優しい衝動

体を重ねるかも知れない相手との食事は、
様々な感情が沸き起こり、独特の楽しさを感じられる。
今回は、ペルー料理を選択。
以前、話をした時に興味をもってくれていたようなので、
その店を選択した。
興味を惹かれる料理が、メニューに並ぶ。
二人だと限られたものしか口にできないので、
注文にも迷いが出る。
外せない料理二品と、直感で選んだ二品、ペルー産ビール。
これだけでもかなりのボリュームで、結局食べ切れなかった。
なんだかんだで、知り合ってから5年近く経つ。
途中、連絡が取れない時期が1年近くあった。
その辺の話、最初に互いに興味を持った時の話。
そして、今の話。
彼女と会うと、必ず話題に出る、最初にあった日の話。
しかも、あのスペシャルな30分は、私も忘れることは無いであろう。

店を出る。
この日は、彼女を抱きたいと思った。
彼女も同じ気持ちで居てくれているように感じていた。
行き場所は一つ。
あとは、どこにあるかを探すだけ。
それも、独特のネオンを発見し、貴重な時間を無駄にすることは無かった。

部屋に入り、自然と距離を縮める。
唇を重ねた後の、嬉しそうな顔が印象に残る。

お風呂で軽くいちゃついたあと、場所をベットに移す。
裸で横たわる彼女に身を寄せ、その体温を感じる。
長めのキスで、体の感度を高める。
唇が彼女の体の上を遊び、最後に乳首を含む。
同じように下半身をうろついた指先が行き着く先は、やはり膨張し硬さを増した
クリトリスであった。
その二点を集中的にいたぶることで、軽い絶頂を迎える。
いつもだと、恥ずかしさが先に立つようで、
私が脚の間に顔を埋めることを好まなかったのだが、
今回は積極的に受け入れてくれる。
脚を大きく開き、私の舌の動きを確かめるように、腰をくねらせる。
二本の指も素直に受け入れ、何度も小さな痙攣を起こしている。

彼女の目つきが、変わる。
私のモノを欲する言葉を吐き、体を寄せてくる。
私は、その願いを素直に受け入れた。

頻繁に体位を変えることを好まない彼女。
接触の大部分は正面からだ。
それでも、体の位置や角度を変えることで、
いくつかのバリエーションを持たせることが可能だ。
が、特定の部分を、徹底的に突き上げる。
堪えきれなくなったのか、諦めの叫びと共に
熱いものがほとばしるのを、股間の辺りに感じた。
「まだ、出ちゃうよ」
そう言っては、どこから湧き出るのか不思議な神秘の液体を噴出す。
途中から、どこを突けば耐えられなくなるのか理解した私は、
時折、そのポイントを集中的に圧迫し、
人体の不思議に感嘆するのであった。

その日の私は、大きさ硬さ共に、感嘆に萎えることがなく、
どこまでもベストの状態を維持している。
多分、彼女の見せてくれる反応が、いつも以上に官能的で、
隠し隔ての無いストレートなものであるからだと思われた。
私を勃たせ続ける重要な要素は、まちがいなく、相手の女性のリアルな反応であ
る。
包み隠さず、全てをさらけ出し、普段は見せないような姿に溢れ、声が響く。
その日の彼女は、そんな風に感じられた。

彼女が未だ体験したことの無い、中イキ。
彼女を体を交わす時には、意識しないようにしても
意識してしまう、ひとつの事実。
その日、彼女をそこへ導く可能性を感じた。
根拠は無い。
が、そう思えた。
結局、それは実現しなかった。
が、それに近づけたことは、なぜか嬉しかった。
そのことに、どれほどの価値がわるかはわからないが、
嬉しいのだから、仕方が無い。