実は26日の放射線科の診察は女医さんだった。
私は意を決して、検査着もなく男性技師さん2人の前で胸をはだけて照射してもらわないといけないのかと聞いてみた。
「ほんとうに、それは申し訳ないと思っているんです」
と先生は言った。もうだいぶ前から女性の技師さんの受け入れを要請していて、やっと数日後に入ることになったらしい。
「ミミさんの場合は喉と鎖骨の上が出ていればいいのだから、胸から下に何かかけてもいいですよ」
だって。今さらだ…
そんなの今さら遅い。そんなこと最初から知っていればこんなに悩まずに、ストレスにならずに住んだのに。やっぱり女性にしか女性の気持ちはわからないんだなあ、とつくづく感じた。
じゅりあんは、私があまりに嫌がっているのでこう言った。
「技師さんはいつものことで気にしてないから大丈夫だよ」
ぜんぜん違う、そういうことじゃない。技師さんたちがどうこうじゃないんだ、彼らがどう思うかはどうでもいい。問題は私が嫌だと感じること、裸で仰向けで固定される気分は当人にしかわからないのかもしれない。
もっと早いうちに女医さんに相談すればよかった。でも、それもわがままになってしまうと思って、今まで我慢してきた。もしそういう相談をしたら技師さんが先生に何か注意されてしまうんじゃないかとか考えると言えなかった。それに今さら、急に胸にタオルをかけるようになったらおかしいのではないかとも思う。プロの技師さんたちの気分を害すかもしれない。こういう時にすら自分の気持ちを優先できない自分の性格がうらめしい。
そしてついに先日、女性技師さんがやってきた。私の治療は残すところあと1回のみ。あまり意味ないな…
でも照射する部屋に男性技師さん2人と私だけより、女性がもう1人いるだけで安心感が違った。こういうことなんだな、と思った。うまく言えないけど女性からすると男性は威圧感がある、力では絶対的にかなわないという動物的な感覚というか。例えば夜道で出会えば怖いと思うのと似ている。男性にもそういう逆の感覚はあるのかもしれないけど、女性の私にはわからない。でも世の女性は少なからずそういう感覚は日常生活で感じているものだと思う。
病人は本当にもろい。精神的に壊れやすい。だから健康な人には大したことでないこと、異性にはわからないこと、年齢の違いでんからないこと、そういう小さな積み重ねでまいっていく。病気と闘うって本当に簡単なことじゃない。痛みや不安だけでなく、ごく小さなひっかかりに心が蝕まれたりする。
