菊池凛子さんのオスカーノミネートで話題になった映画『バベル』のDVDを見ました。


批判覚悟で敢えて言いますが。

以前このブログでボロクソ書いた『間宮兄弟』を凌ぐ壮絶に最低な駄作でした。


話の筋は何もなく、ただひたすら「言葉が通じない」ことによるトラブルと、

それによって生じる人々の孤独感やら不安感やらを延々とだらだら綴った

山もオチも意味も無い映画でした。

(「やおい」とか自分で謙遜してるやおい本とかの方が全然面白いぞ。)


そういえばこういう映像ってどこかで見たことあるなぁ・・・。



音楽PVの後ろに流れている画像。

何だかストーリーがあるんだか無いんだか、みたいな映像。

色んな場面が切り替わって、最後に何となくまとまったようなそうでもないような

曖昧なフェイドアウトをする映像。

そんな感じです。


5分間くらいならいいけど、2時間以上も見せられてみ。

完全にただの苦痛でしかないですよ。



しかも選曲もまたこの冗長な映画にぴったりなんだけど、

坂本龍一の『美貌の青空』っていう曲のピアノ・ヴァイオリン・チェロトリオヴァージョン。

じつはこれ、私(元・教授フリーク)にとっては少々思い出のある曲。


もともとは『sweet revenge』っていうアルバムに入ってた曲で、

綺麗なメロディをちょっとポップな感じにアレンジしていたのがうまくハマってて、

結構好きだったんです。

それが、後に出した『1997』っていう全曲P・V・Cトリオのみのセルフカヴァーアルバムでは

ひたすら冗長で退屈なアレンジになっていて、

「長過ぎだよねー」とか友達とボロクソ言いまくった覚えがあります。


その、だらだらと長いだけの曲がだらだらと長いだけの映画に使われてたというのは、

何とも言えない感慨深さがありますねぇ・・・。




そして期待していた菊地凛子の演技も、正直、別に・・・という感じでした。

ひたすら目付きが怖くてひたすら頭のおかしい、はっきり言って寒い役でした。

意味無くパンツ脱いで意味無く裸になれば

ショッキングな演技とかいってアカデミー賞にノミネートされちゃうのか?なんていう

意地悪な見方さえできてしまうっつうか・・・。

アメリカ人的には「エキセントリックな女の子」に見えるのかもしれないけど、

日本人的には「ただの頭のおかしい女の子」ってだけで、

「孤独感」とやらには共感しようがない、というか

共感する前にドン引きしてしまいました。


他にも普通の日本人の感覚として見ると、

行動の雰囲気がことごとく日本ぽくない、どことなくアメリカっぽい感じで、

共感するよりも引いてしまう感じを受ける場面が多かったです。


で、今改めて思い返してみると、

出てくる各国の人々の言動それぞれに

文化的背景の違いの匂いが全く宿っていない映画でした。


要するにアメリカ人の監督が

あくまでアメリカ人としての文化的背景を背負ったままでストーリーを作り、

その都合上世界各国に舞台を置いた、というだけの映画なんだと思います。


考えたらアメリカ人って言葉が通じないことに慣れてないはずですよね。

せいぜい英語のしゃべれないヒスパニック系の人が増えてるくらいで、

大体は英語が通じて当たり前って思ってるんじゃないかな。


だから、言語の違いとか、言葉の通じない困難とかに対する感受性は、

他の国の人に比べると相当鈍いんじゃないかと思う。


日本人なんて国内でちょっとガイジンに話しかけられただけで事件ですよ!!!

のーのー、わたしえいごわかりませーん!ぷりーずぷりーず!みたいな。

そんな経験もしたことのない奴に、「言葉が通じない話」なんかを作る資格はねぇ!


外国語がわからなくても心が通じ合う、みたいなドラマや映画なら

日本にも韓国にもたくさんあるし、

言葉がしゃべれない人との間で起きるトラブルを乗り越えていくような物語が見たいなら

往年の名作ドラマ『愛していると言ってくれ』の方が全然切ないし泣ける。


『間宮兄弟』が「平凡」をイメージだけで描いた映画なら、

『バベル』は「言葉の通じないことによる孤独感」をイメージだけで描いた映画だったと言えます。

コンセプトや発想だけが先走りして、中身の伴っていない映画でした。


そんなふうに自分のイメージする世界を描きたいだけで、

簡単に登場人物に瀕死の重傷を負わせたり人前で裸にさせたり、ということは、

私は非常に醜悪に感じます。

その意味では、

これまた以前にこのブログで批判した映画『プレステージ』にも通じるものがあります。


要するに、何か、人として許せない映画でした。

偽善的で、独善的で、醜悪な映画でした。



嫌味な逆説を言えば、

アメリカのイメージしている世界なんてせいぜいこんなもんだ、というのを

嘲笑したい人にはちょうどいい映画だったと思います。


こんな貧困なイメージで映画を作っちゃった監督と

こんな下らない映画を評価したアメリカ人達を

まとめて馬鹿にしたい人にはお勧めな映画です。


・・・ああ、けったくそわるい。