櫻子さんの足下には死体が埋まっている 8 | われは河の子

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櫻子さんの足下には死体が埋まっている
 はじまりの音 太田紫織 平成27年 角川文庫

プロローグ・エピローグ、『ウラトオモテ』『雛を呼ぶ声』『脱皮』の3編からなる。
 加えてスペシャルショート・ストーリーとして『北方の三賢人』スリーキングスなる正太郎の三人の祖父の活躍が描かれる。(1人は母親が違う正太郎の兄の母形の祖父)
 春、新学期に正太郎と親友の今居、そして二人とは微妙な関係にあり櫻子さんに心酔している百合子は同じクラスになる。担任はこれも準備レギュラーメンバーだった生物の磯崎先生だ。
 そんなクラスに不思議な少女が転校して来た。

 徐々に明らかになってくる九条家の過去と櫻子さんの心の傷。さらに彼女の伯父で現在は難病に横臥する余命幾許もないが、かつて司法解剖などて北海道警察に多大な貢献をして来た法医学者の設楽教授について。いよいよ背景となる人間関係は複雑になって来る。
 今回も直接サイコ・キラー花房は表立って姿を現さないが、ところどころにその雰囲気だけは醸し出されている。
 その設楽教授とその周りの人物の説明を含む『脱皮』では,旭川近郊美瑛町で人気観光スポットとなっている「青い赤」が事件の舞台になっている。


ここで正太郎たちは二度にわたって遺体を発見する。ロマンチックな場所なんだけどなぁ。

 巻頭を飾る『ウラトオモテ』にあるように、今巻のテーマは「ダークサイド」であろうか?人は誰でも二面性を持ち、普段外に現れない裏の顔にこそその人の真意が潜んでいるケースは現実社会でも多々あることだと思った。