毀誉褒貶(褒める評価と、けなす評価の双方を持っていることを表す四文字熟語)
この難しい言葉を知ったのは私が16歳、高校1年生の時のことでした。
その年、角川文庫から出ていた戦前の昭和10年に書き下ろされた、異端探偵小説作家夢野久作による「ドクラ・マグラ」の表紙折り返し裏の紹介文を読んだことに始まります。
小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」中井英夫の「虚無への供物」と並ぶ日本三大奇書に挙げられています。
以下にその表紙裏紹介文を貼ります。
もちろんすぐに辞書を引き読み方と意味を調べました。
『これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書』です。
多感な16歳の少年はまさにその毒に当てられて、最初の鬱を発症しました。
奥付を見ると、昭和五十一年初版発行、翌昭和五十二年に発行された第三版であることがわかります。
昭和三十六年生まれの私がまさに16歳の時の本でした。
あれから来年で、50年になりますが、その間ずっと私の枕頭に並べられています。
のちの1988年に不可能と思われた映画化されましたが、事件の鍵を握るマッド・サイエンティストの正木博士を演じた桂枝雀が鬱病を悪化させて自死したことによって、中国唐の時代、時の玄宗皇帝に仕えた若き画工「呉青秀」の呪いは成就したと思いました。
映画「ドクラ・マグラ」より、正木博士発案の九州帝国大学医学部精神科における『狂人の解放治療場』
同じく桂枝雀の正木博士
読んだ翌年、高校2年生の私は、自分が鬱に落ち込んだストーリーを同級生女子の「ヨシ」に語って聴かせたところ、彼女は面白がって貸してくれというので、「危ないと思ったら止めろ!」と警告した上で貸してあげたところ、しばらくしてから「面白かったけど、それほど奇しくもなかった」と言って平然とした顔をして返してくれました。
その後現役で東大に進学した彼女のことを思うと、そのような鋼の頭脳を持った女は心臓もまた鋼鉄で出来ているんだなぁと感嘆したものです🤣




