昭男はしばらく状況が飲み込めないままなつくんを見つめた。
するとなつくんは「そうですよ、貴方に抱いてもらっている犬です。犬なんですがスペシャルな犬なんです」
となつくんは昭男の心に話かけた。
なつくん的には「スペシャルな犬」という表現に横文字を使っていることもあり「自分ってかなりヒーローだわぁ」と毎回実感するのであった。
昭男は何がなんだか理解不能、パニック状態になった。
「あなたが理解できないのも仕方ありません。なんせ私はスペシャル犬ですから」となつくんはニヤリッと今にも右奥歯がキラーンと光るような笑顔を昭男に向けた。
その姿とセリフに昭男はアニメの一部分を見ているような感覚になった。
そしてアニメだとこういうカッコをつけたセリフとポーズをとるキャ ラクターこそ案外弱かったりいじられキャラだったりするなぁと思った。そんな事を考えているうちにパニック状態はおさまり何故だか今のこの奇異な状況を受け入れられていた。
ここにも実は秘密があってこの能力、なつくんの乾いた鼻に涙が落ちた時に涙と少量のなつくん鼻汁が混ざりあい微量の香りが発生する仕組みになっている。
その匂いを嗅ぐと信じられないほど素直になんでも受け入れることができるようになるのである。