ふひー、何とも照れくさいですが、

こんな感じの設定と雰囲気の作品でございますー。


ちゃんと最後校正とかしないでアップしちゃったので、

誤字脱字、人称代名詞の間違い等々適当になってる部分は大目に見てやってくだされm(_ _ )m。



ちなみにちょっと補足をさせていただくと、

どこかに『カサブランカ』の名セリフが隠れております。

見付けた方はごぜひ一報ください☆


はみだしトリビアとしては、

『王子と踊り子』の舞台版の主演はヴィヴィアン・リーでした。


マリリン・モンロー本人のお言葉によると、

フランク・シナトラと会った後は1週間精神科医が要らないの!だったそうで、

名前でちょっぴりフランク登場させてみました。



ローレンス・オリヴィエ卿の話に関してはほぼフィクションですが、

本人の自伝いわく「胃腸が弱かった」のと「夜の生活が淡白だった」とのお言葉から妄想して

ああいう会話をつくってみちゃいました。

オリヴィエ卿、ごめん。


あと、『美女ありき』のネルソン提督は海軍の軍服にアイパッチなので、

微妙に『パイレーツ・オブ・カリビアン』と見た目かぶります。



あと、ここのブログをご覧の方にはバレバレなので白状しますが、

ヒロインの女の子の名前を考えあぐねて

結局おいらの大好きな蘭寿とむさんの愛称のまゆさんを

そのままパクりました。

というかギャグで下書きでマユ(仮)にしといて、

そのあと名前思いつかなかったので決定で。

われながら思考回路がキモいです。


そうそう、はみだしトリビアですが、

マリリン・モンローは映画史上最初にジーパンを穿いた女の子の一人、だそうで、

そんなところから衣装設定してみました。


マーロン・ブランドがものすごい女ったらしだったのも、事実です。

(本人が認めてる)


マリリンがストラスバーグに利用されてた云々の話は実は創作ではなくて、

マリリンとマーロン・ブランドが実際の電話で会話した内容に基づいております。


そして、やっと出てきた英語のお話。

私とIは何が違うのか?


次回の答えを楽しみに、皆様もちょっと考えてみてください(^-^)/




やがて4人の話題はアクターズ・スタジオ時代の思い出話になった。英語がよく聞き取れなかったけど、何だか先生達の話をしてるみたいだ。ステラ・アドラーがいかに素晴らしかったかというのを延々話した後、ブランド氏がストラスバーグ夫妻のことをボロクソ言い出し、ディーン氏とマリリンが激しく同意していた。ニューマン氏はストラスバーグの授業にも長く真面目に通っていた生徒だったからかあまり愉快そうな顔ではなかったがクールな表情は崩さなかった。こういうところがかっこいいんだよなー、とちょっと見とれてしまった。

ディーン氏はリー・ストラスバーグに演技を酷評されて以来アクターズ・スタジオに顔を出さなくなった経緯が今思い出しても相当腹に据えかねるらしい。穏やかな青年に見えていたのにこの話の時ばかりは口角を泡立てて悪口雑言をまくし立てていた。それを聞いてマリリンも熱心に頷いていたけれど…確かストラスバーグ夫妻って確かマリリン・モンローが物凄く慕っていた相手じゃなかったっけ?ポーラ・ストラスバーグはマリリンの演技コーチとして、映画の撮影現場にもベッタリくっついてきてたはずだし、マリリンの死後は遺品を二人で管理してたはず。ああでもそうか、リーの後妻のアンナがマリリンの下着までオークションに出したから怒ってるのかな?

ところがマリリンの口から飛び出してきたのは意外な言葉だった。

「有名になると誰を信用すればいいか本当にわからなくなるけど、リーとポーラだけは特別だと思ってたの…というか思いたかったんだけどね。結局私はあの人達に利用されたのよ。薄々気付いてはいたけど…」

伏し目がちに小さく眉を寄せたマリリンは信じられないくらいに色っぽい。広告塔にされたの、知ってたんだ。

「俺はあんな奴らとはさっさと手を切れって言ったんだ。ああいう何でも自分の手柄にしようとするような奴なんて信用するもんじゃない。お前は頭が良いくせに人を見る目はゼロだからな。お前に寄ってくる奴は本当にロクでもない奴ばっかりだったぞ。俺は例外だけど。」

