ハヤカワポケットミステリ 1964年
ジャマイカの首都キングストンでの活動中、本部への定時連絡を前に消息を断ち、秘書と共に失踪したと考えられたイギリス秘密情報部カリブ支局のストレングウエィズの調査のためにロンドンから派遣された007号ジェイムズ・ボンドは、カリブ海に浮かぶクラブ礁島の持ち主で島に余人を寄せ付けぬ謎のドイツ系中国人ノオ博士の仕業と考え、現地人の漁師クォーレルの助けを借りて密かに島に潜り込み、そこで貴重な貝を収集していた美女ハニー、ライダーに巡り合うが、クォーレルは焼き殺され、ハニーと共にノオ博士のアジトに捕られられる。
秘密結社党(トング)を裏切り、100万ドルの闇資金を持ち逃げしたノオ博士は、島で海鳥の糞から作る合法的な肥料工場を経営しながら、共産圏の技術提供を受け、アメリカの誘導ミサイルの軌道を狂わせる特殊な電波の発生装置を島に建設して、実験ロケットを次々と墜落させていた。
軍備拡張戦争に勝利して世界の覇権を握ろうとしたソ連(ロシア)の大陰謀であった。
ボンドはノオの用意した罠をかいくぐり、美女を救い窮地を脱し、悪の野望を打ち砕くことができるか?
快男児ボンドの手に汗握る活躍を見よ!(60年代惹句風!🤣)
コロナ禍のせいで世界公開が遅れている映画「007 ノー・タイム・トゥー・ダイ」はダニエル・クレイグがボンドを演じる007シリーズ25作目の映画でありますが、その栄光に満ちた映画シリーズ第1作「007 ドクターノオ(日本初公開時には「007は殺しの番号」の原作小説です。
映画の成功は、もちろんこの初代ボンドを演じたショーン・コネリーの功績に寄る物であることは間違いありません。
しかしながら、大戦前のサマセット・モーム「アシェンデン」エリック・アンブラー「デミトリオスの棺」などの系譜を継ぎ、ミステリの女王アガサ・クリスティにも「秘密機関」などの伝統のあるスパイ小説は、東西冷戦下という国際的緊迫状況の中でセックスと酒とアクションに特化したヒーロー物語におけるジェイムズ・ボンドの登場で「男のお伽話」「大人の紙芝居」と揶揄されながらも、このジャンルにおける新しく確固たる波を生み出して、幾多の亜流作品を(小説上でも映画界でも)誕生させました。
映画では初登場となったボンドですが、小説ではこれが第6作目に当たるため、上記写真の、有名なボンドの初お目見えの自己紹介は小説中にはありません。
その代わり、映画化の方も初めての作品ということで、小説を丹念に再現しており、ストーリー冒頭のストレングウエィズ暗殺の「三匹のめくら乞食」のシーンは原作通りです(もちろん脳裏に流れるのは軽快な「キングストンカリプソ」のメロディ♪)
登場人物は極めて少なく、映画で重要な役割を果たすCIAのフェリックス・ライターやデント教授は登場しませんが、総督府秘書のミス・ターローやノオ博士の接待係のシスターローズやシスターリリーがちゃんと出てくるのが嬉しいです。
かように大ヒットを記録して現在でもファンが多いシリーズの原作小説である本書は、後にハヤカワにより文庫化されますが、今ではそれも絶版状態で、Amazonでも軒並み3000円を越す高値が付けられています。
こんなに有名な小説なのに読む事が困難なのは悲しい話です😢
昔から原作偏重主義の私は、ボンドのシリーズは10代の頃に全部読みましたし、持っていましたが、20年以上前に、旧友タカノ君の息子に贈呈しました。
そこで先日、本書並びに同じくハヤカワの007号シリーズ「サンダーボール作戦」「007号は二度死ぬ」「女王陛下の007号」「私を愛したスパイ」と、60年代にテレビシリーズで人気爆発した「ナポレオン・ソロ 最終作戦」の全6冊を、送料込み合計1000円で入手して笑いが止まりません🤣
しばらくお楽しみが続きそうです。


