10才で彼女に出会う前まで、私は物心ついた頃からずっと、神様にお願いしていた事がありました。
それは、「10年間だけでいいから、自分以外の全ての人類の時間を止めて欲しい」というお願いでした。
そうしたら、アスファルトで覆われた地球を、私がひとりで重機で掘り返して、出来るだけたくさんの土に、植物の種を植えて、緑豊かな地球に戻したい…
もし、わずか10年でもいいから、時間を与えて貰うことができたなら、私は毎日ひとりで、せっせと植物や木々を育て、美しい地球を少しでも長く延命出来るように全力を尽くすので、どうか働かせてください…
それが、いつも神様に訴えていた、私の心からの願いでした。
彼女と出会う前の私は、ひとりでいる時、気付くといつも、地球のことばかり考えていました。
幼心にも、地球が、とても良くない状態になっているように感じたのです。
なぜ、こんなに緑や植物が圧倒的に足りないのに、大人たちは誰もおかしいと感じないんだろう?
なぜ、こんなにもアスファルトで地球を塗り固めてしまっているんだろう?
こんなことしたら、地球が窒息してしまうんじゃないかと心配で仕方ない気持ちでいました。
子供ながらにも、アスファルトの道路はとても便利なことは理解出来ていたのですが、それにしても、人間は身勝手に地上を覆いすぎている…
自然や緑が今の地球には圧倒的に足りなすぎる…
このままだと本当に大変なことになるのに、大人達はまるで危機感もなく、平気な顔をしているのは、どうしてなんだろう?
けれど、大人にこの気持ちを訴えても、聞き入れてもらえるほどの話術も説得力も持っていないと自覚していた当時の私は、子供心に、自分が出来そうなことを一生懸命考えた結果、
神様に、10年でいいから、他の人たちの時間を止めてもらうことができたら、地道な肉体労働によって、地球に緑を増やせるのではないか…と思ったのです。
今考えてみれば、たったひとりの力では限界がありますし、とても効率の悪い稚拙な計画だと思いますが、当時の私は真剣そのものでした。
「神様。地球のためなら、私はどんな孤独にも耐えます。どんな犠牲も払います。だから、地球のために働かせてもらう時間をください。」
何度も天を仰いで、神様にそんなお願いしていました。