そしてポケットからゆで卵代50円 | 天まで響け!とどけ!「ありがとうカレー」

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全国の障害者に送るありがとうカレー。障害者の方達に働ける環境を作り、無農薬で畑で野菜を作り、その野菜でありがとうカレーをつくる。勇気を持って帰ってくれたら幸せです


弁当屋に戻った私に

「今から お前が店長や」

「店長は何があっても解決しなあかん
わからん事は教えるけど お前が長や
覚悟しろ~」

言われんでもそのつもりじゃ~

私の仕事は
22時から13時まで

深夜は仕込みをしながら接客もする

包丁を持ったことない私に早口で

「から揚げ弁当は
こうで こうで
焼肉弁当は ああでこうで 仕込みは こうして 朝までに
これと これをして
ほてから~」

と説明を約5分

「ほな 頼むわ~」

帰っていきよった

「え~一人で~」

くそっ 
絶対にやったる~

俺にできひん事はない~

そう思い
仕込みを始めた

しばらくすると
お客さんが来た~

「から揚げ弁当下さい~」

「は~い」

から揚げ トンカツ
白身フライは 人気商品なので いくつか揚げ置きしておくので 詰めるだけ

簡単 簡単
すぐに出せる~

「ありがとうございました~」

しばらくすると
お客さん~

「トンカツ弁当下さい~」

またまた簡単

「ありがとうございました~」

そして
次のお客さん

「焼肉弁当下さい~」

これは手ごわい

タレ付きの肉を
野菜を入れて フライパンで炒める

炒めている間に
ご飯をツギに行く

ご飯は
計りで計って入れる

これが 
なかなか難しい

ご飯が用意できたら
再び焼肉を炒めに~

って 焦げてる~

これはマズイ

焦げた肉を皿に移して フライパンをゴシゴシ洗い 新しい肉を焼く~

「すいません もう少し お待ち下さい」

そう言って待ってもらう

しばらくすると
また焦げてる~

再び焦げてる焼肉を皿に移して

「すいません もう少しお待ち下さい
申し訳ないです」

謝って
再度 挑戦開始

ここで
ひらめいた~

火をゆるめたら
いいのでは?

とろ火にして
ゆっくりと焼いた

できたかな?ってとこで こっそり味見

うん 大丈夫~

「すいません 長いことお待たせしまして」

カウンターで売ってた ゆで卵を一つ入れて

「これ 食べて下さい またお願いします」

そう言うと
ニッコリ笑って

「ありがとう また来るわ~」

そう言ってもらえた

そしてポケットから
ゆで卵代50円をレジに入れて

私のご飯は
焦げた焼肉~

めっちゃ苦いこと

「くそっ~ 絶対に乗り越えたる~」

そんな感じで一日が終わった

翌日からは
これといったハプニングは無く

3日もすれば
慣れてきていた~

しかし
その店のある場所は

近くにヤクザの事務所が ある ある~

お客さんの半分くらいは ややこしそうな人達~

私は
四日市にいたとき

ややこしい奴ばっかがいたので 慣れていた~

そして
どんどん売上が上がっていった~

半年過ぎた頃

レンタルビデオの
話が入ってきたのでした~