ブランド氏は口の端を曲げて、マリリンの頬を軽くつねった。

マリリンは柔らかく微笑んで、「昔の話よ。もういいの。それに…ストラスバーグの教えていた感情の記憶を探るメソッドっていうのもね、そんなに執着するほどのものでもないって今は思うのよ。これはね、日本語を勉強していて気付いたの。」

「日本語を勉強してて…ですか?」

私はきょとんとして訊き返した。

マリリンは悪戯っぽくウインクしたかと思うとしゃんと背筋を伸ばして私の方へと向き直った。

「では問題!」急に声を張り上げられて戸惑う私に、彼女は言った。

「英語の’I’と日本語の『私』はどう違うでしょう?」

えっ…同じじゃないの?私の戸惑いを見透かしたようにマリリンがぴしゃりと言う。

「同じだと思ってたでしょ?でも本当は全然違うのよ。じゃあヒントをあげる。日本語は『私』だけじゃなくて、俺とか僕とか拙者とか、色々あるでしょ。でも英語は基本的にIひとつ。何でこんな違いがあるんだと思う?」

そっと覗いてみると、どやどや入ってきたのは三人の男性…二人の中年男性と一人の小柄な若い男性…っていうかジェ…ジェームズ・ディーン?!どうしよう!やばい!かっこいい!! 予想外に背がちっちゃいけど、でもかっこいい!わお…本物だ。二人のおじさんは…がっしりしてる方がマーロン・ブランドで、背の高い方がポール・ニューマン!!あれだ、マーロン・ブランドの方は『ゴッド・ファーザー』とか『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の頃の感じ。ポール・ニューマン様は、『評決』の頃の感じかな。うーん、この枯れっぷりがたまらん!いや、ちょっとこれ、豪華過ぎでしょ?!いやー…迷い込んでよかったぁ。伝説の名優達がいきなり現れたことに興奮して、私はちょっと息苦しくなった。

でも何でこのメンツ?しかもマーロン・ブランドとポール・ニューマンがジェームズ・ディーンの保護者にしか見えないけど。

…そっか。この人達、みんなアクターズ・スタジオ出身だもんな。仲良しなんだ。

「ちょっとぉ、今日来るの早いじゃない!私まだ着替えてないんだから。少し失礼するわね。」

マリリンが2階に上がろうとすると、マーロン・ブランドがマリリンのお尻を軽く触った。マリリンはぷっと吹き出してブランド氏の広いおでこを叩いた。あの雰囲気からすると、二人が付き合ってたという噂はやはり本当だったのか。

なんてニヤニヤしていたら、ブランド氏がキッチンへやってくる。どうしよう。これ以上隠れようもない。想像してほしい、マフィアのボスを演じた目つきの鋭い大男がのっしのっしと近付いてくるこの緊張感。私は反射的に両手を挙げた。冷蔵庫に手をかけたブランド氏と目が合う。その瞬間、彼は顔をくしゃくしゃにして爆笑した。

「いやー、あの役やるんじゃなかったかな、若いお嬢さんにこんなに恐れられるとはね!」

笑い過ぎて顔の半分が口になっているブランド氏に釣られて私も苦笑い。

「おいで、一緒に飲もう」

冷蔵庫からサイダーの瓶を何本か取り出すと彼は私にも1本持たせた。

子分になったみたいな気になって、私はしおらしく彼の後ろにくっついてリビングルームに顔を出した。そして中学の教科書に載っていたみたいなぎこちない自己紹介をした。

「ハロー、マイネーム・イズ・マユ。ナイス・トゥ・ミーチュー。」

微妙な沈黙のあとドン・コルレオーネ…いや、ブランド氏が口を開いた。

「…君はウォーク・オブ・フェームの一員にしては英語が下手だな。」

ブランド氏は容赦がない。「いや、違うんですけど…」と言いかけたところでポール・ニューマン氏が

「こんな若いのに可哀想に…どうやって死んだんだ?まさか自殺じゃないだろうね?」と訊いてきたので、

私はただの観光客で、アクシデントでここに来てしまったのだということを必死に説明した。

ブランド氏は腕組みをして眉間に皺を寄せている。ニューマン氏は青い目をまん丸くして、ふんふんと頷いてくれた。ジェームズ・ディーン氏は何も言わずにずーっとにこにこ笑っている。…ちゃんと聞こえてるんだろうか?

