「毛髪クリニック リーブ21」の岡村勝正社長を、CMで見知っている人は多いことだろう。同社の創業者社長で18年前から“発毛”をビジネス化し、現在の売上高は約150億円。全国に97店舗、813人の社員を抱える。
同社が8月3日から次期社長の公募に踏み切るという。気になる年収は3000万円以上だ。
岡村社長は現在66歳。自他共に認める健康オタクで、粗食をモットーとし、大きな健康問題を抱えているわけではない。「具体的なプランがあるわけではないが、第2の人生も考えたい。仏教にあこがれを持っていた時期もあり、自然に近い生き方をしたい」と岡村社長は話す。
月末に転職支援サイト「ビズリーチ」を運営する南壮一郎社長に会い、公募を決意した。ビズリーチは年収1000万円以上の管理職に特化した日本最大の転職支援サイトで、社長や経営幹部の登用サービスを展開しようと、同社に営業をかけていたのだ。
岡村社長は、「若い社員が多く、マネジメント層が育ってこなかった」と胸のうちを明かす。創業社長だからこそ、人事や財務、店舗運営などすべてに目を光らせ、すべての権限を持ってきた。全社的なマネジメントのできる中堅社員の定着も進まなかった。
さらに、岡村社長には、「会社は社会の公器。これから100年続く会社にできるような人材に後を託したい」と話す。具体的にいえば、中国や韓国などアジアへの進出を狙っている。上場については、「後継社長、あるいは社長を中心とする経営幹部が考えることで、あくまで一つの選択肢にすぎない」(岡村社長)。
実は、岡村社長の長男は一時、リーブ21で働いていたものの、数年前に去っている。「息子は親父のような仕事のやり方が気にいらなかった。人格やマネジメント力に優れているわけでもないのに、息子だからというだけで社長に据えるわけにはいかない」と、岡村社長は割り切っている。
次期社長の条件は豊富なマネジメント経験があること。年齢や性別は問わないという。1年の社長試用期間を経て、社長に就任する。余談だが、テレビCMに出るのかどうかは、自らに決めてもらうという。
次期社長に応募するには、ビズリーチのサイトに会員登録(30日間で4980円などと有料)することが前提となる。そのうえで、リーブ21の社長募集に応募するわけだ。リーブ21側はこの応募者を待つほかに、ビズリーチのデータベースの中からスカウトもできるようになっている。年内に内定にこぎつけたい意向だ。
社長公募の例としては、自動車部品メーカーのユーシンの例がある。2010年7月に全国紙に「社長候補求む」という募集広告が掲載され、大きな話題になった。ちなみにユーシンの公募には1722人の応募があり、社長のほか、副社長などマネジメント層を数人、採用した。
「リーブ21の場合も、応募してきた人材のなかから、社長候補のほかに、副社長や財務のトップなどを登用する可能性もある」とビズリーチの南社長はみる。
社長の公募に踏み切った企業はまだまだわずかだが、「グローバル化が急激に進み、15年前以上前に雇った中堅社員が、企業が求める人材のスペックにあわなくなってきた」(南社長)。それだけに、社長や経営幹部の外部からの登用が中堅企業にとって大きな選択肢になる可能性がある。リーブ21の行方が注目される。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)
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