シャーロック・ホームズ | われは河の子

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 最近枕頭の書架にあるシャーロック・ホームズの聖典を手当り次第に拾い読みしています。


緋色の研究 コナン・ドイル 1887年 
角川文庫 昭和34年

 昭和の時代に少年少女だった人々は、すべからくホームズ物に胸をときめかせて健全に育ったものでした。
 かくいう私がホームズに出逢ったのは、小学校4年生の時、従兄弟の母親、つまり私にとっての伯母が買ってくれた少年向けホームズ全集の中の「恐怖の金庫室」という一冊です。


 画像はお借りしました

これは最後の短編集となった「シャーロックホームズの事件簿」に収録されている「隠居絵具師」のリライトでした。他に「花婿失踪事件」と、「ブラックピーター」の三話構成で一冊でした。
ホームズ聖典中で比較的地味な『隠居絵具師」をなぜメインタイトルに据えたのかわかりませんが、当時すでにポプラ社の江戸川乱歩の少年探偵団シリーズにのめり込んでいた私は、すぐとホームズの魅力に取り憑かれました。あまりにも子供騙しめいた怪人二十面相の悪事や、明智小五郎の推理とは異なり、奥の深い謎と明晰な推理に魅了されたのです。
 ちなみにこの時、一歳歳上の従兄弟(現在函館で開業歯科医)はルパンの「813」を買ってもらっていました。これにより私のルパンデビューは少し遅れました。
 今でもそうなのでしょうか?当時の少年向け翻訳推理小説シリーズは原作の大胆な意訳も多く、
 数年後にやはり父の田舎のやはり年長の従兄弟の家の物置きの中で発見したホームズ物の「黄金怪獣」という一冊は、「バスカヴィル家の犬」のリライトでした。時代はゴジラやウルトラマンの全盛期です。怪獣の文字を冠すれば、子どもは飛びついてくると出版側は考えたことでしょう。
 しかし子供ながらひねくれていた私は、そのあざとさが嫌いでした。人口に膾炙している名作は、子供向けとはいえ、その原題を踏襲してほしいと思ったものです。

 そんな生意気な河童小僧も大人になると、熱烈なシャーロッキアンになったわけではありませんが、先述したとおり、齢(よわい)還暦近くなった現在でもドイルの聖典の文庫本は全て書架に納められて、何時でも読めるようになっています。

数年前に切り絵で作ったシャーロック・ホームズを貼っておきます。

 付記 たった今調べたところ、私が買ってもらった「恐怖の金庫室」は、偕成社が出版した名探偵ホームズ全集の第21巻であることがわかりました。初版は昭和46年間で、ズバリ私が小4の年でした。伯母は最新刊を買い与えてくれていたのです。