ガタン!階段の上の板の外れる音がした。ディーン氏がびくっと顔を上げたところを見ると、さっき私が喋ってた時、彼は半分くらい寝てたんじゃないかと思う。

マリリンは真っ白なシャツにブルージーンズ姿で現れた。赤い口紅と赤いサンダルがよく映えている。かっこいい!何て素敵な女性なんだろう…と思ったのは私だけじゃなかったみたいで、世紀の名優三人は揃って口が半開きになってた。

しゃんと背筋を伸ばして颯爽と歩いてくるマリリンにブランド氏はちょっと拗ねた声をかけた。

「マリリン、こんな可愛い子を隠してるなんてひどいじゃないか、紹介してくれよ。俺、日本人の女の子は好みなんだよ。ねえ君、よかったら今度デートしよう。」

いきなり手を握られた。…何だろうこの説得力。普通なら当然セクハラと猛抗議するところだが、相手は天下のマーロン・ブランドである。人たらしならお手のものだろう。可愛いとかちょっと言われたくらいで若干嬉しくなっちゃう自分も自分だが、このおっさん、只者ではない。

「ちょっと何してるの!もうほんと手が早いんだから!ったく女ったらしは死んでも治らないってどうなのよ。」

マリリンが慌ててブランド氏の分厚い手を引き剥がした。

すまんすまん、とブランド氏がまた愉快そうに笑う。ブランド氏、見かけはコワモテだがかなりの悪戯好きと見た。

翌日111()

朝目覚めてぼーっとしていたら、マリリンがピンクのローブ姿で2階から降りてきた。昨日と何か雰囲気が違う?…あ!髪型が違うんだ。『荒馬と女』の時みたいな無造作なダウンスタイル。

「その髪型…よく似合いますね。」

「ありがとう。これヘアコンタクトなのよ。すごいわよね、今時のカツラって。」

と言うと髪を引っ張ってみせた。どうしよう、いきなりヅラネタ振られてもリアクションに困る。

「若い頃ずっと脱色してたら抜け毛がひどくて。毎回染めるよりカツラの方が全然ラクなのよ。」

「ああそうか…元々ブルネットなんですよね。」

私がさらっと答えるとマリリンは目を丸くした。

「今どきの若い子なのにそんなことよく知ってるわね!」

「それくらいは知ってますよ。一応ファンですから。あなたの伝記本や伝記映画もたくさんあるし、今どきの若い子でもあなたに憧れる人はたくさんいるんです。スターは簡単には死なないんでしょう?」

マリリンは嬉しそうに笑ってキッチンへ引っ込むと、朝食を用意してくれた。食器は何とティファニー。さすがセレブ、死んでも優雅な生活だ。

「さあ、『ティファニーで朝食を』どうぞ!」

え?何でマリリン・モンローがオードリー・ヘプバーンの映画と関係あるの?

私がきょとんとしていると、

「あれ、本当は私の映画だったのよ。トルーマン・カポーティは私をモデルにあの小説を書いたの。だけど私がうっかり映画のオファーを断っちゃったからあんなガリガリの棒っ切れみたいな子がやることになって…」

マリリンは今でもよほど後悔しているらしく、延々と愚痴っていた。

それにしてもローブ姿のマリリンは、何だか浴衣を着ているみたいに見える。ガイジンには着物が似合わないなんて云うけれど、彼女に限っては着こなせてしまうかもしれない。細いなで肩に大きなお尻。スクリーン越しでも触れそうなほど柔らかな印象だったけど、目の前にいるこの女性はもう、子供に戻って抱っこしてもらいたくなるくらい。とんでもない事態が起こったはずなのに、マリリンがそばにいると問答無用で安心してしまう自分に少し驚く。

「ところでえっと、あの…。たくさんの言語をどうやって覚えたんですか?」

食事の話題に困って、私はおずおずと訊いてみた。自慢じゃないけど私は古い洋画だけはそれなりに見た方だと思う。だけど肝腎の英語はいまいち上達せず、受験が終わったと同時に頭からあらかた抜け落ちてしまった。あんなに頑張って勉強したのに情けない限りである。

