黄金のランデブー | われは河の子

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黄金のランデブー アリステア・マクリーン

     1962年 ハヤカワ文庫 昭和52年


 政情不安が絶えないカリブ海の共産国の港カラッチオで、出航を待つイギリスの豪華貨客船カンパーリ号は鬱々とした空気に包まれていた。

 アメリカ政府からの小型核兵器盗難事件による大幅な出航の遅延と、乗客の突然の変更、さらに

 先週のハンガー・ストライキの時に死んだイギリス人2名とアメリカ人1名の遺体を収めた棺桶まで積み込むというのだ。


 カンパーリ号は、その乗客として選ばれる者は、大富豪などという言葉が束になっても追いつかないような超富豪たちで、普通の客船で提供されるような船のバンドやダンス、パーティ、プール、ビンゴ、寄港地での観光などは一切行わず、ただ静かで落ち着いた航海を定期していた。ただ、設備の整ったテレグラフ・ラウンジを備えており、そこからはニューヨーク・ロンドン・パリの株式取引所といつでも連絡が取れるようになっており、乗客たちは船旅の間にもその資産を着実に増やすことができたし、交代で勤務に着く2人の天才的コックによって供される料理もまた極上中の極上のものであった。

 そんなカンパーリ号に、カラッチオから予定を変更して乗り込んできたのは、ミゲル・カレラスという、おそらくはその国の総統閣下にも繋がると思われる実力者であろうオーラを発する人物と、その息子で映画俳優顔負けの美貌を持つ青年、トニー・カレラス、そして車椅子のまま乗船して、船室から一度も出ることのない老人セルダンと、それに付きっきりの2人の看護婦だった。


 こうしてなんとか出航したカンパーリ号だったが、カリブ海上において、乗務員が次々と殺害される。一等航海士のカーターは、仲間たちと事件の捜査を始めるが、それはカンパーリ号シージャックと、それに加えての大陰謀の幕開けだった。

 カーターは乗客のスーザン・ベレスフォードや、船医のマーストンらと共にこの困難に立ち向かう。


 アリステア・マクリーンの諸作中、傑作と評判の高かった作品だが、今まで読む機会が無かった。

 しかしなるほど傑作の名に値するものであった。

 船中で起こる連続殺人事件の犯人は誰かというフーダニットは早くも中盤までに明かされ、それからはシージャック事件と、金塊強奪事件という国際的陰謀に発展していく、さらに海洋冒険小説にはつきものの、ハリケーンの脅威!しかし今回の主人公はそのハリケーンの波とローリング・ピッチングを利用する。

 かつて七つの海を支配した大英帝国の誇りをそのまま受け継いだ、壮絶な闘いを描いた海洋冒険ロマン❣️

 しかし軍人でも諜報員でもない一等航海士のカーターのスーパーマンぶりにちょっと辟易してしまう点もある。


 1977年にリチャード・ハリス主演で映画化された


 しかし、船の名前をはじめ登場人物の名前やストーリーが大きく原作とは異なっている。