駅に向かう途中、かなりご高齢のお爺様と目が合った。ような気がして振り返った。

エアコンの室外機にもたれ掛かるように休んでおられたので、お散歩中なのかと思ったのだけれど、よく見るとこめかみが大きく膨らみ血を流しておられました。

「床屋に行くつもりが転んじゃいまして。」とお爺様。ハンカチは血でグッショリなのに落ち着いたご様子でした。

「いやいや、救急車呼びましょう。」
「はい、お手数をおかけします。」

素直に応じて下さりホッとしつつ救急に電話。現在地と今の容態を伝え待つ事数分。

その間にお爺様が40年勤めた会社の話、学徒動員で半分は働いて半分は勉強とのふれ込みが、勉強だなんてとんでもない。全くそんな暇は無かったよ、と。

怪我の事などすっかり忘れた様子でニコニコ話すご様子に、私もすっかりその事を忘れて話に聞き入ってしまいました。おん年、90ウン歳。

救急車を見送り、ホッとして歩き出した時にハタと気が付いた。

よう救急車来てくれはったなぁ、と。

今はきっと何処の病院も大変な筈、迅速に対応して下さった救急隊員の方々に頭が下がる思いです。

本当に有難うございました。

お爺様、お大事に。