ゴースト・スナイパー | われは河の子

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ゴースト・スナイパー ジェフリー・ディーヴァー 2013年 文春文庫 2017年


パナマで反米活動家の男性が狙撃され暗殺される。その時割れた🪟ガラスの破片で傷を負ったボディガードと取材中の記者も巻き込まれて命を落とす。狙撃は神技ともいうべき長距離射撃によるものと思われた。

 直後、リンカーン・ライムの元を女性地方検事補のナンス・ローレルが訪ねてきて捜査の協力を依頼する。

 

 その暗殺はアメリカ政府諜報機関の仕業で、テロリストとみなされ暗殺された活動家は無実だという。


 パナマ警察は証拠の提出や詳細な調査を拒み、証拠分析の専門家であり、四肢麻痺による車椅子生活のライムにはニューヨークにいてなす術がない。


 また、この事件そのものが、リーク(密告)によるものということで、それが暗殺を企画・実行した国家諜報運用局(NIOS)に知れると、当局は密告者探しに奔走する。同時にパナマで被害者の活動家に接触した人物が次々と消されて行く。


 業を煮やしたリンカーンはついにパナマへと旅立つ。


 著書お得意の二転三転するジェットコースター・ミステリ。特に今回はライムのパートナーであるニューヨーク市警のアメリア・サックス刑事に直接の危機が襲来する‼︎


 相変わらず綿密な微細残留証拠の解釈によるライムの推理が冴え渡る作品であるが、今回は電動車椅子探偵のライム自身が異国にまで直接調査に赴き、危機に瀕することになる。

 また実行犯ではなく犯行を計画したのが政府組織ということで、これまでの悪役はサイコキラーという犯罪小説というよりも政治と戦争をテーマに据えた骨太な作品になっていた。


 スナイパー(狙撃手)を扱った作品では、フレデリック・フォーサイスの出世作で映画化されてこれもヒットした『ジャッカルの日』や、近年ではボブ・リー・スワガーを主人公にした『極大射程』をはじめとするスティーブン・ハンターのシリーズなどがあり、厳重な警備をかいくぐり、どうやって狙撃を成功させ、どうやって脱出するかが見どころ読みどころになるが、史上最大の狙撃シリーズは『ゴルゴ13』であることは間違いはない。