私が異変に気づいたのは9年前、お風呂に入っていた時でした。

身体を洗っていたら、右のわきから少し下に離れたところに豆粒みたいな塊ができていたのです。
胸にはしこりはありませんでした。

痛みはないし、固くもなく弾力もあり「脂肪の塊かな?」くらいに思って様子を見ていました。

まだ乳がん検診を受ける年齢に達していなかったので、検診は役所からクーポンが送られてきたら行こう、とのんびり構えていました。


それから半年くらいたった頃
何気なくその塊を触ってみたら
なんだか大きくなっているような気がしたのです。

周囲の人に話したら、話す人みんなに
とにかく1度病院に行ってみた方がいい、と言われました。
そりゃそうですよね。
たとえ脂肪の塊だったとしても、行ってみて、悪いものじゃなければ安心でしょ、と。

でもこの時点では「たいしたことないだろう」と根拠のない自信満々だったので、
そう言われても「そのうち行くか」くらいに思って全然行動には移しませんでした。 


さらに数カ月後、母が祖父母のお墓参りのために泊まりに来ました。
一緒にお墓参りに行くため翌日は仕事も休みを取っていました。
わきの下の塊の話をしたら
お墓参りはいいから病院に行きなさいと言われました。

「せっかくお墓参りのためにわざわざ遠くから出てきたんだからお墓参り行こうよ」と言ったのですが

「お墓参りはまた行けばいい。今回行かなかったらまたしばらく休みが取れなくて病院に行くタイミングを逃してしまう。
もし悪い病気だとしたら、おじいちゃんおばあちゃんも来てくれても喜ばない」
と説得されました。



それでやっと受診することにしたのです。
しこりを見つけてから、約1年後のことでした。

そうは言っても何科を受診すればよいのかわからず…。
脂肪の塊なら、皮膚科なら切ってもらえるかな?と思って
かかりつけの皮膚科へ行きました。


皮膚科の女医さんは
「悪いものじゃない気もするけど、場所が気になるの。乳腺外科専門のいい先生を知ってるから紹介するね」と言って
その場で電話して、専門病院の予約を取ってくれました。


そんなおおげさな、と思いましたが

今にして思えば、この女医さんの判断が私の命を救ってくれたのです。