マリリンはほんの少し小首を傾げてからこう言った。

「やっぱり恋人に教えてもらうのが一番かな。もともとフランス語は『恋をしましょう』の撮影中にイヴ・モンタンにかなり教えてもらってたし、こっちに来てからは憧れのルドルフ・ヴァレンチノにイタリア語を教えてもらったのよ。ああでもそうね、だんだん恋人に教えてもらうのがめんどくさくなって、後はほとんど独学。でも英語とドイツ語なんかはかなり似てるし、イタリア語とフランス語がだいぶわかるようになってからスペイン語とポルトガル語を勉強したら、ほとんど方言みたいな感じで、そんなに難しくはなかったわね。あんまり似てるものだから時々混ざっちゃうんだけど。」

こともなげにマリリンは言うが、そうやってやりだしたらとことんやるくせに努力の跡をおくびにも出さないから、みんな彼女の作り上げた「おバカなブロンド」というイメージに騙されちゃったんじゃないかと思う。

「日本語を勉強し始めたのはいつから?」

「日本語は…最初は2番目の夫のジョー・ディマジオと新婚旅行で日本に行った時にちょっと勉強したのよ。でも、日本語は本当に難しかったわ!日本語って英語とは物の見方が全然違うの。それがわかるまではもう、全然訳がわからなかった。」

「物の見方が違う?」どういうことだろう?

「んー…そうね。例えば英語だと誰かのことが大好きだって伝えたい場合、”I love you.” とか”I’m in love with you.”とか現在形で話すでしょ?

だけど、日本語には「ずっとあなたが好きでした」みたいな表現があって、今好きなのに過去形?どうして?って最初は混乱したの。」

言われてみれば確かに。学校の放課後校舎の裏に呼び出されて「ずっと好きでした」とか告白されて、「あっそう、昔の話なのか」と聞き流すアホはあんまりいないよな。

逆に、同窓会とかで「私○○君のことずっと好きだったんだよ」と昔憧れてた女の子に言われて勝手に勘違いする男もいるけど、あれは女子にしてみれば純粋に過去の話だしなぁ。それを同じ表現で言う日本語の機微ってのは、日本人でも難しい。

「じゃあ…、日本語と英語だと、何が現在で何が過去か、とか、そういうのが違うってことですか?」

私がほとんど当てずっぽうで訊いてみると、マリリンはふわっととろけそうな笑顔で答えた。

「そう!それもあるし…とにかく色んなことがびっくりするくらい違うのよ。

私は日本語の時の流れ方が好きでね。日本語ってほら…舟みたいにすーっと時が流れていくでしょう?何だかそれがすごく素敵に思えるの。」

日本語は舟みたいに時が流れる?いや、時間ってそういうものでしょ?英語は違うの?まるで訳がわからない。これじゃ英語どころか日本語までわからなくなりそうだ。話について行けなくなって間抜けな返事をしていると、

玄関のベルがジーっとけたたましく鳴った。

お客さん?!やばい!隠れなきゃ!私が迷い込んだことを人に知られるのはまずいだろう。

マリリンが玄関に向かうと同時に、私はキッチンに避難した。

このアトラクションを作った言いだしっぺは31歳で夭逝したルドルフ・ヴァレンチノと26歳の若さで逝ったジーン・ハーロウだったが、彼らは死後の世界を十分に満喫した為もうあまりここには来ず、マリリンが事実上の管理人みたいになっている。マリリンは『七年目の浮気』のセットの2階に住み着いていて、1階がみんなの溜まり場みたいになっているんだとか。今日はハロウィンなので、生前の仮装をばっちり決めて観光客を脅かした後このセットに落ち合って飲もうという話になっていたそう。そしてヴィヴィアンが向こうの世界から戻る時に私を巻き込んでしまったというわけ。

驚いたことに、マリリンは何と10数ヶ国語を話せるんだそうだ。生前「おバカなブロンド」のイメージに苦しんだマリリンは、死後の世界では今度こそ何としてでもおバカのイメージを払拭したい!と頑張ったらしい。医学やら法律やらあらゆる勉強に手を出したけれど、結局一番皆がおおーっ!と驚いてくれるのは語学だと気付き、それからは片っ端から外国語を習得し、世界中の映画を字幕無しで見たり地上の観光客に空耳の悪戯をしたり色々活用しているんだと、大袈裟なほどくるくると表情を変えながら得意げに話してくれた。


