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現在楽天市場で開催中のお買い物マラソン。

それを利用して……






気になっていた芥川賞受賞作「荒地の家族」を購入しました!


この作品は東日本大震災から10年後、震災が直撃した港湾付近で生きるある家族を描いた作品。
特に40代の植木屋である父親にフォーカスしたものとなっています。


読み終わってまず感じたのは、非常に「重い」作品だったということ。
文体は難しくなくスラスラ読めましたが、そのぶん主人公を取り巻く周囲の退廃した状況、ポストアポカリプス的な状況がストレートに伝わってきました。


私ももうアラフォーで、東日本大震災もダイレクトに体験したので主人公の苦難やそこに付随する心境は感情移入できましたが……
私より主人公のほうが「人間ができているなぁ」と思ったのが息子への態度。


夭逝した妻の形見ということもあってか、普段は荒んだ振る舞いを貫く主人公も息子にだけは深い愛情を注いでいて……
仕事の失敗や元妻とのトラブルを息子には影響させまいとする姿は、不器用ながらも漢らしいものでした。


後妻だった元妻とのトラブルもリアリティーのある描写でした。
流産をきっかけに心を閉ざし、女性保護の風潮を悪用して主人公を拒絶した後妻の態度にはまさに今時の女性の姿があります。


私の妹を流産させた、別れた昔の彼女も似たような態度で拒絶してきたので……
出産や流産に対しては、理性や善悪を超えた女性特有のセンシティブな感情があるのでしょう。


病院でぶつかったベージュのカーディガンの女は結局なんだったのか、話の結びが弱いといった粗はありますが……


総じて本作は「終わってしまった日常」を生きる、現代の女性からは拒絶されがちなタイプの男を肯定的に描いてくれた作品だと思いました。


10数年前には「終わりなき日常」などという言説が流行っていましたが、東北は東日本大震災で、それ以外の地域はコロナ禍で日常が崩壊。
平穏な日常は終わり、ただの幻想であったことが白日のもとに晒されました。


不謹慎ではありますが宮台真司氏が刺されたのも、「終わりなき日常」というあの時代でしか成立しなかった概念をあたかも普遍的なもののように吹聴してきたツケではないか。


終わってしまった日常を描いた本作を読みながら、終わってしまった日常を生き続ける私はそう感じました。(個人の感想です)
それでは。