私たちが安倍応援団になったわけ(2)『正論3月号』 | 打倒安倍を叫ぶ紳士淑女+老人達を微笑ましく見守ろう♪♪

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金美齢(評論家)
長谷川三千子(埼玉大学名誉教授)

(金)… うん。安倍さんも世襲という意味では小渕さんと同じですが、私は安倍さんには岸信介のDNAが受け継がれていて、ある種の歴史的使命感が伝わっているように感じるわけ。正しいかどうかはわからないけど、私はそれを感じている。同様に吉田茂の孫である麻生太郎さんにもそれを感じる。
いま政治家の世襲に対する風当たりが強いけれど、世襲もピンキリです。 安倍さんは生まれの良さと育ちの良さが全部プラスに出た、希少価値を持った政治家だと思う。
(長谷川)… 民主党は世襲候補に制限をかけましたが、世襲というのはピンキリであり、ピンを切ってしまったら日本のためにもなりません。
(金)… そうなんですよ。私はかつて岸信介の通訳をしたことがあったの。
(長谷川)… ええ、そのお写真、見たことがあります。
(金)… 60年安保という争乱の中で、岸信介ほど悪し様にメディアに取り上げられた政治家はいないと思う。似顔絵なんかも出っ歯を強調されるなど悪意に満ちていた。 でも私が直接会った岸信介は、まったく違う雰囲気でした。信念を持ち命をかけて安保を改定した政治家だった。 その印象と安倍晋三さんの印象が私の中では重なっているんです。

世襲といえば歌舞伎だけど、1959年に来日した私が「歌舞伎を見たい」とクラスメートに言うと、彼のお兄さんが「最初の体験が好き嫌いを決定するから待ってなさい。11代目の市川圜十郎の襲名披露公演があるから、そこまで待ちなさい」とアドバイスされたの。 だから私の歌舞伎初体験は、11代目圜十郎の襲名披露公演。演目は圜十郎の18番の「助六」。揚巻は6代目中村歌右衛門。
いきなり歌舞伎のいいところを観たわけですから、今になっても暇を見つけて歌舞伎座に足を運ぶようになった。孫の海老蔵は事件に巻き込まれたりして、いろいろ言われてるけれど きっと素晴らしい13代目になるでしょう。
やはり血というのはあると思う。政治家だって同じです。政治家だけに世襲を認めないというのは、無知蒙昧で卑しい感情ですよ。

(長谷川)… 民主主義のイデオロギーからすると、そういう政治家としての資質はあまり問題にしてはいけないんでしょうね。 つまり政治家というのは、国民の皆さんの声をおとなしく聞いて実現するマシーンみたいなものなんです。
(金)… ちょっと待ってよ。それじゃ鸚鵡じゃない。
(長谷川)… いや、民主主義のイデオロギーに忠実であれば、政治家は一国民以上でも以下でもない存在であるべきなんです。 そういう、政治家は庶民でなければいけない というイデオロギーが根強くあるんじゃないでしょうか。
(金)… それは民主主義の堕落ですよ。政治家は我々よりも遥かに優れてなきゃ。
(長谷川)… ダメですよね。
(金)… 国民と同じ資質で、国民の言っていることを鸚鵡返しみたいにしていればいいと政治家が考えていることに、いまの日本の政治の頽廃(たいはい)がある。
(長谷川)… その通りです。
(金)… 私達は、国民のために働いてもらうために、税金をかけて政治家を育てているんです。だから、選挙では育てがいのある人物を選ばなきゃ。
(長谷川)… そう、資質を見極めなければ。政治家にはプロという意識を持ってもらわなくちゃ困るし、我々もプロを選ぶという意識を持たないといけない。
(金)… そうなんですよ。
(長谷川)… 民主党は、庶民の民主主義の理想を実現するためには政権交代が必要だ、と訴えて政権を奪取しました。それが暗黒の3年数ヵ月を日本にもたらした。
(金)… 要するに、有権者は自分達におもねる主張をするばかりの ど素人の民主党を選んでしまった。民主主義の頽廃ここに極まれりという選挙でした。暗黒の3年数ヵ月は そのしっぺ返しよ。

<応援団なら見返りを求めるな>
(金)… 安倍さんのサポーター第1号を自負している私は、自分のできる範囲で応援するけれど、それに対する一切の見返りを求めようとは思いません。これが本物のサポーターの姿勢だと思います。
(長谷川)… そうですね。5年前の第一次安倍政権の時、保守陣営がいまひとつ しっかり認識していなかったのが、その姿勢ではなかったか。
つまり、自分達が応援した首相なんだから、自分達の陳情をよく聞いてくれて当然だと思っていた。そういう陳情意識でサポートしていたところがあるんじゃないでしょうか。
(金)… そうなのよ。数年前に保守陣営と目される人々と食事をしたことがありました。首相の適任者は誰かということが話題になり、私が「安倍さんしかいない」と言うと、その中のひとりが「安倍さんは首相時代に靖国に行かなかったじゃないか」と水を差したんですよ。
私だって靖国に行ってほしいと思います。しかし首相という地位に就けば、我々が想像もつかないような困難が多々あることを理解しなきゃいけない。
靖国に行かなかったということだけで、安倍さんを否定してしまうような人間は、あまりにも器が小さいと思う。
(長谷川)… そうそう。
(金)… 「靖国参拝をしなかった」という批判は くだらないとは言わないけれども、首相の地位にある安倍さんが苦しんで出した結論ですよ。私はこういう性格だから、思わず「何 くだらないことをぐじゃぐじゃ言うの!」って言っちゃった。

(長谷川)… 私もまったく同感です。要するにプロにプロとしての力量を信頼して、プロに任せるっていうのは そういうことだと思うんですよ。
素人から見ると、「どうしてこの手を打たないの」というようなことも、プロの目で見渡すと、その手は最後に打つ手 ということもあり得る。 そもそも、外側から見ていたんじゃ見えない状況を全部判断して、一番いい手を安倍さんは打とうとしていたはずなんです。
(金)… そうなのよ。だからサポーターを自任しているなら、ぐじゃぐじゃ言うな!です。
(長谷川)… 首相にインスタントラーメンの値段を聞いて、はっきり答えられないと「庶民感覚がない」と批判するメディアも問題ですね。麻生さんがホテルのバーによく行くとか、安倍さんが3500円のカツカレーを食べたとか、どういうつもりであんな報道をするんでしょう。
(金)… もちろん、庶民の生活を守るために政治があり首相がいるわけだけど、だからといって 首相の生活と庶民の生活が同じである必要はまったくない。そこを勘違いしている有権者が山といるということなのよ。
私は、庶民ぶって百円ショップで買い物をするような人物を、首相に戴くのは絶対に嫌ですね。
(長谷川)… 安倍さんはそういうパフォーマンスは絶対にしないでしょうね。
(金)… やってほしくないです。