非二元論の本質は既に1,300年前から日本にあります

私はいない

善悪はない

分離はない

すべては一つ

非二元論のキーワードはこれらを筆頭に様々あります。

元々は欧米から生まれてきたのが非二元の考え方です。

それは、

キリスト教の教えが色濃く反映されたものといえます。

そもそも、

人間は原罪を抱えて生まれてくる存在であり、

エゴに支配されやすい。

そして、

この世界が存在する宇宙は神が作り出したもの。

人間も神が作り出したものであり、

神と人間の両者には歴然とした差があります。

人間はその原罪を償う為にこの現世を生きるということが根底にあります。

しかし、

そのような教えで生きることが難しく感じられ、

それを超える何かを、

いわゆる東洋的な思想、

悟りの境地、

などに求めたところから、

非二元の考え方は始まっていると考えられます。

私はいない

すべては一つ

分離を超えた統合

自我を捨てる

これらは、実は、

古事記の上巻における、

日本の神様のさまざまなエピソードに、

既に書かれていることであり、

非二元的世界観で日本という国は成り立っているのです。

その視点で古事記を読み返してみると、

神々でさえ自我に心を奪われ、

その度にトラブルが起き、

その度ごとにその自我を祓い、

根源のいのちと繋がることの大切さを説いているのです。

例えば、イザナギとイザナミの結婚

例えば、イザナギが黄泉の国へ行くくだり

例えば、天の岩屋戸

そして、

非二元的世界観は既に古事記の冒頭から記されています。

天地初發之時（あめつちはじめのとき）

高天の原になれる神の名は

天之御中主神（あめのみなかぬしのかみ）

これは

イメージとしては何かモヤモヤとした存在が

天と地に別れた最初の時、

それを基として最初に生まれたいのちがあった

それを親しみを込めて人格化したのが

天之御中主神

です。

その後、

高御産巣日神（たかみむすひのかみ）
神産巣日神（かみむすひのかみ）
この二柱はあらゆるものを生み出す、生す（むす）働き。

宇摩志阿斯訶備比古遅神（うましあしかびひこじのかみ）
葦のような萌え上がる生命力の働き

天之常立神（あめのとこたちのかみ）
萌え上がる生命力を中心で支える働き

ここまでを

別天神（ことあまつかみ）

と言います。

大宇宙の存在、天と地が先にあって、

そこから最初の命が生まれ、

その命が様々な役割、性質を発揮する事に、

その役割、性質によって別の人格として別名で呼ばれているのです。

つまり、

その基となる命は天之御中主神の命と繋がっていて、同じ「いのち」と言えるのです。

これは、

現象世界では別々に見えるものが

基は一つであるということを表していて、

一は多であり、多は一である。

つまり、

非二元論で言う

私はいない

分離はない

すべては一つ

と言う考えと同じです。

また、いのちには良い悪い、善悪はなく、

「いのち」そのものは二元論を超えたものと言えます。

私たちの「いのち」は両親、祖父母、さらにその先と辿っていくと、最初のいのちである天之御中主神に辿り着く。

それを古事記の冒頭は語っていると考えることもできます。

目に見える違いはあっても、

目に見えない「いのち」に想いを致すとき、

私たちは別々の存在であるようで、

一つの存在であるのです。

他者の痛み

他者の苦しみ

これらを自分のこととして感じるのは、

同じ「いのち」で繋がっているからと言えるのです。

そのような考えや思いを、私たちの祖先は、少なくとも古事記が編纂された712年以来、1300年以上に渡って受け継いで来たのです。

現代の考え方、あるいは西洋的な考え方で古事記を解釈しようとすると、古代の人々の思いを真に理解することは不可能です。

まずは、

いのちの繋がり、これを古事記は語っていて、

それを忘れたときどんなことが起きるのか、

それをどうしたら基の「いのち」に繋がることができるのか。

そのような視点で読み返したり、

まだ読んだことがないなら、

是非一度日本という国の成り立ちを理解する為にも、

読んでみることをお勧めします。

日本を元気にする古事記のこころ改訂版