マリリンと話している間にヴィヴィアンが冷蔵庫からシャンパンを出してきた。

「パイパー・エドシック!さすがヴィヴィアンね。彼女、私の好きなものを全部覚えててくれるのよ。」

マリリンとヴィヴィアンが甲高い声できゃっきゃと話している姿はまるで女子高生だ。でも、あれ?生前はそんなに仲良くなかったんじゃ?マリリンとローレンス・オリヴィエ主演の『王子と踊り子』の撮影の時、ヴィヴィアンは妊娠中に旦那を盗られるんじゃないかと恐れてた、なんて聞いたことが…。

私がおそるおそる訊ねると、二人は「よくぞ訊いてくれた」と言わんばかりに急に早口になってまくし立てた。

「そうなのよ、この人ったら元々は私の役だったのを横取りした上にうちの元旦那にちょっかい出すんだから!でもこっちの世界に来てからね、同じ精神科の…何先生だっけ?」

「ええと…ちょっと待ってね…フ…フランクだっけ?…違う、フレッド!」

「そうそう!あそこでばったり会って、それでお茶に行ったんだったかしら」

「違うわ、ランチよ」

「ランチだった?でもほらあれ、あのケーキ、美味しかったじゃない?」

「あれは2回目に会った時よ。レーズンの入ったのでしょ?」

「違う違う、それじゃないわ、チョコレートの…」

「そんなの食べたっけ?」

「食べたわよー!覚えてないの?このくらいの…」

「思い出した!そうそう、あなた真ん中に穴開けて食べたのよね!」

ヴィヴィアン・リーってそんなことするキャラだっけ?もっとお上品なイメージだったんだけど。ていうか元旦那の話はどこいった。これじゃ自分が映画スターだと妄想してるただの外人姉ちゃん達と変わらないんじゃ?この人達、本当に本物?

私の疑いを察知したのか、二人は話を元に戻してくれた。

「私もヴィヴィアンも、死んだ後もしばらく精神科にかかっててね、何だかとても気が合ったのよ。医者にかかったあとにおしゃべりする方がよっぽど効果があったわ。子供の頃に親と離れたのも一緒だし、結婚も離婚も流産も何度もしてるし、自分達も早死しちゃったし、ほんと似た者同士なのよね。それに何より、私達お芝居が大好きなのよ!演技のこととなったらもうね、何度夜更けまで話し込んだことか!まあ、それだけのめり込んでしまうくらいだから、私もヴィヴィアンも私達自身じゃなくて私達の作り上げた幻影で評価されてしまったのかもしれないけれど。

そうそう、私は舞台をやりたかったのに機会に恵まれなかったんだけど、ヴィヴィアンは舞台経験が豊富でしょ!だから色々教えてもらってるんだけど、最近、あの時のラリー(オリヴィエの愛称)の演出は気に入らないだの色々辛辣なのよ」

マリリンがにやっとして肩をすくめる。ヴィヴィアンは「何が悪い」というすまし顔。

「だってあの人無駄に偉そうなんだもの!何であんなのと結婚してたのかわかんないわ。本は読まないし頑固だし、おまけにベッドでも…ねぇ!でしょ?」

マリリンが吹き出す。

「まあねー、言ったらなんだけど、あの人、お粗末さではケネディ大統領といい勝負だったわ。」

「でしょ!しかもあの人お腹が弱くて、あの最中に急にトイレに駆け込むのよ。それならまだしも、真っ最中にすかしっぺするの。それで私がびっくりしてる間に勝手に終わっちゃうの。酷いでしょう!」

「あれ、いつもなの?私の時も何かすごくモジモジしてたかと思ったらあっという間に終了でびっくりしたんだけど。あれ、おなら我慢してたのね!それ毎回?」

「毎回よ!そりゃ浮気したくもなるわよ!」

「なるなる!それでよく20年も我慢したわねぇ!」

ヴィヴィアンとマリリンがゲラゲラ笑っていると、ドアのところで『美女ありき』のネルソン提督の軍服に身を包んだ男が呆然と固まってお腹を押さえていた。

「そんな…ひどいよ…」

涙目でしょげかえったオリヴィエ卿に、曖昧な笑みを浮かべるヴィヴィアンとマリリン。…うん、この人達はたぶん間違いなく本物だと思う。

一応オリヴィエ卿の名誉のために言っておくと、涙目の半分は地上で「パイレーツ・オブ・カリビアンにあんなキャラいたっけ?」と言われまくったせいらしい。

と、そんな訳で、世紀のセックス・シンボル、マリリン・モンロー様のご厚意で私はこの『七年目の浮気』のセットの1階に居候させてもらうことになった。

自分でも理解できていないのだが、あまりにも贅沢な事態なのは間違いない。


“Oh... my… goodness!”

