怒る・叱る・注意する | 感性を磨く国語教室『未来塾』ませけいこ

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不安・いじめ・発達障害・表現力不足・対人関係等の問題に悩むお子さんに「自信・伝わる表現力・明るい未来を思い描く力」を手にしてほしい。「心豊かに前進できる子の親になるコツ」と「子供の今と未来を輝かせる教師になるための指導法」をベテラン教師がお届けします。

いけないことには毅然として注意をする!  え?それってダメなの!?

 

 

教員研修の講師として登壇させていただく機会があります。

 

先生方に、

 

「怒る」と「叱る」の違いは何ですか?

 

と尋ねると、

 

 

我が意を得たりとばかりに頷いて、

 

「怒るのは、教師がただ自分の感情を子供にぶつけているだけで、

 

叱るのは、子供のことを思って、子供のためにしていることです。

 

だから、教師は怒るんじゃなくて、叱ることが大事です。」

 

と、多くの方がおっしゃいます。

 

 

 

確かに、一理あるかもしれません。

 

教師がただ自分の怒りの感情を子供にぶつけているだけでは、教育とは言えませんよね。

 

子供のためを思って、子供のためにきちんと注意することは、やはり必要なことです。

 

 

 

==★★★◆◆====★★★◆◆==

 

でもね、その叱り方、本当に子供のためになっているのでしょうか。

 

教師が(あるいは親が)、「子供のため」と真剣に思い込んで、必死で注意して叱っているのに、ちっとも変わらない。

それどころか、むくれていたりすねてしまったり、挙げ句の果てには反抗してくる子までいる。

 

「指導しても反省の色を見せないのできつく叱ったら反抗してきた。身の危険を感じたので、自分を守ろうと手を出したら体罰になってしまった・・・」

という事件もあちこちで聞きます。

 

 

 

==★★★◆◆====★★★◆◆==

 

教師が(あるいは親が)、どんなに「子供のため」と思って叱っても、子供本人のためになっていない場合がけっこう多いものです。

 

大人は叱っているつもりでも、叱られている本人には「あの人は自分に怒りの感情をぶつけているだけだ」と受け止めていたりするのです。

 

40数年の教師生活で自分自身の叱り方や他の先生方の叱り方をずっと見つめて・試行錯誤して・方法を研究して・子供にも教えてもらってきた私が今思うこと。

 

 

ビックリマーク 「叱る」のは子供のため。もちろんその通り。でも、

 

でも、その評価判断は教師や親がするのではなく、子供自身がすることなのです。

 

子供自身が「自分のために言ってくれている。自分は変わりたい。変わろう。」と思えるような言葉がけや態度が欠かせません。

 

教師や親が、いくら「アナタノタメダカラ」と自分自身の価値観や行動規範を押しつけても、子供の心には届きません。

 

かえって、

 

「自分は怒られてばかりいるダメな子だ」

「どうせ自分なんか」

「大人なんか」

「あの人には言われたくない」

「わかってるわ!くどい!」

 

などとネガティブな気持ちや反発心を抱かせてしまうこともあります。

 

 

「叱る」にしても、「怒る」にしても、「注意する」にしても、その言葉や行動が子供の心にどう響くかが大事なんですよね。

 

 

「強く叱れば、こちらの真剣さが伝わるはず」と言い、

 

大声で厳しく子供を注意する先生もいます。

 

あの先生はうるさいから、あの先生の前では静かにしていようと、人によって態度を変える子になります。

 

 

気の小さい子やトラウマを抱えた子や感覚過敏の子は、

 

その先生が他の子を叱っているだけなのに学校から足が遠のいてしまいます。

 

自分が叱られたように感じ心が震えている子もいます。

 

発達障害やグレーゾーンの子供も多くいます。

 

受け止め方が一つとは限りません。

 

「一人ひとりに伝わる伝え方」を意識したいですね。

 

 

 

ビックリマーク「わかっていても今すぐ変えられないこともある」

 

大人は、注意したり叱ったり怒ったりするとすぐ目の前の結果を求めます。

 

でも、すぐには態度を改めないような子もいます。

 

その時の心の具合や育ちの過程でふてぶてしい態度しか取れない子もいます。

 

謝り方や改善の仕方を教えることも必要ですが、個を見ることや個の状況を推察したり穏やかに尋ねたりすることも欠かせませんよね。

 

「何回言ったらわかるの!」と叱る人がいます。何回言っても変わらないなら、叱り方伝え方を変えるのは大人の方です。

 

 

 

先生から「いい? わかったね、もうやらないね!」 ときつく言われて、

 

「はいわかりました。もうしません。」と殊勝な顔つきで子供が答えています。

 

後からそって聞いてみると、実は何もわかっていなかったり勘違いしていることが多いのです。

 

「はいわかりました。もうしません。」と答えればその場が収まるから、口癖のように言ってるだけなんですね。

 

 

 

ビックリマークもちろん「毅然として注意すること」は基本的にはとても大切なことです。でも、

 

子供にとって「毅然として見える」ことが必要なときもあります。

子供にとって「困っていることを相談できる穏やかさ」が必要なときもあります。

 

毅然として子供の人格を否定している先生を時折見かけますが、そんなのは論外。

 

右差し 何がいけなかったのか(客観的な事実)

右差し どうしていけないのか(理由)

右差し どうするとよかったのか(理想)

右差し どうしてそうすると良いのか(理由)

右差し それができないのはなぜだろう(原因)

右差し できることは何か(可能性)

右差し できるためにはどうすればいいか(方法)

右差し とりあえず、今はどうする必要があるか(今すぐの対処)

 

こういうことを子供がきちんと把握し、言語化し、行動に移すという3段階が必要です。

 

それができるための手助けとなる「叱り方」や「話し方」ができる教師・親・大人でいたいなぁと思います。

 

「子供のため」というのは、その子供が「自分で前を向いて進めるようにするため」ですよね。

 

そのためには「叱る」ことも一つの方法ですが、「叱る以外の手法」もたくさんあります。

 

かといって「ほめる」だけを使うのも考え物。

 

中には、無意識のうちであっても、「心情に訴えかけて大人の思い通りにコントロールしようとする」という手法をつかう大人もいますが、これもまた子供をむしばみます。

 

「良い子でいなくてはいけない」と自分で無理矢理行動規制をしてしまい、いつかどこかで心が悲鳴を上げるからです。

 

 

 

では、子供にどんな声をかけていけば良いのか、また今度書きますね。