なんだろう?
その声は?
でもその声が聞こえたのは、ほんのわずかな時間だった。
すぐにそんな声は聞こえなくなってしまった。
なんなのだろう?
それはただの夢なんだろうか?
でも私の心に、妙に引っかかったものがあった。
その声は、以前にどこかで聞いたことがあったような気がした。
でもそれが、どこでだったのかは思い出せない。
でも妙に、心に残っている気がして、私は気分が優れないでいた。
それで私は、ただそんな夢のような感覚の中を漂う。
そこは闇だった。
私はそんな黒の世界にいた。
今まで見て来たものが、なにを意味しているのか、それはわからない。
それこそ夢のように、特に意味なんかないのかもしれない。
でもそれは間違いなく、私の脳が見ている映像なのだ。一般的に言われている夢が、取り立てて意味のないようなもの。
もしそこになにか意味があったとしても、その真意を知ることは、誰にもできないのかもしれない。
どんな映像もそうだ。
私が生きて来た現実の世界も、そして今見ているこの奇妙な世界も。
私にとってはその全てが、幻であり現実なのだ。
・・・私の声が、聞こえますか? ・・・
さっきの声は、そう言っていた。
どうなんだろう?
私は今まで生きて来て、なにかを聞いていたのだろうか?
そこに意味はあったのだろうか?
・・・反応して下さい・・・
・・・なんでもいいです・・・
・・・声を出すでも、体を動かすでも・・・
あの声は?
そこにどんな意味があったのだろう?
そんなことを考えながら、私の意識は彷徨う。
どこまでも続く、闇の中を・・・
ふと私は目を開けた。
そこは闇の世界。
私はさっきのホテルのベッドで、目を開けた。
どうも少しだけ、眠ってしまっていたようだ。
でもどれくらい時間が経ったのかはわからない。
それで私は、その身を起こすとベッドから降りた。
特になにかをする宛てがあるわけじゃない。でも私は、なにかを感じていた。
それで部屋を出て、廊下に一歩出てみると・・・
「!? 」
そこにそれはいた。
闇に包まれた通路の奥に、なにかが立っている。
闇の中なのではっきりとはわからなかったが、どうも人間のようだ。
でもその様子はおかしい。
もちろんこんな世界なのだから、まともなものなんて期待はできないだろうけど。
それで私が、黙ってそれを見ていると、それはほんの少しだけ、そんな私に反応してみせていた。
(続く)