ヴィヴィアン”が呟く。

「あの…私、ごめんなさい…」

思わず日本語で謝る私を見て彼女はまたひどく困った顔をすると、天井に向かって叫んだ。

“Marilyn! Marilyn! Come downstairs! Please!” 

え?今マリリンって言った?

ギギー!大きな音がしたかと思うと階段の上を塞いでいた板が外れて、白いハイヒールを履いた足が覗いた。

階段をゆっくり降りてきたのは真っ白なホルターネックのドレスを着た女性。華やかなブロンドの髪、垂れ目のアイライナーと真っ赤な口紅。マリリン・モンローそのものだ。


…思い出した。これ、『七年目の浮気』のセットだ。映画の中でもマリリン・モンローが同じように天井板を外して階段を降りてくるシーンがあった。

何これ?ハリウッドの新しいアトラクションとか?最新技術のアンドロイド?まさかね。

ヴィヴィアンマリリンは私の方を横目で見ながら深刻な顔でひそひそと喋っている。私は所在ない気持ちのままセットを見回し、

(しかしアメリカって凄いなぁ…。こんなそっくりな人いるんだ…。しかもしっかりコスプレとかするのか…。まぁこれだけ似てればしたくもなるよな…。しかも映画のセットまで作っちゃうとかどんだけ金持ちなんだ…。)などとぼんやり考えていた。

やがてマリリンが私に近寄ってきてこう言った。

「あの、あなた日本人?」

「はい、そうです…」

ってちょっと待った。このマリリンさん、日本語しゃべったよ?そんな馬鹿な。

「よかったわ、日本語勉強しておいて。驚いたでしょう、ヴィヴィアンがうっかりするから。」

すっかり面喰っていた私に、マリリンはゆったりとした低い声でここのことを説明し出した。

私が飛ばされたここの世界は、ウォーク・オブ・フェームに名前が刻まれた人達とその関係者が死後の生活を楽しむために用意されたアトラクションだとのこと。主演した作品のセットと小道具、生前の私物等々が自由に使えるようになっている。

「えっ…。つまり、あなた達、本物?幽霊ってこと?!

マリリンは明らかに気を悪くした顔だった。

「幽霊なんて失礼ね。私達はスターよ。星はそう簡単に死んだりしないのよ。」

「あ…。はい、すいません…。」

私が素直に謝ると、マリリンはすぐに機嫌を直して説明を続けた。


~プロローグ~



激しい光が弱まり視界がやっとクリアになる。私はひどくレトロな部屋の真ん中に立っていた。

茶色いグランドピアノ。白地に黒い模様の入ったソファセット。壁一面が本棚になっていて…階段も本だらけ。窓際には物凄い年季の入っていそうなエアコン。レコードプレイヤーに乗っているのはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。

何か見覚えがある。

そして私の目の前には、ヴィヴィアン・リーそっくり…というかそのものの小柄な女性。












私は都内某大学の2年生。

…と言っても学校はサボってばかり。一人暮らしの狭いワンルームに引き籠もり、小さなテレビで映画ばかり見ている。夕方のそのそ起き出して向かいのコンビニでおにぎりとポテトチップスを買い、隣の小さなレンタルビデオ屋で古い映画を片っ端から借りてくる毎日。朝になる頃には大体4本くらい見終わってしまう。そして今日こそは学校に行かなくちゃ、と決意しつつ寝オチする、というのがいつものパターン。

そんな廃人同然の生活にうんざりしてきた頃、どうせサボるなら大々的にさぼってやれと、半ばやけくそで有り金はたいて海外旅行に行くことを思い付いた。昼夜逆転生活の中でパスポートを取りに行けたのは我ながら奇跡的だと思う。

行先は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス。なぜLAかって?健康のためさ。水がいいと聞いたから。というのは半分本気で、まあ私みたいなネクラ人間でも年中良い天気の街に来れば少しは陽気な気分になるかなという、これまたやけくそなチョイスだった。

