真白は母を使って父を精神病院に閉じ込め、そして…)

 

(母にプロフォールの点滴をする真白)

 

真白:お疲れさま、母さん。

 

母:そうね…まったく、政治に狂って病院を寄付しようとするなんて。精神病院で反省しろと言ってやって。

 

真白:栄養剤も入れておきますね。

 

母:母さんのためにこんな計画を立てるなんて、心は本当に頭がいいわ。お父さんは名義変更が終ったら出してあげましょう。

ああ、息子にやってもらうとなんだかよく眠れるわ…え?ちょっと待って心…これ、何か入れて…

 

(ニヤリと笑う真白の顔を見ながら意識が薄れる母)

 

真白:ゆっくりお休みください。

 

 

結城:おめでとう。君がやり遂げるとは思わなかったよ、もう完璧に真白一心になったね。これからは君が完璧に願ったこと、本当の美しさを披露できるんだ。君の王国の誕生だね。

 

(白衣を着て医者の一心に成り代わる真白。兄に病室で語り掛ける。兄の傷はかなり治っているがまだ意識は戻ってない)

 

真白:兄さん、聞いてるかい?僕の王国だ。これから僕は世に本当の美しさを見せてやるんだ。兄さんも僕と一緒にいてくれるね、僕を応援し守ると言ってくれたから。

兄さんと一緒にいられますよね?萩間真栄さん。

 

(隣に立つ萩間。萩間が一心を見下ろす)

 

萩間:結城からざっと話は聞いた。起こせばいいんだな?だが俺が起こせば、もう人ではなくなるかもしれんぞ。

 

(萩間にあらゆる手術や薬剤を打たれ、怪物の片りんを見せる体に変貌する一心)

 

萩間:君の望み通り「起こした」。君の望み通り、これで兄さんと一緒にいられるぞ。だがこの先は人と言うのは難しい。手術と薬物の副作用で記憶も失い始める。怪物になっていく兄に果たして君は耐えられるか?

 

真白:萩間さん。とても美しいです。

 

(変わり果てた兄を見て瞳を輝かせる真白)

 

萩間:兄弟愛だな。だが気になる、お前の兄、真白一心は、お前と同じ気持ちだろうか?

 

(涙を流している一心)

 

 

(現在:怪物の兄に心臓マッサージをし続ける真白)

 

淳助:認めるよ、お前はサイコパスだ。何が本当の美しさだ、人の顔を台無しにして。なら自分の顔を台無しにすりゃいいのに、自分の顔には何もしねえじゃん。選択的美しさか?お前は何なんだよハッキリ言えよ?

※韓国の日本不買運動の時、ユニクロは不買しても自動車は買うなどする矛盾した行動を選択的反日と言い、そういう不徹底な行動を皮肉った言い回し

 

(一心不乱に心臓マッサージをしている)

 

真白:〔もう終わりか?〕

 

淳助:真白心。お前は本当の美しさを見せる芸術家なんかじゃねえ。

 

真白:〔これで終わりなのか?〕

 

淳助:ただ親父を監禁して母親を殺し、兄貴を怪物にしたただのサイコパスだ。

 

真白:〔捨てた?僕を見捨てたのか?結城!〕

 

(その時、背後から声がする)

 

男:…た、…まった、…ちまった。遅れちまった。

 

(現れたのは宍道だった。そのころ、和民と話す結城)

 

結城:え?僕が第1系列会社を見捨てたのかって?心配いらないよ和民、僕は第1系列会社を見捨てるつもりはない。萩間真栄さんも奪わせない。

 

〔萩間信栄さんを奪わせはしない。あの人が到着したはずだ〕

 

 

(現れた宍道を見てゲンナリする淳助)

 

淳助:前に言っただろ。今度会ったら目ん玉くり抜くって。モウロクして忘れちまったか?ケンカの天才さん。

 

(にらみ合う淳助と宍道)

 

【至王 「宍道圭作」】

 

 

474話 終わり。