シンガポールから赤道まではたったの130kmということもあり、一年中常夏で四季がないと言われる。北緯にすると約2度。
添乗でシンガポールに来たときには常にガイドさんから
「今日のお天気は晴れ。ときどき雨。気温28度。明日も明後日も毎日同じです。」
と案内されていた。観光で来る分にはそう言われて何の違和感もなかった。
だけど、実際にシンガポールに住み始めてからは、微妙な気温差に敏感になってくる。
そうなると本当の常夏人だ。
朝起きて外気温が少し肌寒い時は27度。
生ぬるい時は30度。
汗ばむときは32度。
寝る前にはエアコンを入れるが、このエアコンの設定温度も27度では寒く、29度では少し暑いので28度の快適さを体が覚えるようになる。
日本に住んでいた時には少々暑い熱帯夜でも平気で汗をかきながら眠れたものだった。
常夏の生活が長くなると、毎晩汗をかいたり夜中に目が覚めたりすると万年寝不足になったりするので、今では敢えてエアコンをつけっぱなしで快適に眠れるようにする。何とも弱っちくなってしまったものだ。
飛行機の中も敢えて寒いと言われる温度に設定している航空会社が多い。人間は寒い中では寝れるけれど、暑いと寝れないからだそうだ。だけど、日系の航空会社の気温は何故か温度が高めに設定してある。きっと寒がりの日本人のお客様からのクレームが多いからであろう。
シンガポールのオフィスやデパートではセントラルヒーターならぬクーラーを使っている。各お部屋での温度調整はできない。シンガポール人は概してエアコンが大好き。
オフィスの気温設定はどこのビルもきっと10度くらいだ。だからオフィスレディ達は仕事中はジャンパーを羽織り、冷え性の人はブーツを履いている。
ランチタイムになると外の屋台で食事をしながら、エアコンで凍ってしまった体を溶かし、そして汗をかいてオフィスに戻る。それが丁度いいらしい。
常夏のオフィスの異様な光景だ。
日本は東経約135度。シンガポールは105度。30度ずれているから、四季も2か月ぶんくらい早く感じる。立春、立秋を境に太陽の時間が変わる。冬と夏の境目は冬至と夏至ではない。夏場の日の出は7時、冬場は7時15分くらいになる。日没も同じ19時。そして19時15分。
シンガポールでは5月が暑さのピークだ。
朝から汗ばんで洋服が体にくっついて着替えられない。朝、シャワーを浴びてもドライヤーをかけられない。MRTの地下鉄の中では濡れた髪の女性ばかりだ。
11月になるとシンガポールの冬。
雨も多くなり気温は23度くらいまでに下がることもある。雨季と言っても2-3時間スコールが降るだけ。昼間は快適な青空が広がる。
また、小鳥の声も季節によって鳴き声が違う。4月には青い鳥が遊びにくる。そして12月には黄色い鳥。
フルーツも6月はドリアン、7月はランブータンと出てくる種類も違う。
こんな季節の違いを感じ取れる体にはなるが、記憶は全然残らない。最初は自分がアルツ化しているのかと思った。
日本の友達が遊びに来てくれても、数か月経つといつ来てくれたのか記憶がない。
人間の記憶は気温や服装で保存されるものだとわかった。
「あの時は寒かったね~。」
「桜がたくさん咲いていたね~。」
3週間前なのか3か月前なのかわからなくなってしまう。
だから、東南アジアではイベント等で記憶を把握するようになる。クリスマスのイルミネーションや旧正月のランタンフェスティバル、ハリラヤ、ディワリ。
クアラルンプールから南アフリカ共和国の首都ヨハネスブルグへのフライトは約8時間。マレーシア航空が就航している。
「途中赤道を通過するときに、赤い線が見えます。窓際にお座りの方は探して見て下さいね。」
私のツアーの素直なお客様だけ飛行中ずっと窓から下の様子を眺めている。
毎度の私のネタだったのだけれど。。。
お客様、いつもごめんなさい。
*シンガポールのオフィス街