この選択はある意味正解で、LAの眩しい日差しに晒されていたら朝の目覚めは格段に良くなった。もともと日本で時差ボケ生活をしていたので、こっちの時間に適応するのもラクだった。が、性格の方はいきなり陽気になるなんてはずもなく、旅行の間中私はごくごく最低限の人間と最低限の会話のみで過ごした。映画をたくさん見ていたおかげで英語はそこまで嫌いじゃないけど、日本語でコミュニケーション取るのも苦手な人間が英語で会話するなんてハードル高過ぎて無理に決まっているもの。



旅行の最終日。夜のフライトまでまだ時間がある。

私はもう一度、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムへ行ってみることにした。こないだ行ったら有名人のそっくりさん(とんでもないクオリティのも含む)がわらわら歩いていて相当面白かったからだ。今日はハロウィン・デーだからさぞかし個性的な面々に会えるに違いない。…などと考える辺り、こっちに来て私も少しは陽気になったらしい。

私の読みは当たって、通りはまるでスターのコスプレ大会みたいな様相を呈していた。真っ白なぱっつんぱっつんのジャンプスーツから盛大にお腹がはみ出してるリーゼントのおっさんが3人仲良く並んで来た時は心の中で死ぬほど吹いた。おいおい、晩年のプレスリーもさすがにそこまで太ってなかったぞ?

珍妙なアイアンマンは、たぶんダンボールで自作?ヨーダかドビーか微妙なのを被った子供がとことこ歩いてるのはちょっと可愛い。

向こうから歩いてくるのはえらく大きな輪っかドレスを着た女性。肩の大きく開いた緑色の小花柄の…『風と共に去りぬ』のスカーレットだ!しかもヴィヴィアン・リー本人に顔もスタイルもそっくり。よくよく見るとドレスのデザインも…本物そっくり。映画でも写真でも何十回も見たから間違いない。あの柄は本物にめちゃくちゃ忠実。レプリカにしては出来過ぎなくらい。よく生地調達できたなぁ。

彼女は周りの視線に微笑み返しながら、スカートの前を少し持ち上げ小走りで私の目の前を通り過ぎた。あのチェシャ猫みたいなスマイル!そしてあの軽やかな走り方!彼女は子供の頃から憧れ続けたスカーレット・オハラそのものだった。

いくら根暗で人見知りな私でも、これは何とか話しかけておかなくちゃ。ジョークでサインくらいねだっちゃおうかな?咄嗟に私は彼女の後姿を追った。大きなドレスの背中があっという間に小さくなっていくのを夢中で追いかける。

“Watch out!” (気を付けろ!)

『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランド似のおじいちゃんにしゃがれた声で怒鳴られて一瞬足がすくんだけれど、ドルビー・シアターの裏手辺りで何とかスカーレットに追い付いた。

“Excuse me…”(すみません…)

私が話しかけるとスカーレットは振り返って心底驚いた顔をした。困惑…に近い表情だったかもしれない。そりゃそうだよな、やっぱり迷惑だったよなぁ…と自己嫌悪に陥った瞬間、彼女は強烈な銀色の光に包まれた。眩しくて何も見えない。思わず目を閉じると、体が浮いて吸い込まれるみたいな変な感じがした。再び地面に足が付いた感覚があって恐る恐る目を開けると、私は何だかよくわからないレトロなリビングルームでさっきのヴィヴィアン・リーに激似の美女と向かい合って立っていた。










このブログを初めて約7年、性懲りもなく

これで何度目のタイトルリニューアルか?!と

ちょっとお恥ずかしくもありますが、

前のタイトルがちょっと恥ずかしくなってきたのと、

せっかく書いた小説をここで発表しちゃおうかな、なんてことを

思ったりもしまして、

(自分のPCに入ってるだけじゃ宝の持ち腐れだからね)


ちょっと直球なタイトルにしてみました。


私の座右の銘の一つ、

チャーリー・チャップリンの

What you need in your life is, courage, imagination and some money.

