SHD -3ページ目

SHD

 「私」の夢の話。
 夢は自由で、なんの束縛もない。
 親愛なる咲神遊亜様。
 そして立川レンゲ様。
 あなた方の教えてくれた世界は、今でも私の中に生きています。

 なんだろう?
 その声は?
 でもその声が聞こえたのは、ほんのわずかな時間だった。
 すぐにそんな声は聞こえなくなってしまった。
 なんなのだろう?
 それはただの夢なんだろうか?
 でも私の心に、妙に引っかかったものがあった。
 その声は、以前にどこかで聞いたことがあったような気がした。
 でもそれが、どこでだったのかは思い出せない。
 でも妙に、心に残っている気がして、私は気分が優れないでいた。
 それで私は、ただそんな夢のような感覚の中を漂う。
 そこは闇だった。
 私はそんな黒の世界にいた。
 今まで見て来たものが、なにを意味しているのか、それはわからない。
 それこそ夢のように、特に意味なんかないのかもしれない。
 でもそれは間違いなく、私の脳が見ている映像なのだ。一般的に言われている夢が、取り立てて意味のないようなもの。
 もしそこになにか意味があったとしても、その真意を知ることは、誰にもできないのかもしれない。
 どんな映像もそうだ。
 私が生きて来た現実の世界も、そして今見ているこの奇妙な世界も。
 私にとってはその全てが、幻であり現実なのだ。
 ・・・私の声が、聞こえますか? ・・・
 さっきの声は、そう言っていた。
 どうなんだろう?
 私は今まで生きて来て、なにかを聞いていたのだろうか?
 そこに意味はあったのだろうか? 

 ・・・反応して下さい・・・
 ・・・なんでもいいです・・・
 ・・・声を出すでも、体を動かすでも・・・
 あの声は?
 そこにどんな意味があったのだろう?
 そんなことを考えながら、私の意識は彷徨う。
 どこまでも続く、闇の中を・・・




 ふと私は目を開けた。
 そこは闇の世界。
 私はさっきのホテルのベッドで、目を開けた。
 どうも少しだけ、眠ってしまっていたようだ。
 でもどれくらい時間が経ったのかはわからない。
 それで私は、その身を起こすとベッドから降りた。
 特になにかをする宛てがあるわけじゃない。でも私は、なにかを感じていた。
 それで部屋を出て、廊下に一歩出てみると・・・
 「!? 」
 そこにそれはいた。
 闇に包まれた通路の奥に、なにかが立っている。
 闇の中なのではっきりとはわからなかったが、どうも人間のようだ。
 でもその様子はおかしい。
 もちろんこんな世界なのだから、まともなものなんて期待はできないだろうけど。
 それで私が、黙ってそれを見ていると、それはほんの少しだけ、そんな私に反応してみせていた。


 (続く)