(人生に必要なのは、勇気と想像力と、少しのお金。)

という言葉をもじってみました。


小説を連載しながら

小説を書くに当たって見た映画のレビューとかも随時挿んだりするのもいいかなーとか思いつつ、

結局いつものネクラなひとりごとも満載のブログになるかと思いますが(苦笑)。


そんな訳で、以前からご愛顧して下さる皆様も

これから読んで下さる皆様も、

気持も新たに、よろしくお願い致します☆


東京オリンピック開催決定の浮かれモードに便乗しておいらの近況発表☆

書き溜めてきた小説兼英語教材がほぼ書き上がりました\(^-^)/。
まだちょっと抜けとか直したい部分はあるんだけど、
とりあえず今のところ約70000字超え。
頑張っちゃいました。

なぜこれを書こうと思い立ったかと言いますと…
長年英語の家庭教師をしていていつも大事にしていたのが、
英語が苦手、嫌い、わけわからない!というコンプレックスでいっぱいの生徒さん達に
大丈夫、わからないのはあなたのせいじゃないよ、
英語が難しいと感じるのは
英語と日本語がこんなふうに違うからなんだよ、ということを伝えていくこと。
そうして、英語に対する恐怖心とか苦手意識を少しずつ取り除いて、
なーんだ、こんなに違うならわからなくて当然だよね(笑)!と生徒さんにリラックスしてもらって、
最終的に、英語がそんな得意じゃなくても、
少なくとも怖くないかも!ていうかちょっと好きかも!と思えるようにリードすること。

そのために独自のメソッド(?)を考案してきたのがだいぶたまってたんですが、
ある時ふと、
どうせなら小説とかにしてみたら読みやすいし伝えやすいんじゃないか?と思い付きました。
学生時代、授業そのものよりも先生の雑談ばかり記憶に残ってたみたいなこと、ありませんか?
…家庭教師だと時間制なのであんまり雑談に時間を割けないのが心苦しかったんですが、
小説なら遠慮は要らないしね。

てことで、おいらの大好きな古い映画のウンチクの中に
こっそり英語を理解するツボを混ぜてみることにしました。

設定としては、ハロウィーンの日にうっかりあの世に迷い込んじゃった主人公の女の子が、
「おバカなブロンド」のイメージを抜け出したくて語学オタクになっちゃったマリリン・モンローに英語を教えてもらう、という感じです(笑)。
他にもポール・ニューマンとかマーロン・ブランドとかヴィヴィアン・リーとかジュディ・ガーランドとか
完全に個人の趣味に走ってますが(;^_^A、豪華メンバーが登場☆☆☆!
配分としては妄想3:蘊蓄4:英語のお勉強3って感じですかね。
マンガの『神の雫』でワイン通?みたいなノリです。

元々子供の頃から古い映画は大好きなんですが
(何せ最初に家で見た映画が『風と共に去りぬ』で
最初に劇場で見た映画が『カサブランカ』っていう)、
今回書くに当たってまた色々復習と称してDVD見まくりーの、
伝記本自伝本等読みまくりーの、
何か書いててひたすら楽しかったです。

自分の書きたいものを書いただけですが、
読んでみたいと思って下さるような奇特な方はぜひご連絡頂ければと思います(*´∇`)。

東京オリンピック開催までに、
英語を好きになってくれる人が少しでも増えるように願いをこめて☆
オリンピック開催地が東京に決定したそうで。
もちろん嬉しくないことはないんだけど、
ここで嬉しくないとか言ったらやっぱり非国民扱いになるんかな、とかちょっと思ってしまうのは
私があまのじゃくだからなんでしょう。
正直私は他の候補地の方々の落胆を思うと手放しで喜ぶ気がしませんが…
というか、客観的に考えて東京よりも経済効果を必要としているかもしれない都市から
東京がオリンピックの希望をもぎ取ったみたいな後味の悪さとでもいうか…。

言い方は悪いけど、
東京の、経済効果を必要としてしまうような「貧しさ」を
世界に向けて発信してしまったような恥ずかしさがちょっとあるかなぁ、と。

ま、東京に決定となってしまったからには、
世界に恥じない良いオリンピックにするように頑張ってくれ!と思います。

…そーいえば千葉県あたりも東京扱いにするのかな?
ネズミの国とか国際空港とか千葉なのに東京って言ってるけど。

あと…選手が渋滞に巻き込まれて参加できないアクシデントとか絶対やめてね。
電車にオリンピック選手専用車でも作ったらどうか?
東京の電車は世界一正確よ。
それくらいは自慢していいと思う。

さてさてどうなることやら。

とりあえず、関係者応援者の方々、おめでとうございます。